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世界有数の高性能ゴムメーカーとしてのポジションを強化【ランクセス】
2013年3月5日
・ ブラジルのトリウンフォ製造拠点において、標準タイヤ向けのESBR製造から高性能「エコタイヤ」向けのSSBR製造に転換
・ 8,000万ユーロの投資
・ メガトレンドのモビリティとタイヤラベリング制度導入に伴い「エコタイヤ」の需要が増加
・ ブラジルのタイヤラベリング制度は2016年下半期に導入予定
・ SSBRとNd-PBR両方を含むゴム配合が「エコタイヤ」の性能を最大限に
ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、世界有数の高性能ゴムメーカーとしてのポジションの強化を図ると発表しました。ランクセスは、ブラジル南部のトリウンフォ拠点(リオグランデ・ド・スル州)においてフィージビリティスタディを実施し、標準タイヤ向けのESBR(エマルション・スチレン・ブタジエン・ゴム)の製造から、高性能「エコタイヤ」向けのSSBR(ソリューション・スチレン・ブタジエン・ゴム)の製造に転換することを決定しました。このような製造転換を行う企業は、ランクセスが初となります。
現在、ESBRの年間製造能力11万トンを誇るトリウンフォ拠点において、約8,000万ユーロを投資して製造技術の転換を行います。ランクセスは、この投資資金を営業キャッシュフローで調達する予定で、この転換期間中に最大500名を臨時雇用し、2014年末から、SSBRの最新グレードの製造を開始します。ESBRは今後、ブラジルのドゥケ・デ・カシアス拠点(リオデジャネイロ州)から顧客に安定した供給を行います。ESBRは、主にトラック用タイヤの製造およびリトレッド(摩耗したタイヤ表面のトレッドゴムの張替え)に使用されており、リトレッドすることで、カーカスが複数回再利用でき、タイヤ製造における原料の節減となります。
ランクセスは、「ブナ(R)(Buna(R))」の商標名で販売されているSSBRやネオジウム触媒ポリブタジエンラバー(Nd-PBR)などの世界有数の高性能ゴムメーカーです。低燃費で環境に配慮した「エコタイヤ」にシフトする消費者の傾向のため、SSBRとNd-PBRの世界の成長率は、2017年まで年間約10%と予測されています。
ランクセスの経営委員会メンバーであるヴェルナ・ブロイヤスは、3月4日に行われたサンパウロの記者会見で次のように述べています。「ブラジルで、今回、再び大規模な合成ゴムの投資を発表できることは大変喜ばしいことです。これは、ブラジルのランクセス拠点とその従業員へのコミットメントを示しています。ランクセスのお客様がこの重要な市場において事業拡大計画が実現できるように最高の技術を提供したいと考えています」
製造能力の増強により「エコタイヤ」の旺盛な需要に対応
「エコタイヤ」の需要は特に、中産階級が豊かになってきているアジアや中南米地域においては、メガトレンドであるモビリティー(車社会化)が原動力となっています。また、世界各地で引き続き導入されているタイヤラベリング制度がこの需要を促進しています。
2012年11月1日からEUにおいて新しいタイヤラベリング制度が義務化されました。EUではすでに冷蔵庫と洗濯機で同様の制度があり、ラベリング制度は消費者に周知となっています。生産された全ての新タイヤに、転がり抵抗(燃費)では、A(最上級)からG(最下級)、ウェットグリップ性能(安全性)では、AからFまでの等級付けが明瞭に表示され、さらに走行時の騒音量についても明示されます。従って、新しいタイヤラベリング制度は、「エコタイヤ」の付加価値を明確化することで、消費者にタイヤを識別するための透明性をもたらします。
日本と韓国では、世界に先駆けて、タイヤラベリング制度(欧州とは異なる表示、等級分け)が導入されました。日本では 2010年1月から、韓国では2011年11月からタイヤメーカーによる任意のタイヤラベリング制度が導入されており、さらに韓国では2012年12月から同制度が義務化されています。
ブラジル政府は、2016年10月付けで、EU基準を参考にタイヤラベリング制度の導入を目指しています。中国では、五カ年計画の一環として検討中です。
複数の研究によると、自動車の燃費の20%~30%、走行時のCO2排出量の24%は、タイヤに起因していることが示されています。「エコタイヤ」は、燃費を5%~7%低減し、他の燃料節約技術(自動アイドリングストップシステムやハイブリッド駆動など)に比べて、より短期間でコストの回収が可能となります。
