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プレイステーションからLM P1へ GTアカデミー勝者が世界最高峰へ羽ばたく【日産自動車】

2015年2月12日

ルーカス・オルドネスとヤン・マーデンボローがNissan GT-R LM NISMOで世界耐久選手権に参戦
2008年と2011年のGTアカデミー勝者が、世界屈指のドライバーと真っ向勝負に挑む
長年日産で活躍するミハエル・クルムも日産/ニスモ LM P1チームに参加
オルドネスはSUPER GTのGT500クラスにステップアップ

日産はシカゴ・モーターショーにおいて、日産の革新的なLM P1レーシングカーを駆るドライバーのひとりとしてF1の登竜門ともいわれるGP3で優勝経験もあるヤン・マーデンボロー(英国)を発表しました。同時に日本では、同じくGTアカデミー出身のルーカス・オルドネス(スペイン)、SUPER GTで活躍するミハエル・クルム(ドイツ)も、Nissan GT-R LM NISMOのドライバーに選ばれたことを発表しました。

3年前、23歳のマーデンボローは、将来の道を思い悩む一人の学生でした。F1のルイス・ハミルトンに憧れ、プレイステーションを楽しんでいたのです。そして日産GTアカデミーにエントリーすると、彼の人生は大きく変わり、夢のようなチャンスを手にしました。

2015年まで矢のように過ぎる日々の中、マーデンボローはF1の登竜門シリーズ、GP3で世界が誇るシングルシーターの才能あるドライバーたちと戦いました。昨年のル・マン24時間レースで英国カーディフ出身の元ゲーマーのマーデンボローが見せたパフォーマンスは、一般的な下積みでレースに参戦するこれまでの概念を吹き飛ばしました。2015年、マーデンボローはFIA世界耐久選手権(WEC)に日産からフル参戦を果たします。

マーデンボローの父、スティーブは元プロのサッカー選手であり、息子のヤンもその競技魂を受け継いでいます。負けず嫌いで、日産でスポーツカーカテゴリーの最高峰に上り詰めるまでの間も常にチャレンジする姿勢を見せてきました。

「高価なカートでコツコツ下積みを続けるだけでなく、モータースポーツのトップクラスに上り詰める方法が他にもあるのだということを見せたいのです」とマーデンボローは述べました。「日産にLM P1で参戦するドライバーに選んでいただき、光栄です。ル・マンではLM P2で2回参戦したので、現在のLM P1マシンのこともコース上で間近に見てきました。あのようなマシンで今年レースができると思うと、本当にワクワクします。Nissan GT-R LM NISMOは歴史に残るレーシングカーになると思いますし、それでレースができるのですから!」

ルーカス・オルドネスはGTアカデミーの初代勝者であり、日産の「バーチャルからリアルへ」の歴史を切り開いてきた立役者です。GTアカデミー勝者として初めてル・マンに参戦したドライバーであり、表彰台に上がる活躍もしてきました。オルドネスがNissan GT-R LM NISMOでル・マンに参戦するのは必然の流れと言えます。

スペイン出身のオルドネスは、SUPER GTドライバーである松田次生と共に6月のル・マン24時間レースでは3台目のNissan GT-R LM NISMOをドライブします。ル・マンまでの間にも、彼には新しい挑戦が待っています。昨年はGT300クラスで日本のSUPER GTにデビューしたオルドネスは今年、トップクラスであるGT500にステップアップし、Nissan GT-R NISMO GT500をドライブします。

「Nissan GT-R LM NISMOとNissan GT-R NISMO GT500でレースをするという電話をいただいた時は、GTアカデミーで勝った時のような喜びがよみがえりました」とオルドネスは述べました。「去年は日本でレースに参戦し、独特のレース文化を学ぶ素晴らしいシーズンになりました。そして日本のGTトップクラスとル・マンへの参戦が決まり、究極のGT-Rに乗ることになったのです。月並みな言い方ですが、GTアカデミーはまさに夢を現実に変えてくれます。私が果たしてきたように、夢を叶える現実的なチャンスを人々に与えてくれるのです。もちろん必死で努力しなくてはなりませんが、努力すれば報われるのです。新しいシーズンをこんなにワクワクした気持ちで迎えるのは初めてです」

