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シグナルアナライザ/ベクトル信号発生器でIEEE802.11n/p/a/b/g/j対応無線LAN機器の評価を実現【アンリツ】

2011年7月27日

アンリツ株式会社(社長 橋本 裕一)は、シグナルアナライザMS269xAシリーズ/MS2830Aおよびベクトル信号発生器MG3700Aの機能を強化。無線LANの国際標準規格であるIEEE802.11n/p/a/b/g/j[※1]に対応したソフトウェアを開発。7月27日から販売を開始いたします。

新たに開発したソフトウェアは、シグナルアナライザMS269xAシリーズ/MS2830A用WLAN (802.11)測定ソフトウェアMX269028A、WLAN IQproducer MX269911Aおよびベクトル信号発生器MG3700A用WLAN IQproducer MX370111Aです。

MX269028AをMS269xAシリーズ/MS2830Aにインストールすることにより、IEEE802.11n/p/a/b/g/jに対応した無線LAN機器が送信した信号の特性を評価できます。

さらに、MX269911Aをベクトル信号発生器(オプションハードウェア)を内蔵したMS269xAシリーズ/MS2830Aにインストールすることにより、上記無線LAN機器の受信特性評価で必要となる試験信号を出力可能。1台の計測器でIEEE802.11n/p/a/b/g/jに対応した無線LAN機器を評価できます。

また、併せて開発したMX370111Aは、MG3700Aにインストールすることにより、無線LAN機器の受信特性評価で必要となる試験信号を出力できます。

無線LANは、ホームネットワークや車内無線システムなどで利用が拡大している事に加え、次世代ITS[※2]においても実用化に向けたトライアルが実施されています。

アンリツは、MS269xAシリーズ/MS2830AおよびMG3700Aで、主要な無線LAN規格をカバーしたソリューションを提供することにより、無線LANを利用した情報通信サービスの円滑な発展に貢献いたします。

開発の背景

無線LANモジュールの低価格化に伴い、IEEE802 .11a/b/g/jに対応した無線LANがホームネットワークや車内無線システムで広く普及しています。また高速化も図られ、高精細映像や画像を伝送できるIEEE802.11nが開発されたことに加え、次世代ITSでの利用を目的としたIEEE802.11pも実用化に向けたトライアルが実施されており、各種無線LANに対応した計測器のニーズが高まっています。

そこでアンリツは、無線LAN測定ソリューションを拡充。シグナルアナライザMS269xAシリーズ/MS2830Aおよびベクトル信号発生器MG3700Aで、IEEE802.11n/p/a/b/g/jに対応しました。

製品概要

■ WLAN (802.11)測定ソフトウェアMX269028A、WLAN IQproducer MX269911A
MX269028A/MX269911Aは、シグナルアナライザMS269xAシリーズ/MS2830A用ソフトウェアです。

MX269028AをMS269xAシリーズ/MS2830Aにインストールすることにより、IEEE802.11n/p/a/b/g/jに対応した無線LAN機器の送信特評価で必要となるEVM[※3]による変調解析、スペクトラムマスク[※4]スプリアス[※5]隣接チャネル漏洩電力[※6]などが測定できます。MX269028Aは、各種測定結果のグラフ表示や操作を簡易化するためのテンプレート、信号のキャプチャ/リプレイ(捕捉/再現)機能も備えており、開発段階における送信特性評価を効率よく行えます。

また、MX269911Aをベクトル信号発生器を内蔵したMS269xAシリーズ/MS2830Aにインストールすることにより、受信特性評価で必要となる信号を出力できます。MX269911Aは、GUI[※7]上の操作が可能であり、無線LAN規格に準拠した信号出力条件を簡易に設定できます。

【シグナルアナライザMS269xAシリーズ】
MS269xAシリーズは、50Hz~6GHzの周波数範囲において、優れた総合レベル確度[※8]と変調精度、広帯域解析を実現した計測器です。広帯域FFT[※9]解析が行えるベクトル・シグナル・アナリシス機能、信号波形をデジタルデータとして取り込めるデジタイズ機能も標準搭載しており、ワイヤレス通信システムの研究・開発や高性能が要求されるデバイス、基地局の試験が効率よく行えます。また、オプションでベクトル信号発生器を内蔵でき、1台のMS269xAで送信/受信特性評価が行えます。

MS269xAシリーズは、上限周波数により3機種(MS2690A:6GHz、MS2691A:13.5GHz、MS2692A:26.5GHz)を用意しており、用途に応じて選択できます。