「ガソリン価格が高騰する昨今、これは、消費者がかなりの経費を節約できることを意味します」とブロイヤスは述べています。
合成ゴムが「エコタイヤ」を牽引
「エコタイヤ」は、SSBRとNd-PBR両方を含むゴム配合により、それぞれの最大性能を発揮します。「エコタイヤ」において、SSBRは主にトレッドコンパウンドに使用され、Nd-PBRは、トレッドコンパウンドとサイドウォールコンパウンドに使用されています。これらのゴムは、タイヤの転がり抵抗を低減することで燃料効率向上に貢献します。また、SSBRは湿潤路面でのグリップ性能を向上し、Nd-PBRは優れた耐摩耗性を備えているため、タイヤの耐久性を高めます。
パフォーマンスブタジエンラバーズ(PBR)ビジネスユニットの責任者であるヨアヒム・グルーブは次のように述べています。「タイヤは、タイヤデザインの時代から性能の差別化を実現するタイヤ素材の時代へと移行しています。
ランクセスは、未来のタイヤ向けの高性能素材を開発する主導的役割を担っています」
昨年ランクセスは、ドイツで開発し、世界有数の第三者試験認証機関の1つであるテュフズード(TUV SUD)によって確認された最高等級(AAレート)のコンセプトタイヤ を公開しました。最新のSSBRおよび Nd-PBR の技術とゴム添加剤が使用されたコンセプトタイヤは、EUで新たに導入されたタイヤラベリング制度において、転がり抵抗とウェットグリップ性能の両方で「A」等級を獲得し、世界で初めて両性能においてA等級を獲得したタイヤの1つです。
世界の各拠点において高性能ゴムの製造能力増強に着手
過去2年間で、ランクセスは、高性能ゴムのSSBRとNd-PBRの製造能力を年間計7万トン増強しました。これは、ドルマーゲン(ドイツ)、オレンジ(米国)、カボ・デ・サント・アゴスチーニョ(ブラジル・ペルナンブーコ州)の各拠点のプラントにおける、ボトルネック解消プロジェクト完了の成果です。さらに、ポート・ジェローム拠点(フランス)でも、SSBRを製造しています。
昨年9月には、シンガポールに新設する世界規模のNd-PBR製造プラントの起工式を行いました。特に急成長するアジアのタイヤ業界に向けてNd-PBRを供給します。総投資額2億ユーロを見込む同プラントは、年間製造能力14万トンを備え、2015年の上半期に稼働を開始する予定です。
SSBRとNd-PBRは、ランクセスのパフォーマンスブタジエンラバーズビジネスユニットに属しています。高性能のブタジエンゴムは、タイヤ以外にも、射出成形用のハイインパクトポリスチレン(HIPS)の製造におけるプラスチックの改質材として使用されています。その他の用途には、ゴルフボール、ランニングシューズ、コンベヤーベルトなどがあります。パフォーマンスブタジエンラバーズビジネスユニットは、パフォーマンスポリマーズ部門(2012年度第3四半期・9ヶ月累計売上高:40億ユーロ)に属しています。
これは、ドイツ・レバクーゼンで3月4日に発表されたリリースをもとに、ランクセス㈱が発表したものです。
この原文(英語)は、以下のURLにてご参照下さい。
http://www.press.lanxess.com
ランクセスについて
ランクセスは、世界31カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。
2011年の総売上は88億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 17,100人、世界中に48の拠点を展開しています。主な事業は、プラスチック、合成ゴム、中間体、特殊化学品の開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックス(DJSI World)」および「FTSE4Good」の構成銘柄です。
また、気候変動に関して優れた取組みおよび情報開示を行っている企業で構成されるCDLI(Carbon Disclosure Leadership Index:情報開示先進企業リスト)に選定されています。ランクセスについての詳細は同社URLにてご確認下さい。
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TEL : 03-5293-8005 FAX : 03-5219-9773
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