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2025.04.17
横浜ゴム、ゴム摩擦研究の第一人者であるB. N. J. Persson博士とマルチスケール凹凸路面でのゴム摩耗予測に関する世界初の理論モデルを構築
2025年2月20日
横浜ゴム、ゴム摩擦研究の第一人者であるB. N. J. Persson博士とマルチスケール凹凸路面でのゴム摩耗予測に関する世界初の理論モデルを構築
米国の学術誌「The Journal of Chemical Physics」に掲載
横浜ゴム(株)は2024年12月、ゴムの摩擦・接触に関する研究の第一人者であるBo Nils Johan Persson(ボ・ニルス・ヨハン・ペルソン)博士との共同研究により、凹凸路面上のゴム摩耗率と摩耗粉粒子のサイズ分布を予測する理論モデルを世界で初めて構築しました。本研究は2025年2月21日付、物理学術誌「The Journal of Chemical Physics」(米国物理協会)において、掲載論文の中で最も注目に値する研究が選ばれる表紙論文に選ばれました。
Persson博士はゴム摩擦を含む接触、摩擦、摩耗、潤滑に関する研究の世界的権威であり、ペーター・グリューンベルク研究所(ドイツ)や蘭州化学物理研究所(中国)に所属しているほか、ゴム業界をはじめ、様々な課題を抱える企業を支援するコンサルタント会社「マルチスケールコンサルティング」(ドイツ)を運営しています。Persson博士が唱えた接触力学とゴム摩擦に関する独自アプローチは、多くの査読付き学術誌に掲載されたほか、他の科学者によって検証され、様々な課題解決に有効であることが証明されています。
横浜ゴムは長年のゴム研究における実績と高い技術開発力が認められ、マルチスケールコンサルティングと契約し、Persson博士と共にゴムと路面の摩擦・摩耗に関する研究を進めてきました。このたび世界で初めて、理論化が難しかった凹凸路面上のマルチスケール(ナノ~センチレベル)におけるゴム摩耗挙動の理論モデルを構築しました。ドライおよびウェット滑走下でのゴムの摩耗挙動を様々な接触圧と速度で計測した結果、理論モデルが予測する摩耗率(単位滑走距離あたりの質量損失)と摩耗粉粒子のサイズ分布が実験結果と合致し、本理論がそれらの予測に使用できることを確認しました。
当社は今後もPersson博士およびマルチスケールコンサルティングとの研究を進め、高次元の耐摩耗性能を実現したタイヤ開発を追求するとともに、EVなど高重量な電動車の増加に伴い、ますます重要性を増すタイヤ摩耗による環境課題の解決に貢献していきます。
横浜ゴムは2024年度から2026年度までの中期経営計画「Yokohama Transformation 2026(YX2026)」(ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーロク)の技術・生産戦略において「よいものを、安く、スピーディーに」をモットーに横浜ゴムグループ全体の基盤強化に取り組んでいます。その一環としてゴム材料技術やタイヤ設計技術などの変革に取り組み、AI技術の活用、大学や企業、専門団体との共同研究を推進しています。
![]() Bo Nils Johan Persson博士 |
![]() 凹凸路面上を滑るゴムの摩耗プロセス |
■掲載論文
【題 名】Rubber wear: Experiment and theory
【著者名】B. N. J. Persson, R. Xu, and N. Miyashita
【掲載誌】The Journal of Chemical Physics
【掲載日】2025年2月18日
【掲載URL】https://pubs.aip.org/aip/jcp/article/162/7/074704/3336120/Rubber-wear-Experiment-and-theory
【DOI】10.1063/5.0248199
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