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車載情報端末向け統合SoC第二弾、エントリナビ向け「R-Car E1」を発売【ルネサス】
2011年8月25日
~汎用OS上での高品質なマルチメディア処理を1Wの低消費電力で実現し、
システムの低コスト化、省電力化に貢献~
ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)とその子会社、ルネサス モバイル株式会社(代表取締役社長:川崎 郁也)は、このたび、エントリクラスの組込み型カーナビゲーション機器(以下カーナビ)および大画面ディスプレイ付きオーディオ機器(以下ディスプレイ・オーディオ)向けSoC(System on Chip:システムLSI)として、高品質なマルチメディア処理システムの低コスト化や省電力化に貢献する「R-Car E1」を製品化し、本日よりサンプル出荷を開始します。
「R-Car E1」は、当社の組込み型カーナビ等の車載情報端末向け統合SoC「R-Car」シリーズ(注1)の第二弾製品であり、従来の組込み型カーナビのみならず、今後市場が大きく伸長するディスプレイ・オーディオに向けて機能を最適化するとともに大幅に消費電力を削減しています。
新製品のサンプル価格は3,000円/個となっており、量産は2012年6月から開始し、2013年6月には月産10万個を計画しております。
背景
組込み型カーナビはこれまで目覚しく発展し続けてきましたが、エコ社会に向けて一層の低消費電力化が求められると共に、より高品質なマルチメディア対応、およびリアルな3Dグラフィックス表示やタッチパネル等の操作性向上を実現するユーザインタフェースが求められています。一方、新興国やスマートフォンが普及する先進国では、より低価格でモバイル機器のコンテンツをそのまま車で利用できるディスプレイ・オーディオが伸びつつあります。また、ソフトウエア(プログラム)においても、開発コストの抑制や、スマートフォン向けアプリが実行可能になる点でWindowsやLinux、Androidといった汎用OSが注目されています。
このようなニーズに対応するため、今回、汎用OS上での高品質なマルチメディア処理を1Wの低消費電力で実現する「R-Car E1」を製品化したものです。新製品は、本年2月に製品化した車載情報端末向け統合SoC「R-Car」シリーズの第一弾でミッドレンジ機器向けの「R-Car M1」シリーズに続く第二弾製品であり、カーナビやディスプレイ・オーディオに最適化して周辺機能の統合をさらに推し進め、システムコストの低減および開発期間短縮、セットの省電力化を実現できます。
特長
新製品の主な特長は以下の通りです。
(1) 高品質なマルチメディア処理を1Wの低消費電力で実現
新製品は、3Dグラフィックエンジン、当社の動画像処理エンジン(VPU:Video Processing Unit)といった高性能なマルチメディア処理の専用回路を搭載。
エントリナビ向けながら「R-Car M1」並みの性能で、3Dグラフィックスを多用したGUI(注2)や、H.264/MPEG-4のHD動画再生による、表現力豊かなマルチメディア処理を高速かつ、「R-Car E1」単体で1W以下の低消費電力で実現します。
加えて、「R-Car E1」独自に搭載したガンマ補正回路により、表示品質を維持したまま液晶バックライトの消費電力を約50%削減することが可能です。 これらにより、システム全体の省電力化が可能になり、冷却装置を削減可能なことからセットの小型化や低コスト化を実現します。
(2) 多彩で、リアルな3D画像を実現する3Dグラフィックスエンジン「PowerVR SGX」を搭載
上記(1)で記載した3Dグラフィックエンジンには、英国Imagination Technologies Limitedの高性能3DグラフィックスIP「PowerVR SGX」を採用。
従来のハイエンド製品に相当する、描画性能14Mポリゴン/秒、443Mピクセル/秒(実効性能値(注3): 1106Mピクセル/秒)を実行できるため、従来製品より低消費電力でGUIのリアルな表示や、高級感を演出できるアプリケーションが実現可能です。
(3) メインCPUとしてARM Cortex-A9を、汎用SIMDエンジンとしてNEONを搭載
新製品は、最大動作周波数533MHzのARM Cortex-A9を搭載し、最大1330DMIPS (Dhrystone MIPS)(注4)を実現。
LinuxやWindows、Androidといった汎用OS実装に十分な処理能力を有しています。また、汎用SIMDエンジンとしてNEONを搭載し、AACエンコードなど演算負荷の高いマルチメディア信号処理を高速かつ効率的に実行できます。
(4) カーナビやディスプレイ・オーディオに最適化した機能搭載により、システムコストの低減を実現
新製品は、組込み型カーナビ向けに高性能かつ必要十分な機能(IP)を搭載した「R-Car M1A」のアーキテクチャを踏襲し、カーナビやディスプレイ・オーディオ向けに最適化することで、「R-Car M1A」とのスケーラビリティを実現。
R-Carシリーズにてソフトウエア資産を有効に活用できます。
また、コンポジットビデオ信号出力用DAコンバータ、汎用ADコンバータのアナログ回路を搭載することで、廉価なディスプレイを接続可能とし、タッチパネルや車両の各種センサのアナログ信号を直接入力可能です。これらにより、システムの開発期間短縮や、部品点数の削減による低コスト化が図れます。
なお新製品は、モバイル、カーマルチメディア、ホームマルチメディア用SoC向けのルネサス新統合SoCプラットフォーム上で、アーキテクチャ、IP、ソフトウェアの共通化を図っており、車載情報端末におけるミドルレンジ/ハイエンド機器への展開や、モバイル、AV機器分野のSoC製品とのスケーラビリティを確保しています。
今後、「R-Car」シリーズの展開としては、本製品ならび「R-Car M1」に続き、ハイエンド機器向けに更なるマルチコア製品の高性能化、高機能化の開発を進めます。これらにより、市場ニーズに即した最適な製品をタイムリーに市場に投入していきます。
新製品の仕様は、別紙をご参照下さい。
(注1) 「R-Car」は、組込み型カーナビ等の車載情報端末向けSoCとしてこれまで多くの採用実績がある「SH-Navi シリーズ」や「EMMA CARシリーズ」を統合したSoC。
(注2) GUI(Graphical User Interface)は、情報がグラフィックスで表示され、直感的に操作することができるユーザインタフェース。
(注3) 実効性能値とは、3Dの重なり描画を考慮した一般的なユースケースでの値。
(注4) Dhrystone MIPS(Million Instructions Per Second)とは、コンピュータの演算性能を評価するプログラムDhrystoneによる性能測定値のこと。
* Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
Linuxは、Linus Torvalds氏の日本およびその他の国における登録商標または商標です。
Androidは、Google Inc.の商標または登録商標です。
PowerVR、SGXはImagination Technologies Limitedの登録商標または商標です。
ARM、Cortex、NEONはARM Limitedの登録商標または商標です。
SuperH、EMMA はルネサス エレクトロニクス株式会社の日本、米国及びその他の国における登録商標または商標です。
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