マーデンボロー、オルドネスと共に日産のLM P1ドライバー陣に加わるのは、日産/ニスモのレギュラードライバー、ミハエル・クルムです。彼こそ、Nissan GT-R LM NISMOを初めて駆ったドライバーです。優れたマシン開発能力で知られるクルムは、豊富な経験をチームで発揮することが期待されます。日産のLM P1参戦に挑むための9人ドライバーは、若手とベテランのバランスのとれたラインナップとなる予定です。

「ヤンとルーカスはル・マンで表彰台に上がっただけでなく、プロフェッショナルのレーシングドライバーの限界を次々と塗り替えてきました」とニスモのグローバルヘッドオブブランド、マーケティング&セールス、ダレン・コックスは述べました。「一夜にしてつかんだ成功のように見られますが、ヤン、ルーカス、そして日産/ニスモは、何年も苦労して日産GTアカデミーの勝者全員を育成してきた結果が実ったのです。彼らは、全力を尽くしてそれに向かっていけば成功するのだということの証です。私たちは、LM P1プログラムでも、同じ精神を持ち続けていきます。クルムのような経験豊富なドライバーをチームに加えることも、このようなプログラムには欠かせない要素です」

「私たちは、トップレベルで戦うために挑戦しているのです」とコックスは続けました。「F1で活躍したマーク・ウエーバーのような人がル・マンでレースをするのも不思議なことではありません。これは、世界で最もコンペティティブなレースなのです。戦いは過酷ですが、その戦いに挑むことを待ち切れないでいます」


ヤン・マーデンボロー
JANN MARDENBOROUGH

生年月日 : 1991年9月9日
出身地 : 英国ダーリントン
国籍 : 英国
居住地 : 英国カーディフ
言語 : 英語
ツィッター : @jannthaman

日産が展開する革新的なドライバー発掘育成プログラム、GTアカデミーは2011年、ヤン・マーデンボローという金の卵を見いだしました。

GTアカデミーのことを耳にした時、マーデンボローはギャップイヤーの学生でした。プレイステーション3での腕前には自信がありましたが、バーチャルの世界で磨いたそのスキルが実際のレーシングコースでも役に立つのか、その賭けに挑んでみたのです。

2011年6月にGTアカデミーのシーズン3で優勝したマーデンボローは、プロフェッショナルドライバーとしての資質を証明し、ここ数年で最も期待される若手レーシングドライバーのひとりとして一目置かれています。

GTアカデミーの目に止まった才能の原石は、すぐにモータースポーツ業界の注目を集めます。英国GT選手権などで披露されるマーデンボローの速さは、「速過ぎる」ことでペナルティが科されたこともあるほど。EVOマガジンが「期待できる才能」賞をマーデンボローに贈った際には「慢心することも、才能を鼻にかけることもない清らかなスター性と、追いつきようがない爽快な速さを備えている」と評しました。

マーデンボローは2014年、GTアカデミー勝者として初めてシングルシーターのレースに参戦。アーデン・モータースポーツから参戦したGP3で勝利も飾った他、インフィニティ・レッドブル・レーシングのドライバー育成プログラムも受けています。シングルシーター以外では、2014年のル・マン24時間でリジェ日産のLM P2マシンで素晴らしい活躍を見せました。

このようなマーデンボローのモータースポーツでの才能は、子どもの頃から熱心にカートに勤しんでいたのだとすれば誰でもなっとくするでしょう。しかし、カート界には申し訳ないことに、マーデンボローは10歳の時に地元のカートコースに6回ほど行っただけなのです。

2015年、マーデンボローはプレイステーションからLM P1へのステップアップを実現。日産からLM P1で参戦する初めてのGTアカデミー卒業生のひとりになります。

主要キャリア

2014
 アーデン・モータースポーツからGP3参戦 – 7月のホッケンハイムで初勝利、ハンガリーで表彰台フィニッシュ
 インフィニティ・レッドブル・レーシングでドライバー育成プログラム参加
 OAKレーシングからマーク・シュルツイスキー、アレックス・ブランドルとともにル・マン24時間参戦
 日産エンジン搭載のピケット・レーシングLM P2マシンでセブリンク12時間参戦
 ニュージーランド拠点のTRSシングルシーターシリーズ-シリーズ2位

