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ダイカスト金型専用 溶接補修材「DHW」発売 ~補修部の金型寿命を5倍に延長~【大同特殊鋼】

2014年2月4日

大同特殊鋼㈱(社長:嶋尾  正、以下「当社」)は、ダイカスト金型専用の溶接補修材「DHW」を開発しました。当社の連結子会社である大同DMソリューション㈱(社長:津田孝良)が、2014年2月に販売を開始します。

DHW は、ダイカスト金型の損傷部の補修や形状修正に使用可能で、従来の溶接補修材に比べ、補修部の金型寿命を約5倍に延長できる溶接材です。(当社調べ)この 効果により、金型の補修コスト削減、および補修期間の延長による生産性向上に貢献します。なお、DHWは2012年10月に改正された特定化学物質障害予 防規則等に対応した、コバルトを含まない溶接材です。

1. 背景

ダイカストは、溶解したアルミ合金をダイカスト金型の隙間に流し込 み凝固させて部品を製造する工法であり、自動車のエンジンケースやミッションケースなど、アルミ製品の大量生産に用いられています。ダイカスト金型の表面 温度は、アルミ合金が触れる際に上昇し、部品の取り出し後に低下しますが、温度の上下が繰り返されると、金型表面に“ヒートチェック”と呼ばれる微細な割 れが生じ始めます。ヒートチェックは生産数の増加とともに大きくなり、アルミ製品への割れ模様の転写や金型の破損を招くことがあります。このため金型は、 定期的に生産を止めて外され、ヒートチェック部位を除去後に溶接補修、成形され、再組付けして使用されます。

従来、溶接補修にはマルエージング鋼が使用されてきましたが、溶接部位ではダイカスト金型に必要な硬さが得られず、早期にヒートチェックが発生する問題がありました。当社では、溶接補修材の成分を調整し、溶接した状態でダイカスト金型とほぼ同等の硬さが得られるようにしたことで、ヒートチェックの発生や進行を遅らせて、従来材よりも補修部の金型寿命を約5倍に延長できるDHWを開発しました。(当社調べ)

2. 特長

溶接後の硬さ … ダイカスト金型と、ほぼ同等の43~48HRC
溶接部のヒートチェック寿命 … 溶接ままでマルエージング鋼対比5倍(当社調べ)
コバルトフリー … 特定化学物質障害予防規則等に該当する元素を含みません (マルエージング鋼は同規則の該当元素を含有)

3. 用途および効果

4. 製品ラインナップ

TIG溶接用 : 直径1.0、1.2、1.6、2.4、3.2mm、長さ 1,000mm

5. その他

金型補修溶接材料およびこれを用いた金型補修溶接方法について特許を取得

参考資料

1. 用語説明
マルエージング鋼
炭素の含有量を減らし、ニッケルとコバルトなどの合金元素をあわせて30%含む、強度、靭性に優れた特殊鋼。

TIG溶接
Tungsten Inert Gas溶接の略。タングステンを電極とし、シールドガスに不活性ガスのアルゴンやヘリウムを用いる溶接。

2. DHWと従来材(マルエージング鋼 : MAS1C)使用時の損傷状況比較





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