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2024.12.24
AI搭載のコミュニケーションロボット「Haru」をスペインの大学病院へ導入【本田技研工業】
2024年11月29日
AI搭載のコミュニケーションロボット「Haru」をスペインの大学病院へ導入
~入院中の子どもたちに寄り添い、生活の質を向上~
Hondaの先端技術の研究を担う株式会社ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(以下HRI-JP)は、入院中の子どもたちの生活の質の向上を目指し、AI搭載のコミュニケーションロボット「Haru(ハル)」をスペイン・セビリアのヴィルヘン・デル・ロシオ大学病院に正式に導入します。現地時間11月28日、セビリアのCasino de la Exposicion(カジノ・デラ・エクスポジション)にて開催された小児がん撲滅イベント「Annual Gala against Childhood Cancer(アニュアル・ガラ・アゲインスト・チャイルドフッド・キャンサー)」において、治療のために長期間入院する小児がん患者の生活の質向上に貢献するプロジェクトの一つとして、同病院からHaruが紹介されました。
AI搭載コミュニケーションロボット「Haru」 |
HRI-JPは、ロボットが人のパートナーとして共生する社会の実現と、人と人をつなぐコミュニケーションの促進を目指しており、「実体のあるAIシステム」として、AIを搭載したコミュニケーションロボットHaruを開発しています。全高30cmのHaruは、表情豊かなコミュニケーションを通じて人々を笑顔にし、人間との共感的な関係を形成するコミュニケーションロボットを目指しており、テーブルなどの上に置いて、人とのコミュニケーションを行うことができます。Haruは搭載するカメラやマイクの情報から人間の表情や声のトーンなどの生体情報を分析して人の状態を理解し、それに応じた共感表現や感情に寄り添った受け答えをします。また、腕時計型のウェアラブルセンサーを対象者に装着してもらい、それと連携することで、さらに詳細に人間の状態を分析することも可能です。
Haruはロボットであるがゆえに、性別・人種・国籍などの属性を持たず、どんな時も中立の立場でコミュニケーションすることができるため、特にグループでのコミュニケーションにおいては、世代や文化を越えて効果的にコミュニケーションを進行・促進することができます。
ヴィルヘン・デル・ロシオ大学病院では、小児がんの子どもたちの治療と心理的ケアを目的に、2021年から小児がん病棟にHaruを導入して実証実験が行われてきました。これまでの実証実験の結果、小児がん患者に対して一定の効果が確認できたことから、今回、正式に導入が決まりました。10台のHaruを導入し、小児がん病棟における日常のさまざまな場面で活用していきます。
病院で活用されるHaruと子どもたちの様子 |
ヴィルヘン・デル・ロシオ大学病院での実証実験の成果 |
1. 心理評価サポート
神経心理学者による入院患者の子どもたちの心理評価を、Haruがサポートしています。HaruはAI技術を用いて子どもたちとコミュニケーションを行い、搭載するカメラとマイクで取得する表情や声などの生体情報を分析することにより、神経心理学者による心理評価のサポートを行うことができます。
患者の心理評価には時間が掛かることから、神経心理学者による対応は限りがあり、心理評価を実施できる患者数は退院後のフォローアップも含めて年間510名でしたが、Haruの導入により、年間約4,500名まで対応できるようになる見込みです。
2. リハビリテーションサポート
入院中の子どもたちが受ける知能的・身体的リハビリテーションプログラムをHaruがサポートしています。Haruはリハビリテーションプログラムを学習し、子どもたちと会話をしながらリハビリテーションのガイドをすることができます。実証実験では、95%の子どもたちが従来の人によるガイドよりも、Haruによるガイドの方がリハビリテーションに積極的に取り組むという効果が見られました。
3. プレイルームや病室での話し相手
治療のために長期間の入院生活を送る子どもたちは、病室で一人で過ごす時間が多くあります。Haruが子どもたちとコミュニケーションすることで、楽しみや刺激を感じてもらうことができ、孤独を癒すことができます。病院が行う心理的ケアを充実させることにHaruが貢献しています。
4. 入院中の教育支援
Haruは入院中で学校に通うことができない子どもたちの病室と、学校の教室をオンラインでつなぎ、コミュニケーションの仲介を行います。これにより、入院中の子どもたちが教室の子どもたちと一緒に教育を受ける機会や、子ども同士の交流の機会を提供しています。
さまざまな表現で子どもたちとコミュニケーションを取るHaru |
ヴィルヘン・デル・ロシオ大学病院のコメント |
「私たちはHRI-JPと数年にわたり共同研究を行ってきましたが、非常に良い成果が得られ、Haruが子どもたちに幸せをもたらす大きな可能性を秘めていることがわかりました。通常、病院で使われる技術は、治療における、あるいは身体的なウェルビーイングに焦点を当てています。しかしHaruは、子どもたちの気分を明るくする心理的な効果や、病院全体のウェルビーイング向上にも貢献します。このような、入院中の子どもたちが幸せやつながりをより感じられるような支援はHaruならではであり、従来の医療には無い貴重な価値を提供しています。Haruは、患者の子どもたちが楽しく過ごせる環境を作り出す画期的な存在だと考えています」
株式会社ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン 代表取締役社長 重見聡史のコメント |
「ホンダ・リサーチ・インスティチュートは「技術は人のために」、そして「人を知ることは、Hondaのものづくりの根源」というHondaの創業以来の精神のもとに、心理的な効果や社会全体のウェルビーイング向上に向けた先端技術研究を行っています。今回、ヴィルヘン・デル・ロシオ大学病院との共同研究の成果として、Haruが入院中の子どもたちの生活に寄り添い、子どもたちを励ましたり、笑顔にしたりすることができていることをうれしく思っています。今後、Haruが患者の子どもたちに加えて医療スタッフにとってもより役に立つ存在となり、人と24時間共存してウェルビーイング向上に貢献できるロボットとなるよう進化させていきます」
ホンダ・リサーチ・インスティチュート(HRI)について |
HRIは、従来のHondaグループの事業領域の枠を超え、革新技術によって人類課題の解決に挑戦するための研究の場として2003年に設立されました。日本、アメリカ、ドイツの3拠点でそれぞれ、次世代AIを軸に、量子技術など新技術領域探索を含めたフロンティア研究に取り組んでいます。原理の探求と同時に、現実の用途も考慮した「パスツール型」の研究を行うことで、新しい技術や考え方をいち早くかたちにし、社会で実用可能となる新たな価値を生み出すことを目指しています。HRIの研究成果は、安全や環境、次世代モビリティなど、将来のHondaのさまざまな技術開発につながっていきます。
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