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アルミニウム多孔体「アルミセルメット」の開発について 【住友電気工業】

2011年6月24日

当社はこのほど、アルミニウム多孔体「アルミセルメット」を新たに開発し、大阪製作所(大阪市此花区島屋1-1-3)に
ミニラインを導入し、量産に向けた開発を加速することにしました。

「セルメット」は、ニッケルやニッケルクロム合金の金属多孔体です。その製造方法は、発泡樹脂に導電処理を行った後に、ニッケルめっきを行い、その後、熱処理により発泡樹脂を除去するという工程からなります。
その特長は、金属不織布、発泡金属などの他の金属多孔体には無い大きな気孔率(最大98%)を有し、また三次元網目状の連通構造で目詰まりが無く、空孔が球状となっていることです。また、切断やプレスなどにより、容易に様々な形状に加工することができます。
これら特長により、電池に使用する活物質の充填性・保持性、及び集電性が良いことから、最近では、ハイブリッド自動車用ニッケル水素電池の正極集電体に採用されています。

今般、新たに、ニッケルのセルメットと同様のプロセスにて、アルミニウム多孔体「アルミセルメット」の開発に成功しました。
「アルミセルメット」は、「セルメット」の大きな気孔率という特長に加え、アルミニウムの比重がニッケルの約1/3と軽量で、電気抵抗率もニッケルの半分以下で高い導電性を有します。また、耐食性にも優れ、「セルメット」が使用できなかったリチウムイオン二次電池など充放電電圧の高い二次電池や、キャパシタの集電体にも適用が可能になります。

「アルミセルメット」の適用に関する当社内評価

アルミセルメットはリチウムイオン二次電池やキャパシタの高容量化に有効です。
現在、リチウムイオン二次電池の正極集電体にはアルミニウム箔が、負極集電体には銅箔が使用されていますが、アルミニウム箔の代わりに「アルミセルメット」を適用した場合、アルミニウム箔に比べ単位面積あたりの正極活物質の量が増やせます。これにより、当社試算では、自動車等に搭載される組電池にあてはめると、電池の容量は1.5~3倍になります。また、同じ容量を有する電池を構成する場合には、電池の体積を約1/3~2/3に低減できるので、例えば、太陽光などの自然エネルギーや、燃料電池で発電した電気を蓄えるための家庭用蓄電池などに使用する場合には、省スペース化が実現できます。
一方、キャパシタの場合、現在、正負極両方の集電体にアルミニウム箔が使用されていますが、「アルミセルメット」を適用すれば、リチウムイオン電池と同様の高容量化・省スペース化の効果が見込めます。

今後、リチウムイオン電池やキャパシタ用の集電体等での実用化に向けて、量産化と改良を重ねていきます。


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