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新型エンジン排ガス処理装置の開発【三機工業】
2011年10月7日
三機工業株式会社(社長:有馬 修一郎)は、自動車のエンジン試験設備等から排出されるエンジン排ガス中に含まれる黒煙(煤)を処理する装置を開発し、販売を開始しました。
近年、ディーゼル機関からの排出ガス規制が更に厳しくなり、エンジン開発や車両開発における環境対策装置の重要性が高まっています。
三機工業は、2001年から黒煙および窒素酸化物等の有害ガスの総合処理装置「(商品名)ZEUS(ゼウス)」を提供してまいりましたが、車両およびエンジン試験室から出る排ガス処理においては、黒煙の除去にニーズが集中していることに注目し、新たな開発を行ってきました。
その結果、独自のフィルター開発に成功し、高効率の黒煙除去とフィルターの連続再生を可能にしました。
背景
各種エンジン試験設備、車両試験設備、燃料試験設備、エンジンオイル試験設備、コジェネレーション用ディーゼル機関等の排ガス浄化において、従来技術では次のような問題がありました。
1. 既成のフィルターは圧力損失が大きく目詰まりが起こりやすいため、頻繁に逆洗浄と黒煙(煤)を回収する必要がある。したがって連続運転するためには複数のフィルターを装備し、目詰まりのたびにフィルターの切替が必要である。
2. フィルターに結露を発生させないために、装置を加熱・保温する必要がある。
3. フィルターに結露が発生した場合には、分解整備と再生処理の必要がある。
これらの問題に対し、常温でも黒煙の捕集とフィルターの再生を連続して処理することができ、結露に対してもメンテナンスの少ないシステムが要望されていました。
本システムの特長
1. 新フィルターを採用
新開発の耐熱特殊加工を施した金属多孔体製のDPF(Diesel Particulate Filter)により捕捉された黒煙は、装置内の電熱ヒータによって直接加熱焼却され、無害化されます。装置の立ち上がり時に万一結露を生じても、フィルター再生時の過熱により蒸発するので、分解掃除の必要はありません。
また新フィルターの圧力損失は従来の炭化ケイ素系ハニカム型DPFに比べて2分の1以下であるため、排気ファンの小型化や装置を含む排気システム全体の省スペース化や省電力化が可能となりました。浄化性能としては、黒煙入口濃度200mg/Nm3以下の空気を、出口濃度20mg/Nm3以下(効率 90%)に低減することが可能です。(本件は特許出願中)
2. 連続処理が可能
電熱焼却によるフィルター再生と同時に黒煙の捕捉をおこなうため、フィルター交換なしに連続処理をおこなうことができます。装置の内部は黒煙の堆積を抑える構造としていますので、従来のバグフィルターによる黒煙を捕捉する方法に比べ、メンテナンス時の廃棄物(黒煙)の発生を最小限に抑えることができます。
3. メンテナビリティの向上
従来技術ではDPFの逆洗浄に必要な圧縮空気と切替のための弁類および高圧ダンパーが必要でしたが、本装置には逆洗浄の必要がなく、大幅に部品点数を削減しましたのでその分メンテナビリティが向上されました。
4. システムの高度化が可能
黒煙除去と同時に選択接触還元脱硝触媒(SCR: Selective Catalytic Reduction)を装置の後段に組み合わせることで、他の有害ガスも除去する総合処理が可能となります。
今後の展開
エンジン試験設備などを有する事業所向けの環境保全装置として営業展開をおこない、ディーゼルエンジンの排気量1500ccと3000ccの試験設備に対応する装置本体の価格は、それぞれ1,000万円、1,200万円を予定しています。販売初年度の売上げは設置工事を含めて5億円を見込んでいます。
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