2013
 FIAフォーミュラ3ヨーロッパ選手権、英国F3インターナショナルシリーズにカーライン・モータースポーツから参戦。表彰台フィ
 ニッシュ2回
 ル・マン24時間にグリーブス・モータースポーツのザイテック日産でミハエル・クルム、ルーカス・オルドネスとともに参戦、表彰
 台フィニッシュ。ル・マン24時間には2011年にGTアカデミーファイナリストと参戦、一週間後に出場したレースで優勝
 オールゲーマー出身ドライバーのラインナップでスパ24時間にNo.32 Nissan GT-R NISMO GT3で参戦。ルーカス・オルドネ
 ス、ウォルフガング・ライプ、ピーター・パイツェラと共にPro-Amクラス表彰台フィニッシュ

2012
 英国GT選手権にアレックス・バンコムとともにRJNモータースポーツNissan GT-R NISMO GT3で参戦。5月のニュルブルクリン
 クで英国GTでの初ポールポジションを獲得、夏のブランズハッチではNissan GT-R NISMO GT3に大きな勝利をもたらした。ド
 ニントンパークでの最終戦ではマーデンボローがレースでリードを握りタイトル目前に迫ったが、テクニカルトラブルで後退
 ブランパン耐久選手権にスポット参戦
 ドバイ24時間に「オールゲーマー」のNissan 370Zで参戦、表彰台フィニッシュ
 英国レーシングドライバーズクラブ(BRDC)が選定するライジングスター受賞
 MSAアカデミーに加入
 EVOマガジンの「エマージング・タレント」賞受賞
 オートスポーツアワードのクラブドライバー・オブ・ザ・イヤーにノミネート

2011
 日産/プレイステーションGTアカデミー優勝(シーズン3、ヨーロッパ)


ルーカス・オルドネス
LUCAS ORDONEZ

生年月日 : 1985年5月1日
出身地 : スペイン・マドリード
国籍 : スペイン
居住地 : スペイン・マドリード
言語 : スペイン語、英語、フランス語
ツィッター : @lucas_ordonez

2008年、MBA取得に向けて勉強を続けていたルーカス・オルドネスは、「GTアカデミー」と呼ばれる新しい大会の広告を見つけます。レーシングドライバーになるという長年の夢を抱いていたオルドネスは、日産とプレイステーションによるこのコラボレーションが最後のチャンスだと感じました。

歴史はここから始まりました。2011年に最も過酷な耐久レースに参戦するという夢を叶えたオルドネスのバーチャルからリアルへの旅は、この年のル・マン24時間で大きな話題のひとつとなりました。オルドネスはシグナテック日産のチームメイトとともに表彰台フィニッシュを果たし、GTアカデミーによるドライバー育成プログラムの効果を証明するものとなりました。

オルドネスはGTアカデミー初代勝者として、新しい勝者が目指す憧れの的となりました。2008年に自身が優勝したGTアカデミーは、その後ヨーロッパ、米国、ロシア、中東、オーストラリア、インドと地域をグローバルに拡大し、シーズンの度に新たな才能を育てていますが、その先駆者となったのはオルドネスです。

最近では、プロフェッショナルレーシングドライバーとしての貫録もつき、ますます高見を目指しています。

オルドネスは、原石の才能を発掘し、輝かせるために挑む、GTアカデミーの典型的なモデルです。

主要キャリア

2014
 日本のSUPER GTに、星野一樹とともにNDDPレーシングのNISSAN GT-R NISMO GT3でGT300クラスに参戦。タイのブリー
 ラム戦でSUPER GT初勝利を記録
 ル・マン24時間に参戦するNISSAN ZEOD RCのドライバーとして一番に契約
 ドバイ24時間に、ミゲール・フェイスカ、スタニスラフ・アクセノフ、フローリアン・ストラウス、ニック・マクミレンの「オールゲー
 マー」によるNissan 370Z NISMOで優勝

2013
 ブランパン耐久シリーズPro-Amドライバーズチャンピオン。FIA GTシリーズにもNissan GT-R NISMO GT3で参戦
 NISMO グローバルドライバーエクスチェンジのプログラムの最初の活動として、日本のSUPER GTに参戦、オーストラリアで日
 産アルティマV8スーパーカーをテスト、米国でNissan 370Zでレース参戦
 ル・マン24時間にグリーブス・モータースポーツのザイテック日産でミハエル・クルム、ヤン・マーデンボローと共に参戦。
 LM P2クラス3位に入り、自身2度目のル・マン表彰台に
 ドバイ24時間にロマン・ルシノフ、マーク・シュルツイスキー、ウォルフガング・ライプとともにNissan 370Z NISMO GT4で参
 戦、SP3クラス2位

