ニュース
自動車エンジンの吸気側ガス状態をレーザ光で高速モニタリングする高速応答ガスモニタ「EGR-chaser」2機種を発売【島津製作所】
2015年5月13日
掲載されている内容はすべて発表日当時のものです。その後予告なしに変更されることがありますのであらかじめご了承ください。
高速応答ガスモニタ「EGR-chaser」
(左 : 酸素濃度計測タイプ、右 : 二酸化炭素濃度計測タイプ)
島津製作所は、自動車のエンジン開発向けに、エンジン吸気側の酸素濃度もしくは二酸化炭素濃度を光学技術によって高速にモニタリングする高速応答ガスモニタ「EGR-chaser 酸素濃度計測タイプ / 二酸化炭素濃度計測タイプ」(型名:TLFM-2000-O2 / TLFM-2000-CO2)2機種を5月13日に発売します。
高速応答ガスモニタ「EGR-chaser」は、外部EGRシステム※を搭載した自動車エンジンの研究開発において、燃焼効率や環境性能を左右するエンジン吸気側の酸素濃度もしくは二酸化炭素濃度を、レーザ光を用いて高速にモニタリングしてガス状態を把握する装置で、外部EGRシステムの制御方法の改良や熱効率の最適化に貢献します。「EGR-chaser 酸素濃度計測タイプ」については、レーザ光学技術を測定原理としてエンジン吸気側の酸素濃度をモニタリングできる世界で唯一の製品です(5月13日現在、当社調べ)。
本製品は、5月20日からパシフィコ横浜で開催される「自動車技術展 人とくるまのテクノロジー展2015」に出展します。
※外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)システム
…内燃機関において、燃焼後の排気ガスの一部を吸気側に導き再度吸気させるシステム。主に窒素酸化物(NOx)の低減や燃費効率の向上を目的として搭載される。
【開発の背景】
一部の先進国ではハイブリット自動車や電気自動車の導入が盛んであるものの、新興国における自動車需要の急拡大もあり、2030年においても、従来型のエンジンを搭載した自動車がおよそ8割を占めるであろうと予想されています。一方で、欧米や日本においては、燃費規制や排ガス規制が段階的に強化されており、エンジンについては、熱効率の向上や優れた環境性能などが追求されています。
研究開発の現場では、エンジン内の燃焼状態を把握するために数値シミュレーションを行いますが、このシミュレーションモデルの妥当性を検証するモニタリング機器が求められています。加えて、発進時や減速時におけるガス状態の急速な変化をありのままにモニタリングするには、極めて短い計測周期で誤差なく計測する必要があります。
高速応答ガスモニタ「EGR-chaser」は、近年一般化が進む外部EGRシステムを搭載したディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンの研究開発のために使用する装置で、エンジン吸気部分にプローブを挿入し、レーザ光学技術を用いてエンジン吸気部分の酸素濃度もしくは二酸化炭素濃度を高速でモニタリングすることが可能です。最短0.01秒周期で計測を行うことができ、測定対象ガスの過渡的な濃度変化をありのままに計測できます。特に、エンジン吸気側の酸素濃度の計測をレーザ光学技術によって行う製品はこれまでにありませんでした。
当社は、本製品を、自動車メーカーのエンジン先行開発部門やパワートレイン開発部門などへ展開し、エンジン燃焼発光計測用光プローブ「ExDop」に続いて、自動車エンジン開発向けモニタ事業の拡大を図ります。
【新製品の特長】
1. エンジン内の急激な燃焼状態変化にも追従できる0.01秒の高速応答性
本製品は、サンプリングしたガスを計測するのではなく、吸気部分にプローブを挿入して、これまでになかった光学的な手法で計測を行うことで、燃焼効率や環境性能を左右する酸素もしくは二酸化炭素の濃度を最短0.01秒周期で測定することができます。エンジン内で急激に燃焼状態が変化しても、過渡的な濃度変化をありのままにモニタリングすることが可能です。
2. 他成分や水分の影響を受けない正確なモニタリングが可能
当社が保有する優れたレーザ光学技術によって、測定対象以外の成分の影響を抑えて高精度なモニタリングを行うことができます。吸気側に取り入れられる、水分を多く含んだ燃焼排ガス状態の把握にも適しています。
3. 吸気側計測に適した耐熱性を有する差し込み式プローブ
エンジンの吸気部分に直接挿入するプローブは200℃までの耐熱性を有しています。メンテナンス性にも優れたプローブは、エンジンからの脱着が可能な差し込み式構造を取っており、素早く計測を開始できます。
株式会社島津製作所ホームページはこちら