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小型・高効率電源回路向け 「車載パワーチョークコイル」を製品化【パナソニック】

2013年9月30日

車載ECUの電源回路の省スペース化や精密制御の実現に貢献
小型・高効率電源回路向け 「車載パワーチョークコイル」を製品化
業界トップレベル(※1)の低直流抵抗で、小形化、大電流を実現


パナソニック㈱オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、HEV、EV、ガソリン車などのECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)の電源回路に最適な業界トップレベル(※1)の低直流抵抗[1]で小形化、大電流などを実現した「車載パワーチョークコイル[2]」を製品化しました。

車載のエンジンECUは環境や燃費への高い要求を達成するために、燃焼、吸気、排ガスの高速で精密な制御をはじめ制御数の増加が進んでいます。またエンジン以外のECUも増加する傾向にありECUの小形、統合、軽量化要求も高まっています。これに伴い、ECUのCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)は高周波、低電圧化が進みCPUを駆動する電源回路は高効率のDC/DCコンバータ[3]で構成されるケースが一般的になっています。このような中、DC/DCコンバータ部に搭載されるパワーチョークコイルには、小形で大電流とともに耐熱性、耐振動性が求められています。当社では、業界トップレベル(※1)の低直流抵抗で市場のニーズにお応えする車載用電源回路に最適な「車載パワーチョークコイル」を製品化しました。

特長

業界トップレベル(※1)の低直流抵抗(直流抵抗:36mΩ)で次の特長を有しています

1. 小形化(5mm角)、大電流対応でECUの電源回路の省スペース化に貢献
形状 : 縦5.0×横5.5×高さ4mm 当社従来品(※2)体積比 約40%減
電流値 : 4.0A

2. 低損失で電源の高効率化が可能。ECUの増加や制御数の増加への対応に貢献
また放熱などの回路設計が容易

3. 優れた耐熱性、耐振動性により、車載ECUの厳しい環境下に最適
耐熱性 : 150℃/2000h、耐振動性:5Hz~2kHz/15G

(※1)2013年9月30日現在 メタルコンポジットコア構造のチョークコイルとして(当社調べ)
(※2)当社従来品:PCC-M0645Mシリーズ

用途

HEV、EV、ガソリン車などのエンジンECU、各種EUCの電源回路

お問い合わせ先

オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社  広報グループ
TEL : 06-6904-4732  ホームページURL : http://panasonic.co.jp/ais/

特長の詳細説明

1. 小形化(5mm角)、大電流対応でECUの電源回路の省スペース化に貢献
近年、車載の低燃費化が進み中、エンジンECUに代表される車載のECUには高速で精密な制御をはじめ制御数の増加が進んでいます。またECUの増加からECUの小形、統合、軽量化要求も高まっています。ECUのCPU駆動電源のノイズ除去用フィルタやDC/DCコンバータ部に搭載されるパワーチョークコイルには、小形で数アンペアクラスの大電流にも対応できることが要求されています。今回、当社では、業界トップレベルの低直流抵抗(直流抵抗:36mΩ)を実現する独自技術を開発しました。具体的には高いインダクタンス値[4]達成を可能にする、独自の金属磁性材料を用いたメタルコンポジット材料[5]と細い銅線を用いた巻線コイルを採用。さらにこの金属磁性材料と巻線コイルを隙間なく一体成形したギャップレス一体構造を開発しました。これにより業界トップレベルの低直流抵抗(直流抵抗:36mΩ)を実現。低直流抵抗のため、発熱や損失(ロス)が低く、5mm角と小形化ながら大電流対応でECUの電源回路の省スペース化やECUの精密な制御にも貢献できます。

2. 低損失で電源の高効率化が可能。ECUの増加や制御数の増加への対応に貢献
また放熱などの回路設計が容易

特長1で述べたとおり、車載のECUでは制御数の増加や、ECU自体も増加傾向にありECUの小形・統合・軽量化が要求されています。バッテリーの限られた電力量の中で、制御数増加や複数のECUに対応する必要があり車載パワーチョークコイルには低損失が求められています。本製品は業界トップレベルの低直流抵抗で抵抗が低いため、回路上で必要な電流、電力を下げることができ、結果、消費電力の低減が図れます。これによりECUの制御数の増加や、ECU自体の増加にも対応できます。また低直流抵抗で発熱が低く温度上昇を抑えることができるため、ECU側で必要な放熱回路の設計が容易になります。


■製品断面(模式図)


3. 優れた耐熱性、耐振動性により、車載ECUの厳しい環境下に最適
従来、磁性材料と巻線コイルの成形方法で小形化を図った場合、過酷な環境下において、コア内にクラックなどの欠陥が発生するという課題がありました。今回、金属磁性材料と細銅線の巻線コイルを隙間なく一体成形できるギャップレス一体構造の実現により、クラックなどの欠陥が発生せず、また磁性材料の組成に工夫をすることで150℃の高耐熱を達成しています。またコア内部から銅線を引き出した独自の端子構造を採用することで、基板への実装信頼性が高く、優れた耐振動性を達成しています。これによりエンジン周りなど厳しい環境下での搭載に最適です。


■端子構造(製品の下面)

基本仕様

用語説明

[1] 直流抵抗
巻線(銅線)の抵抗成分。これが低いほど電力の損失が小さくなる。直流抵抗が低いほどロスが減り、電源効率を改善できる

[2] パワーチョークコイル
DC/DCコンバータ部などに使用される表面実装タイプの電子部品で、エネルギー蓄積の役割を持つインダクタ部品

[3] DC/DCコンバータ回路
ある電圧の直流電流を、異なる電圧の直流電流へ変換する回路

[4] インダクタンス値
コイルの性能を表す指標のひとつ。コイルに変化する電流を流すと、その電流変化を妨げる方向に電流を流す電圧が発生する。この発生する電圧の度合いをインダクタンスという

[5] メタルコンポジット材料
金属磁性材(鉄族)をベースとした粉末を樹脂により絶縁し、圧縮成型した磁性材料



プレスリリースの内容は発表時のものです。
商品の販売終了や、組織の変更等により、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。




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