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車載・ポータブルAV機器用 地上デジタル放送受信フロントエンドLSIを開発【パナソニック】

2013年12月13日

業界初※1、チューナと復調機能の4ダイバーシティ対応をシングルチップで実現、機器のコスト削減と低電力化に貢献
車載・ポータブルAV機器用 地上デジタル放送受信フロントエンドLSIを開発

2013年12月 サンプル出荷開始


【要旨】

パナソニック㈱は、地上デジタル放送規格(ISDB-T/Tmm/Tsb・DVB-T)[1]に準拠し、RFチューナを統合した4ダイバーシティ[2]対応DTV復調LSI(品番:MN88541)を業界で初めて※1シングルチップにて開発、2013年12月よりサンプル出荷を開始します。お客様ニーズに応じて、2ダイバーシティ仕様のラインナップ(品番:MN88541D)も提供します。

【効果】

本製品を使用することにより、車載・ポータブルAV機器等の地上デジタル放送受信機能をより高感度、小型、低消費電力で実現可能であり、システムコスト削減に貢献します。

【特長】

本製品は以下の特長を有しています。

1. RFチューナとOFDM[3]復調回路を各4系統、および誤り訂正用メモリ[4]をシングルチップに統合。小型BGAパッケージ採用により基板実装面積を大幅に削減すると共に、中継局サーチ等のシステム設計自由度を向上。
2. ISDB-Tフルセグ時の受信感度を約25%向上※2すると共に、移動時の速度限界を約50%向上※2。さらに地上波特有のマルチパス妨害[5]耐性強化により、業界最高水準※1の受信性能を実現。
3. ISDB-Tフルセグ受信時の消費電力を約40%削減※2。機器の省エネ化と周辺部品コストの合理化を実現可能。

【内容】

本製品は以下の技術によって実現しました。

1. 高感度なRFチューナをDRAM混載プロセス上に搭載可能とする高周波回路設計技術
2. 車載・ポータブルAV機器の移動受信に最適なOFDM復調性能を実現する高精度伝送路推定・等化処理技術
3. 低電圧動作でも高感度を実現するRFチューナ技術、およびデジタルアシスト技術

【従来例】

車載・ポータブルAV機器等の移動受信端末におけるダイバーシティ対応DTVフロントエンド回路において、高精度なアナログ特性を必要とするRFチューナと、大容量のメモリが必要な復調部は半導体プロセスが異なるため、別チップ構成による実現が一般的でした。別チップ構成では、機器のコスト削減や小型化が困難なため、シングルチップ化のニーズが高まっていました。

※1  RF統合4ダイバーシティ対応DTV復調LSIとして。2013年12月13日現在、当社調べ。
※2  当社従来品(品番:MN884441UB)比。

【実用化】

サンプル出荷開始 : 2013年12月  量産開始 : 2014年3月  価格 : 数量応談

【特長の説明】

1. RFチューナとOFDM復調回路を各4系統、および誤り訂正用メモリをシングルチップに統合。小型BGAパッケージ採用により基板実装面積を大幅に削減すると共に、中継局サーチ等のシステム設計自由度を向上。
本製品では、低電力RFチューナとOFDM復調回路を各4系統、および誤り訂正用メモリをCMOSシリコン上に集積、シングルチップ化を実現。小型BGAパッケージ(13mm×13mm/0.8mmボールピッチ)と組み合わせることにより、機器の基板実装面積削減に貢献します。また、移動中に視聴番組が受信エリアを外れる際、次の中継局に自動的に切替わる中継局サーチシステムにおいて、本製品は4つの入力ブランチの内、3つを視聴番組のダイバーシティ受信合成に、残る1つを中継局サーチに任意に割り当てることが可能であり、システム設計の自由度を広げ、より安定した受信エリアの確保が可能となります。

2. ISDB-Tフルセグ時の受信感度を約25%向上※2すると共に、移動時の速度限界を約50%向上※2。さらに地上波特有のマルチパス妨害耐性強化により、業界最高水準※1の受信性能を実現。
本製品は、国内外で採用されているISDB-T全規格(Tmm/Tsb含む)およびDVB-T規格に準拠した地上デジタル放送受信に対応します。豊富な市場実績で培った最新の高精度OFDM復調回路、さらに車内環境における様々なモーターノイズを除去する妨害キャンセラー機能を搭載し、より安定した受信性能を実現します。