2012
 ドバイ24時間に「オールゲーマー」によるNissan 370Zで参戦。チームメイトはジョルダン・トレッソン、ヤン・マーデンボロー、
 ブライアン・ヘイコッター。クラス3位でフィニッシュし、オールゲーマーエントリーとしての初めての表彰台を獲得
 ヨーロピアン・ル・マンシリーズにグリーブス・モータースポーツから参戦。チームメイトはトム・キンバースミス、アレックス・ブラン
 ドル。
 ニュルブルクリンクに、グランツーリスモのクリエイター、山内一典とともに参戦。プロダクションクラスのNissan GT-Rで世界屈
 指の難コース・ノルドシュライフに挑み、総合30位、クラス優勝
 ル・マン24時間にグリーブス・モータースポーツからザイテック日産LM P2マシンで参戦。チームメイトはマーティン・ブランド
 ル、アレックス・ブランドル。このラインナップでFIA世界耐久選手権シルバーストン戦にも参戦、5位でフィニッシュ
 Nissan デルタウイングでプチ・ル・マンに参戦。6月のル・マン24時間でデビューを果たしたNissanデルタウイングが秋には
 ロードアトランタで再びコースに戻ってきたことで話題に。オルドネスとチームメイトのガンナー・ジーネットが5位でフィニッシュ。
 過酷な10時間レースの末に、同マシンに初のレースイベントでの完走をもたらした

2011
 シグナテック日産からインターコンチネンタル・ル・マンカップにフランク・マイリュー、ソヘイリ・アヤリとともに参戦。クラス優勝2
 回に加え表彰台フィニッシュ3回で、LM P2タイトルを獲得
 ル・マン24時間デビュー。GTアカデミー勝者として初めてル・マンに参戦。シグナテック日産から見事LM P2クラス2位でフィ
 ニッシュ
 2011年LM P2ルーキー・オブ・ザ・イヤーby SPEED.com & Dailysportscar.comに選出

2010
 FIA GT4ヨーロピアン選手権にRJNモータースポーツから参戦。シリーズ4位

2009
 FIA GT4 ヨーロピアン選手権にNissan 350Zで参戦。アレックス・バンコムとともにシリーズ2位、チームズタイトル獲得
 ドバイ24時間にNissan 350Zで参戦。チームメイトはジョニー・ハーバート

2008
 日産/プレイステーションGTアカデミー優勝(シーズン1, ヨーロッパ)


ミハエル・クルム
MICHAEL KRUMM

生年月日 : 1970年3 月19日
出身地 : ドイツ・ロイトリンゲン
国籍 : ドイツ
居住地 : モナコ
言語 : ドイツ語、英語、日本語、多少のフランス語
ツィッター : @MichaelKrumm

ミハエル・クルムはニスモが誇るアンバサダーのひとりであり、レーシングキャリアを通じて日産のマシンで参戦を続けてきました。

近年はSUPER GTに専念していますが、FIA GT1世界選手権でも2シーズンを経験しており、2011年にはドライバーズタイトルを獲得しています。

また、2013年9月にはNISSAN GT-R NISMO“タイムアタックマシン”で、ニュルブルクリンクのノルドシュライフでの量産車最速ラップとなる7分8秒679という記録もマークしています。

クルムは世界各地でキャリアを築いていますが、ニスモの契約ドライバーとしてレース活動の拠点を日本に置いています。奥様は、プロフェッショナルテニスプレイヤー、クルム伊達公子さんです。

主要キャリア

2014
 KONDO RACINGからSUPER GT(GT500クラス)に参戦-ドライバーズランキング10位

2013
 NISMOグローバルドライバーエクスチェンジ-日産アルティマV8スーパーカーのテストに参加
 NISMOからSUPER GT(GT500クラス)に参戦-ドライバーズランキング13位
 グリーブス・ザイテック日産からルーカス・オルドネス、ヤン・マーデンボローと共にル・マン24時間に参戦。LM P2クラス3位で
 表彰台

