最前線コラム

非接触3次元動的測定による次世代の解析手法の紹介【東京貿易テクノシステム】

はじめに:
市場でもすでに広く使用されている光学式の非接触3次元測定といえば、カメラ式、レーザー式など様々な最先端の測定システムがあるが、その中で動的測定、即ち、動いている状態を継続的に、高精度に3次元で計測するといったアプリケーションは今後、新しい3次元解析手法として、広まっていくと予想される。ドイツAICON 3D Systems社が提供する非接触“動的”3次元測定システムは、従来行われてきた静止している状態の3次元測定ではなく、動いている状態、物が変形している状態を継続的に測定する最先端の測定装置として、注目されている。すでに使用されている事例も含めいくつかのアプリケーションを紹介したい。

事例1:環境制御室内で動的安定性の計測を実現する革命的なアプローチ

システム設置風景

自動車部品検査の一つとして行われているのが、環境制御室(温度や湿度等を変化させることができる実験用の設備)で、環境を変化させた時の部品の変形検査である。これは自動車部品の安定性を解析するために非常に重要なテストであるが、一方で、これまで行われてきた検査は、変化前、変化後の部品を取り出して別の場所で静止した形状・状態を測定するという手法が主流だった。この従来の方法での問題点は、変化中にどのタイミング、どういった条件で部品が変化・変形するかを理解することが難しいという点だ。この課題をクリアする為には、激しい温度環境下でも使用できる高精度な3次元測定機、且つ動いている状態を継続的にトラッキングできるシステムが必要だった。こういったニーズに対して、ドイツのAICON社は動的3次元測定システム、MoveInspectを使ったシステムを開発した。

  

  

  

  

  

  

  

  

  

本システムはAICON社が提供するMoveInspectシステムのカメラ複数台をフレーム上に取り付け、測定対象物上に貼られた複数のマーカーの中心3次元座標を画像撮影し、ソフトウェアで計算することにより、複数点の座標を同時に算出し、また一定の測定周波数で連続的・継続的に計測していくことが可能だ。カメラの台数、位置は測定物上に貼られたマーカー領域をカバーできるようあらかじめ検討し、決定する。また、使用されているMoveInspectカメラは、温度が-50℃から+150℃まで耐えられる特殊なハウジングになっており、様々な環境下での試験にも対応できるようになっている。このシステムを使用することで、例えば数日かかるテストでもどのタイミング、温度で構造的なダメージが発生するか、正確に解析することができるようになる。

その他のMoveInspectアプリケーション事例

【プレスパネルのクランプ検査】
【ドアスラム検査】
【プレス機の挙動検査】

事例2:ホイールの3次元挙動測定への適用

WheelWatchシステム設置例
走行テスト
車の性能の基準として非常に重要視されるシャーシが果たす機能を確認し、車のすぐれた走行性に必要とされる機構を確立する上でのホイールの挙動検査は非常に重要となっている。この検査を理想的に実現するためのWheelWatch システムはドイツAICON社が開発した非接触ホイール挙動測定装置で、走行試験中または台上試験で500Hzの計測スピードが可能な高速CMOSカメラを使用しホイールの6自由度情報を取得し、結果を出力することが可能だ。
またテスト対象となるホイールにいかに外部的な影響を与えずに検査するかということに重点が置かれるが、WheelWatch システムは非接触測定によりホイールに負荷をかけず、また測定時に常にボディ上に貼られたリファレンスマーカーをベースに座標系を構築するダイナミックリファレンス技術を用いることにより、周囲の振動からの影響を受けずに、常にボディに対するホイール挙動のみを測定可能。この手法は、テスト環境での振動の影響を取り除くことが重要課題となっていたホイール測定分野にとって、これまで実現されてこなかった非常に画期的な機能となっている。

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

台上試験
測定結果例(ホイールのXYZ値をグラフ化)
WheelWatch

事例3:エンジンの3次元挙動測定への適用

車の開発工程では、スペースを考慮した最適なデザイン構築の為に、エンジンとボディのクリアランスに関する的確な情報が必要になる。例えば、走行中のギアチェンジや衝撃の大きい走行時などに、エンジンが他のパーツに接触しないよう検討する必要が生じる。こういった検討をする上で必要なのが、エンジン挙動を動的に的確に測定できる高精度測定装置だ。WheelWatchシステムと同様に、MoveInspectシステムのカメラを使い、エンジン挙動測定用としてAICON社が開発したものがEngineWatchシステムである。
EngineWatch は、走行テスト中とテストベンチ上の両方で、エンジンの動きを6自由度で計測することが可能だ。この位置とオリエンテーションの情報は車の座標系上の数値として計算され表示され、エンジンとセンサーの機械的な接続がなく、非接触で測定することができる。非接触の為、エンジンの本来の挙動をそのまま計測することができるというのが特徴の1つとなっている。
また例えばバッテリーボックスのようなエンジン以外の関連するパーツの計測を同時に実施することができ、計測後にソフトウェア上で計測点を指示し、後解析をすることも可能な為、新たな計測ポイントの為に、実際の試験をやり直す必要がない、というのも現場の作業者にとって大きなメリットとなる。

EngineWatchシステム設置例

  

EngineWatch

  

  

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