3. ISDB-Tフルセグ受信時の消費電力を約40%削減※2。機器の省エネ化と周辺部品コストの合理化を実現可能。
本製品は、携帯端末向け製品で培った低電力RFチューナ技術を元に、RFチューナの動作電圧を最適設計すると共に、低電圧動作させることで、ISDB-Tフルセグ受信時の消費電力を当社従来品比約40%削減※2し、電源回路や放熱対策等の周辺部品コストの合理化に貢献します。

【内容の説明】
1. 高感度なRFチューナをDRAM混載プロセス上に搭載可能とする高周波回路設計技術
当社独自のCMOSチューナ回路をDRAM混載プロセスにチューニングし、高感度・高妨害耐性RF技術を加えることにより、4ダイバーシティ対応のシングルチップ化を実現しています。

2. 車載・ポータブルAV機器の移動受信に最適なOFDM復調性能を実現する高精度伝送路推定・等化処理技術
長年の豊富な市場実績で培ったDTVフロントエンドLSIの復調技術に加えて、周辺環境や端末移動に伴って発生する伝送路変動を推定・補正する高精度伝送路推定・等化処理技術により、高速移動特性、マルチパス妨害耐性を向上させました。

3. 低電圧動作でも高感度を実現するRFチューナ技術、およびデジタルアシスト技術
本製品に搭載されるRFチューナは、UHF及びVHF帯周波数を雑音指数2.5dB以下で増幅できる低雑音LNA[6]設計技術、LSI内や機器内で発生するRF高調波を減衰させる高調波抑圧ミキサ[7]技術を備えています。さらに、受信状態に応じてデジタル制御でLNAやミキサ等のチューナ回路を最適動作させるデジタルアシスト技術により、低電圧動作においても高感度・高妨害抑圧を実現しています。

【概略仕様】

【用語の説明】

[1]地上デジタル放送規格
・  ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial) : 日本・南米等で採用されている地上デジタル放送の規格名称です。
・  ISDB-Tmm:2012年春に日本でサービスが開始された携帯端末向けマルチメディア放送(VHF-H帯域)に採用されている規格名称です。
・  ISDB-Tsb:ISDB-TのVHF-low帯域(90~108MHz)を使ったマルチメディア放送規格です。
・  DVB-T(Digital Video Broadcasting-Terrestrial) : 欧州・アジアを始め世界の多くの地域で採用されている地上デジタル放送規格です。

[2]ダイバーシティ
様々な方位からの電波をしっかり捉え、4つの独立したチューナの高速デジタル合成処理、データの誤り・劣化を自動補正し、最適な1つのデータへと合成処理する機能です。複雑な反射や時間差で到来する電波をより正確に捕えることで、より安定した受信が可能となります。

[3]OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)
多数の搬送波を用いて変調・多重を行う伝送方式の一つであり、日本・南米・欧州地域の地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式に使用されています。

[4]誤り訂正用メモリ(デインターリーブメモリ)
移動時等時間的なレベル変動やバースト的なノイズに対する信号レベルの変動に対して、強固な誤り訂正を実現するため、ISDB-T/Tmm/Tsb規格では時間インターリーブが採用されており、その処理に使用するメモリです。

[5]マルチパス妨害
建物、山岳等の障害物への反射、および、SFN(Single Frequency Network:単一周波数ネットワーク)において同じチャンネル周波数を使って放送する複数の中継局の電波の到来遅延により発生する妨害であり、地上デジタル放送で一般的な妨害の一つです。

[6]LNA
ローノイズアンプの略。RFチューナ回路内の前段に位置し、アンテナからの微弱な入力電波を増幅するための低雑音増幅器です。

[7]ミキサ
LNAの後段に位置し、特定の物理チャンネルだけを増幅する混合器です。

[8]TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)情報
放送波に含まれる信号であり、復調・復号する際に必要な放送パラメータ等の情報信号です。

[9]AC(Auxiliary Channel)情報
補助チャンネルの情報であり、このチャンネルを用いて緊急放送が検討されています。



プレスリリースの内容は発表時のものです。
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