2012
 NISMOからSUPER GT(GT500クラス)に参戦-ドライバーズランキング8位
 日産“ガレージ56”レースドライバー

2011
 FIA GT1世界選手権ドライバーズチャンピオン(GT1 GT-R)

2010
 FIA GT1世界選手権ドライバーズ選手権9 位(GT1 GT-R)

2009
 NISSAN GT-R GT1開発プログラム

2008
 SUPER GT参戦(Nissan GT-R)

2007
 SUPER GT 参戦(350 Z)チームズ選手権2位

2006
 SUPER GT 参戦(350 Z)チームズ選手権2位

2005
 SUPER GT 参戦(350 Z)チームズ選手権チャンピオン

2004
 JGTC参戦(350Z)チームズ選手権チャンピオン

2003
 JGTC参戦(スカイラインGT-R)ドライバーズ、チームズ選手権チャンピオン

2002
 JGTC参戦(スカイラインGT-R)
 JGTC (スカイライン GT-R)
 ル・マン24時間参戦-3位(アウディ)

2001
 JGTC参戦(スカイラインGT-R)チームズ選手権チャンピオン

2000
 JGTC参戦(スカイラインGT-R)チームズ選手権2位
 フォーミュラ・ニッポン シリーズ2位

1999
 JGTC参戦(スカイラインGT-R)チームズ選手権2位
 ル・マン24時間参戦(日産R391))

1998
 ル・マン24時間参戦(日産R391))-5位
 ドイツ・ツーリングカー選手権参戦(日産プリメーラ)

1997
 JTCC参戦(トヨタ)シリーズ3位
 JGTC参戦(トヨタ)チャンピオン

1996
 JTCC(全日本ツーリングカー選手権)参戦シリーズ3位

1995
 JGTC(全日本GT選手権)参戦 (トヨタ)

1994
 全日本F3選手権チャンピオン

1990
 ドイツフォーミュラ・オペル-ロータス選手権チャンピオン

1989
 ドイツフォーミュラ・フォード選手権チャンピオン

 

ヤン・マーデンボローへの一問一答

NissanのLM P1マシンに乗ることになったと聞いた時、どのように感じましたか?
「昨年、GP3のホスピタリティエリアでダレン(コックス)から話を聞いた時、思わずのけぞってしまいました。考えたこともなかったので、そんなことを言われるとは思わなかったからです。その知らせを自分で飲み込んでからは、天にも昇るような気持ちでしたし、スポーツカーの最高峰クラスで日産のドライバーとして参戦することを、とても誇りに思います。とても光栄なことですし、新しいチームの一員になることができて、とてもうれしいです」

GTアカデミーの勝者としては初めてシングルシーターのレース(フォーミュラ3とGP3)に参戦しましたが、その経験はLM P1でも活かされますか?
「間違いないと思います。シングルシーターでのレースは、とても熾烈な戦いです。レースの最初の数周が鍵になります。序盤をうまくまとめるためには、純粋な速さと適切に状況を把握する能力が求められます。シングルシーターでは常に限界レベルで攻めますので、LM P2での経験も合わせれば、LM P1に向けて大きなアドバンテージになると思います」
「日産はできるだけ多くの経験を積むために、私にシングルシーターでのレースチャンスを与えてくれました。私がLM P1のシートを獲得したことで、それが正しかったことが証明されると思います」

経験豊富なLM P1のマニュファクチャラー陣との戦いに挑むことについてはどんな気分ですか?
「現在、LM P1は世界で最もコンペティティブなシリーズのひとつです。今この時期に参戦し、強豪3マニュファクチャラーとの戦いに加わることは、とてもエキサイティングです。私のスポーツカーの思い出は90年代に遡ります。たくさんのマニュファクチャラーが参戦していて、素晴らしかったです。スポーツカーレースの、新たな時代に自ら参戦することを心から楽しみにしています」

FIA世界耐久選手権はあなたにとって新しいシリーズです。開催されるサーキットについてはどれくらい知っていますか?
「ヨーロッパのサーキットのことはよく知っていますが、COTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカ)とバーレーンはまったく初めてです。中国には訪れたこともないので、上海も初めてになりますね。富士ではSUPER GTのテストに参加したことがあるので、どんなコースかは知っています。こうした国々を訪れるだけでも本当に素晴らしいですが、スポーツカーカテゴリーの最高峰でレースをするのは、とにかくエキサイティングです」

