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16ビット車載マイクロコントローラにアナログ機能を統合した「S12 MagniVミックスドシグナル・マイクロコントローラ」を発表【フリースケール】

2011年6月22日

アナログ機能の統合で可能となったマイクロコントローラと自動車用バッテリの
電圧信号の直接接続により、システムのコストとサイズを削減

2011年6月22日 – フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社(本社:東京都目黒区下目黒1-8-1、代表取締役社長:ディビッド M. ユーゼ)は、S12 MagniV(エス12・マグニヴィ)ミックスドシグナル・マイクロコントローラ・ファミリ初のシングルチップ・デバイス「S12VR64」を発表しました。このデバイスは、自動車ボディ・ネットワーク環境でローカル・インタコネクト・ネットワーク(LIN)に接続される、ウィンドウ制御やサンルーフ制御のアプリケーションを対象としたDCモータでの使用を目的としています。

S12VR64マイクロコントローラのベースとなるのは、フリースケールの画期的なLL18UHVテクノロジ(2010年11月発表)です。LL18UHVテクノロジは、マイクロコントローラ上での多様なアナログ統合に対応しており、高電圧信号および電源を直接マイクロコントローラに接続する設計が可能です。そのため、システムの複雑性が抑えられ、ボード空間の節約、システムの品質向上を達成できます。

従来の自動車エレクトロニクス設計では、高電圧プロセスで製造されたバッテリおよびパワー・アクチュエータ出力に接続するデバイスと、低電圧デジタル・ロジック・プロセスで製造されたマイクロコントローラの複数のデバイスが必要とされていました。このため、最終製品の物理的スペースに制約があると問題が生じます。S12VR64マイクロコントローラは、LIN物理層、電圧レギュレータ、およびローサイドとハイサイドのドライバなどのリレー駆動の電気モータ制御に必要なさまざまなデバイスが、1つのデバイスに集積されています。

この高集積を可能にしたのがLL18UHVテクノロジです。LL18UHVテクノロジは、信頼性に優れたフリースケールの低リーケージの0.18ミクロン(LL18)製造プロセスを利用して、40Vアナログ、不揮発性メモリ(NVM)、およびデジタル・ロジックを単一のシリコン・チップ上に統合します。その結果、現行の設計で最大4個のチップに相当する性能を備えた小型で費用対効果に優れたソリューションが実現します。コンポーネント数が少ないため、全体の品質が向上し、ボード面積が小さく抑えられて、最終的には車重の減少をもたらします。

フリースケールの上席副社長兼マイクロコントローラ・ソリューション・グループ担当ジェネラル・マネージャであるレザ・カゼロニアンは、次のように述べています。「フリースケールは、車載半導体分野におけるリーダーシップと実績あるプロセス技術の専門知識を集結して、車載ネットワーク・アプリケーション向けのより効率的なソリューションを完成させました。このS12VR64ミックスドシグナル・マイクロコントローラはLL18UHVテクノロジによる最初のデバイスですが、今後も引き続きS12 MagniVファミリ製品の充実を図り、自動車ボディ・エレクトロニクスを含むさまざまな分野の幅広いモータ制御と照明のアプリケーションに向けて、適切な精度レベルとインテリジェント機能を提供していきます。」

S12 MagniVファミリは、実績の高い16ビットS12マイクロコントローラをベースとして、幅広いアプリケーションでのソフトウェア互換性とツールの再利用を実現しています。このファミリには以下のメンバーが含まれます。

● 今回リリースするS12VR64ミックスドシグナル・マイクロコントローラ:LL18UHVテクノロジをベースとするシングルチップ・デバイスで、高電圧アナログ、NVM、およびデジタル・ロジックを1つのシリコン・チップに統合することが可能です。フットプリントはファミリ中で最小です。

● 従来のシステム・イン・パッケージ(SiP)ソリューション(MM912F634、MM912G634、MM912H634):S12マイクロコントローラとSMARTMOSアナログ制御ICの統合デバイスです。2つの異なるプロセスで製造されたそれぞれのダイを、1つのパッケージで提供されます。これらのSiPデバイスは、高電流が不可欠なアプリケーション向けのデュアルダイ・ソリューションに最適です。

フリースケールは、S12 MagniVファミリを拡充して、マイクロコントローラ、車載電圧レギュレータ、LINとCAN物理層、モータ・ドライバなど多様な機能をシングルチップ、または2つのダイがシングルパッケージ化されたソリューションにて、AEC-Q100認証の多様な製品をラインナップする計画です。S12 MagniVファミリで予定している次のデバイスは、ブラシレスDCモータ制御、LED照明、ステッパ・モータ制御、LINスレーブ汎用ノード、または汎用マイクロコントローラなどのアプリケーションと高電圧I/Oを結合するシングルチップ・ソリューションです。

S12VR64マイクロコントローラは、フリースケールの長期製品供給プログラム(Product Longevity Program)の対象となっており、製品リリースから最低15年の供給体制が保証されます。
期間や条件、対応製品リストに関する詳細については、www.freescale.com/productlongevityのWebサイトをご覧ください。

価格と供給

S12VR64マイクロコントローラは現在サンプル出荷中です。S12VR64は、2012年の早期に車載規格のAEC-100認証を取得する見込みです。1万個購入時の1個あたりの参考価格は1.65ドル(USD)です。

フリースケール・テクノロジ・フォーラムについて

イノベーションとコラボレーションの活性化を目的に設立されたフリースケール・テクノロジ・フォーラム(FTF:Freescale Technology Forum)は、組込みシステム業界の毎年恒例の開発者イベントです。2005年に開催を開始して以来、世界中のFTFイベントへの参加者は40,000人を超えています。年1回の中核イベントであるFTF Americasは、新たな開催地であるテキサス州サンアントニオで2011年6月20日~23日の日程で開催しています。また、FTF Japanは東京にて、2011年9月13日に開催される予定です。

フリースケール・セミコンダクタについて

フリースケール・セミコンダクタ・インクは、自動車用、民生用、産業用、およびネットワーキング・マーケット向け組込み用半導体のデザインと製造の世界的リーダーです。フリースケールは、テキサス州オースチンを本拠地に、世界各国で半導体のデザイン、研究開発、製造ならびに営業活動を行っています。
詳細は、http://www.freescale.com/(英語)、またはhttp://www.freescale.co.jp/(日本語)をご覧ください。