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廃車バンパーから新車バンパーへのリサイクルを世界で初めて実現【マツダ】
2011年8月24日
マツダ株式会社(以下、マツダ)は、廃棄処分された使用済み自動車のバンパー(廃車バンパー)を新車バンパーの材料としてリサイクルする技術を世界で初めて実用化*1し、2011年8月21日生産分よりビアンテのリアバンパー用として使用を開始しました。
この実用化により、これまでASR(Auto Shredder Residue)として焼却処理によるエネルギー回収(サーマルリサイクル)されていた廃車バンパーを、新車バンパーの材料として有効利用することができるため、自動車のマテリアルリサイクル率を向上させるとともに、資源の有効利用促進に貢献することができます。
マツダは、自動車のマテリアルリサイクル率向上に貢献する大型の樹脂部品であるバンパーのリサイクルに積極的に取り組んでおり、すでに系列ディーラーから回収した損傷バンパーから新車バンパーへのリサイクルを業界に先駆けて推進してきました。さらに、この損傷バンパーのリサイクルで培った技術を廃車バンパーに応用し、新車バンパーの材料としてリサイクルすることを目指してきました。
廃車バンパーは製造から10年以上経過したものも多く、素材となるポリプロピレン材の組成や塗膜との密着性が異なることや、金属片などの不要物の除去の必要など、技術的にも経済的にも新材に置換して利用することが難しい状況でした。
マツダは、このたび、1990年代から取り組んできたリサイクルしやすい設計が織り込まれた廃車が増加してきており、効率的なバンパーの解体が可能になってきていること、およびヤマコー株式会社*2と高瀬合成化学株式会社*3の協力を得て、廃車バンパーの効率的な回収・加工を実現することで、再生にかかる費用を抑え、新材以下の価格での再生利用を可能としました。
当面、広島地区にて、マツダ車の廃車バンパーを回収し、新車バンパーの材料に約10%混入して再生利用していきます。
現在、廃車から排出されるプラスチック、ゴムなどからなるASRは、車両重量全体の約20%であり、そのほとんどが、サーマルリサイクルされています。中でもバンパーは、樹脂部品の中では大きな部品であり、廃車バンパーの回収・リサイクルにより、ASRの削減と資源の有効利用が可能となります。
今後もマツダは、この「バンパー to バンパー」をはじめとする先進的なリサイクル技術の開発を進めることで、サステイナブルな未来に向けた誠実かつ着実な取り組みを続けていきます。
*1 2011年8月現在 マツダ調べ
*2 ヤマコー株式会社 (広島県広島市安芸区矢野新町1丁目1-3 代表 : 山本 周二)
*3 高瀬合成化学株式会社 (広島県東広島市河内町河戸743 代表 : 高瀬 岳雄)
■ マツダがこれまで行ってきたバンパーリサイクルの取り組みは以下のとおりです。
年 ——————- |
内容 ——————————————————————————————————————————— |
1992年 | ディーラーを通じて損傷バンパー(破損・損傷などの修理で交換されたバンパー)を回収し、アンダーカバーなどへの再生利用を開始。 |
2001年 | 機械式の塗膜除去技術を活用し、バンパー再生材を新材と同等レベルの強度に高め、バンパー補強用部品への再利用を開始。 |
2002年 | 塗膜除去条件を最適化し、塗膜除去率を従来の98%から99%程度まで向上させ、2002年7月からボンゴフレンディのバンパー(表面に凹凸模様のあるもの)への再生利用を開始。 |
2003年 | 株式会社サタケと共同で光学選別技術を組み合わせた新しい塗膜除去技術を開発し、再生材の塗膜除去率を99.9%へと高めることに成功。強度・品質とも高い要件が求められる通常の塗装バンパーへの再生利用が可能に。 |
2005年 | 新車のバンパー原料として再生材を継続的に利用することを開始。 |
2009年 | 世界初の廃車バンパーリサイクル自動化技術を開発。 |
マツダの環境技術については、以下のサイトをご覧ください。
マツダ 環境技術webサイト : http://www.mazda.co.jp/philosophy/tech/env/
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