2011年にGTアカデミーで優勝して以来、ここまででお気に入りのレースは何ですか?
「2014年のル・マン24時間ですね。OAKレーシングからリジェ日産で参戦しましたが、夜間に4スティントをこなしたことは一生忘れられません。私は夜間のレースが大好きなのです。スポーツカーレースでは独特の雰囲気があります。特にミュルザンヌ・ストレートを時速300kmで駆け抜ける時は、自分とコースだけ。本当にたまりません。どこを走っているのか暗くてよくわかりませんが、それでも何となく分かるのです。第六感のようなものですね」
「あの夜間スティントは、あっという間でした。夢中になっていたんだと思います。完全に限界に達していて100%プッシュしていました。“ゾーンに入った”という言い方をする人もいますが、私にとってはとにかく特別な瞬間だったのです」

ゲーマーとしての経歴があることで、違う扱われ方をされますか?
「あまり気にしたことはありませんが、GP3では“ゲーマーの”という紹介がされていましたね。でも私は気に入っていますよ。こういう特徴があることはいいことです。もし自分が“8歳の時からカートをやっていました”というタイプのレーサーだったら、プレイステーションゲーム出身のドライバーに負けたら本当に悩んでしまうかもしれませんが」

地元の友人たちは、あなたがレーシングドライバーをやっていることをどう考えていますか? “LM P1はどんなマシンか”をどのように説明しますか?
友人たちは、素晴らしいマシンでレースをすることよりも、いろいろな国に行くことをうらやましがっています。それこそ、今年は大騒ぎになるでしょうね。みんなには、LM P1はどういうマシンかを話しました。基本的には屋根があるマシンで、F1マシンではないけど同じくらい速いんだと説明しました!」

F1への夢はこれでおしまいですか?
「いいえ、終わっていません。スポーツカーも勉強になります。これまでにも、ミカ・ハッキネン、マーク・ウエーバー、ミハエル・シューマッハーなどが、スポーツカーからF1にステップアップできることを証明しています。ただ、ルートが違うだけです。この道を辿る間にたくさんのことを学べますし、それはすべて先につながります」

最終的な目標はなんですか?
「二つありますが、どちらかを選ぶのは難しいですね。ひとつはフォーミュラ1でレースをすること。それを願わないドライバーなんていません。そして、ル・マン24時間で総合優勝したいと思っています。これ以上に達成感を感じられることは思いつきません」

2014年の初め、インフィニティ・レッドブル・レーシングのドライバー育成プログラムを受け始めました。これまでにどんなことを学びましたか?
「主に、レースの週末の準備について、細部に渡るまで学ぶことに専念していました。データの分析や、過去のパフォーマンスを見ること、レースの成り行きを注視すること、まさにレースの基本中の基本です。経験を積んでくると得られることが少なくなるので、今は本当に細かい情報まで集めるようにしています。インフィニティ・レッドブル・レーシングは、物事の詳細を把握することにとても優れています」

自転車について触れましたが、ル・マンでレースをするという夢を持っているというクリス・ホイの先輩役を努めていますね。あなたが彼にレースについてたくさんのことを教えたと聞いていますが、彼から学んだことはありますか?
「クリスからはマシンの中ではありませんが、ひとつのスポーツからまったく別のスポーツに挑むことができるという姿を見せられてきましたし、懸命に努力して自分で実力を積んでいけば成功することを教えられました。この考え方には、とても刺激を受けました。自転車からモーターレースにスイッチし、これほど早い段階でスパのレースで勝つというのは、本当に優れた成果だと思います」

今でもプレイステーションを楽しんでいますか?
「時間がある時にはやります。いつもはグランツーリスモですが、バトルフィールド4のようなシューティングゲームも好きです。元々、とてもゲームは得意で、オンライン対戦も好きですね。今でも趣味のひとつです」

GTアカデミーにエントリーしたいと思っている人にはどんな言葉をかけますか?
「レーシングドライバーになりたいと思っていて、テレビでF1を観て自分の方が速いと思ったなら、やるべきです。自分にできるかどうかなんて誰にも分からない。もしかしたら自分でも気付かない才能が隠れているのかもしれない。それを発揮することができるのか、試してみましょう!」


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