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【シグナルアナライザMS2830A】

MS2830Aは、高速測定と高精度測定を低価格で実現したシグナルアナライザです。

スペクトラムアナライザのみの基本モデルから送受信試験を一台で行えるワンボックス構成まで、用途に応じた測定システムを柔軟に構築できます。
MS2830Aは、上限周波数により5機種(MS2830A-040:3.6GHz、MS2830A-041:6GHz、MS2830A-043:13.5GHz、MS2830A-044:26.5GHz、MS2830A-045:43GHz)を用意しており、用途に応じて選択できます。

MS2830A-040/041/043は、オプションでベクトル信号発生器を内蔵でき、1台で送信/受信特性評価が行えます。

MS2830A-044/045は、新スプリアス法[※10]が要求している26GHzまでの測定が行えます。また、外部ミキサを組み合わせることで最大110GHzまで測定可能となり、次世代無線通信システムの研究・開発用計測器としても使用できます。

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■ WLAN IQproducer MX370111A
WLAN IQproducer MX370111Aは、ベクトル信号発生器用MG3700A用ソフトウェアです。

MX370111AをMG3700Aにインストールすることにより、受信特性評価で必要となる信号が出力できます。MX269911AはGUI上の操作が可能であり、無線LAN規格に準拠した信号出力条件を簡易に設定できます。

MG3700Aは、2信号加算機能を標準で搭載しています。これにより、従来2台の信号発生器が必要であった希望波[※11]妨害波[※12]AWGN[※13]などによる試験が1台のMG3700Aで行えます。

【ベクトル信号発生器MG3700A】
MG3700Aは、3GPP LTE FDD/TDD、W-CDMA/HSDPA/HSUPA、CDMA2000 1X/1xEV-DO 、GSM/EDGE、Mobile WiMAX、ISDB-T/ISDB-Tmm、GPS、Bluetoothなど各種移動通信システムのデジタル変調信号を出力できる信号発生器です。任意波形ベースバンド発生器を標準内蔵しており、各波形パターンファイルを選択するだけで様々な通信方式のデジタル変調信号を出力できます。

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対象市場・用途

■ 対象市場 : 無線LAN関連メーカー、デジタル機器/家電関連メーカー、自動車/車載機器関連メーカー
■ 用途 : IEEE802.11n/p/a/b/g/j対応の無線LAN機器/モジュールの開発

※用語説明

[※1] IEEE802.11
IEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers) で策定された無線LANの国際標準規格。周波数帯域や用途によって通信速度が異なり、複数の規格が開発されている。
11n : 高速大容量伝送向けで、2.4GHz/5GHz帯で約600Mbpsの通信を可能とする。
11p : 自動車用途向けで、5GHz帯で約27Mbpsの通信を可能とする。
11a : 5GHz帯で約54Mbpsの通信を可能とする。
11b : 2.4GHz帯で約11Mbpsの通信を可能とする。
11g : 2.4GHz帯で約54Mbpsの通信を可能とする。
11j  : 11aを日本の電波法規制に沿うように改良した規格。5GHz帯で約54Mbpsの通信を可能とする。

[※2] ITS: Intelligent Transport Systems
情報通信技術を用いて「人」、「道路」、「車両」を結ぶ交通システム。交通事故、渋滞などといった道路交通問題の解決を目的として開発されている。

[※3] EVM : Error Vector Magnitude
デジタル変調された信号の品質を測る尺度。理想変調信号との位置のズレからその値を求める。

[※4] スペクトラムマスク
近隣の無線機器への干渉を防ぐために定義されている規格線を意味し、デジタル変調された信号の品質を計る尺度となる。

[※5] スプリアス
設計上意図されているものとは別の周波数成分のこと。不要波とも呼ぶ。

[※6] 隣接チャネル漏洩電力
搬送波と近接する通信チャネルに漏洩する信号の量。通信障害の原因となる。

[※7] GUI : Graphical User Interface
ユーザに対する情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作をマウスなどによって行うことができるユーザインターフェースのこと。

[※8] 総合レベル確度
測定誤差を発生させる要因をすべて含んだシグナルアナライザ/スペクトラムアナライザの総合的な性能。

[※9] FFT : Fast Fourier Transform
高速フーリエ変換。フーリエ変換とは信号中に含まれている周波数成分を抽出する処理。

[※10] 新スプリアス法
国際電気通信連合 無線通信部門が勧告しているスプリアス発射規制。新スプリアス法では、スプリアス発射試験の上限周波数が変更され、設備更新が必要になっている。

[※11] 希望波
受信試験を行う際に、測定チャネルとなる信号。

[※12] 妨害波
受信試験を行う際に、測定対象チャネルとなる信号とは別の妨害になる信号。

[※13] AWGN : Additive White Gaussian Noise
相加性白色ガウス雑音。通信を阻害する信号を作り出すために使用される。


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