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先行開発車第3号 スマートなエネルギー利用を実現する電気自動車“SIM-CEL”が完成【SIM-Drive】

2013年3月27日

~ハイパフォーマンスとスマートなエネルギー利用を両立する電気自動車~

電気自動車の研究開発を行う㈱SIM-Drive(本社:川崎市、社長:清水 浩)は、2012年2月より約1年の期間で先行開発車事業第3号を行って参りました。この度、本事業の成果である「SIM-CEL」「シム・セル」(表1)が完成しました。
本事業は、2015年頃に量産化が出来ればと願う電気自動車の先行開発車の試作を行うことを目的とし、将来、電気自動車ビジネスに参入を意図している26機関(表2)からの参加を頂きました。
「SIM-CEL」は、1号車の「SIM-LEI」、2号車の「SIM-WIL」で実現した航続距離300㎞以上はもちろん、将来量産した時の信頼性と電気自動車の魅力をより多く発信するため車種展開することを目標に開発してまいりました。また同時に自動車の普及に欠かせない、加速感、乗り心地、居住性の中で、特に加速感に重視した次世代の電気自動車となっております。

「SIM-CEL」は㈱SIM-Driveの基本技術であるダイレクトドライブ方式インホイールモータとコンポーネントビルトイン式フレームを採用したうえで、下記の特徴があります。

1. 突き抜ける加速感 0→100㎞/h加速4.2秒を実現。慶應義塾大学開発のEliicaとならぶ加速感
2. 世界最高レベルの効率となる電力消費量の達成。
3. スマート・トランスポーテーションの概念を確立させ、スマートハウス、スマートシティとのつながりを実現。

さらに次の特記すべき内容を含んでおります。

1. 参加機関からの技術を実車に74種類採用。
2. カーボン繊維などの化学素材や新しい加工技術などを積極的に導入し、さらなる軽量化を実現
3. 理論空力造形による空力計算から生まれたデザイン。

車名の由来

“CEL“は”SIM-Cool Energy Link“の頭字語を表します。これまでの社会は石油燃料や原子力など熱を排出するエネルギーに依存していました。SIM-Driveが提案する新しいエネルギー循環によって余分な熱を排出しない(Coolな)再生可能エネルギーをより有効に利用することができるようになります。そんな願いを込めてこのネーミングしました。

加速感

モーター内構造を見直し、最大トルクを700Nmから850Nmへ拡大させたことにより、突き抜ける加速感を実現。0-100km/h 4.2秒、加速度0.7G以上を実現しています。清水浩が関わり、慶應義塾大学が開発した“Eliica”が8輪(8モータ)で実現した加速感を4輪(4モータ)で実現しました。

電費性能

搭載された電池を限りなく有効に使うことのできる世界最高レベルの電費性能を達成しました。この性能は次の技術により実現しました。
– アイドリングストップ装置に相当する機能を実装。それは停車時にインバーターからの出力を停止させ、停車時の電力消費を限りなく少なくする技術です。これにより航続可能距離20km (JC08)を伸ばすことができました。
– 新しい技術の採用によりモーター内部の摺動抵抗を低減することに成功。(2号車比50%削減)
– 理論空力造形から生まれるデザインにより、空気抵抗を極力減らしました。空気抵抗をあらわす数値であるCd値は0.199となっております。

74種類に上る技術の提供

SIM-Driveの先行開発車事業の特徴は、参加機関と協働して一台の先行開発車を作ることです。3号参加機関から48種類、1号、2号参加企業からは26もの技術を提供いただきました。(詳細はプレスリリース全文をご参照ください。 PDF 826KB)

ボディー、足回り

SIM-Driveの基幹技術である、「コンポ―ネントビルトイン式フレーム(CBF)」は2号車の「SIM-WIL」で同じプラットフォームから複数車種に派生させることができることをすでに実証いたしました。「SIM-CEL」では高トルク化されたモーターを支えるため、より高剛性の仕様となっております。アッパーボディーは、SIM-WILで採用したモノコックスチールスペースフレーム、「SIM-Drive Steel Space Frame(SSF)」の剛性をさらに高めながら軽量化。車体外板にはカーボン繊維などの化学素材を多用し、鉄板を採用した場合と比べ79kg軽量化を実現しています。
サスペンション、ブレーキ共に「SIM-WIL」を踏襲しながら性能向上を図りました。特にフロント、リアサスペンションのリンクレイアウトを見直し、アライメント特性の改善により、より優れた操縦安定性向上が実現しました。

デザイン手法

SIM-CELは新しいデザイン手法として、“理論空力造形”を採用しました。理論空力造形とは空力上最適化された水滴形状をベースとして、車体デザインをおこしていくSIM-Driveが開発した独自の手法です。理論空力造形の採用により短時間で空力に関して最適化されたデザインの構築が可能となりました。

スマート・トランスポーテーション

スマートハウス、スマートシティなどと電気自動車をつなぐ概念をスマート・トランスポーテーションと呼ぶことにしました。その目的は電気自動車を中心とし、情報、エネルギー、サービスをつなぐことによりスマートなエネルギー利用を実現することです。
電気自動車が大容量の電池を搭載していることと、再生可能エネルギー安定利用のために電池を必要としていることが補完関係にあることに着目し、両者をより積極的につなげる方法を考案し、電気自動車を中心としたサービス体系構想として確立しました。また、体系をSIM-iBeeと名付けました。
3号車ではこのサービス体系のコア機能の試作を行いました。具体的にはサービス利用者である電気自動車を含む、需要家と発電それぞれに端末としてエネルギー充放電装置、接続装置、電力量通信装置を設置し、これらからの情報を束ねてサービスを行うクラウド上のエネルギー管理システム、ユーザ向けサービスのひな型、さらにサービスユーザ向けの画面プロトタイプを作成しました。
コア機能は、複数の発電と充電の予定情報から、組み合わせる発電・充電を特定し、実際の発電・充電時の電力量情報を管理することにより、充電電力量の発電種類別の量を把握して可視化することにあります。この可視化された量を放電時の指標として任意の需要家に対して他のサービスとの交換を可能にする仕組みです。
この仕組みにより、再生可能エネルギーと電気自動車が相互の相乗効果で増えていくだけでなく、関連する多様なサービスや、電力設備投資の抑制など様々な効果をもたらす可能性を提供します。結果として地球環境に大きく貢献することが期待されます。



1. 複数の発電、充電予定が登録されると、クラウドは条件のマッチした組合せを特定します。予定時間になるとクラウドからのガイドで充電が開始され、クラウドは両者の電力量を管理します。
2. 充電終了で蓄電量の内訳を更新し、再生可能エネルギーの量と比率を算出し管理します。比率に応じた色分け(大から青・緑・赤)情報を付加します。
3. 各需要家は車から放電を受ける再生可能エネルギー量に応じた交換サービスのメニューを持てるので、クラウドを介して車の放電量と連携(ポイント制など)が可能です。(充電時のサービスメニューも同様に提供可能)


※以上の参加機関に加え、非公開企業を含めた合計参加機関は26機関となります。


本リリースに関するお問い合わせ先

㈱SIM-Drive
Email : contact@sim-drive.com
TEL : 044-201-1014
FAX : 044-599-6444




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