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リアルタイムに高精度な距離計測を実現する測距イメージセンサの新製品【浜松ホトニクス】

2013年1月22日

従来の障害物や人の有無の検知に、距離情報も加えて形状認識などが可能
リアルタイムに高精度な距離計測を実現する測距イメージセンサの新製品

当社は、画素ごとに集積された高速電荷転送機能により、飛行時間法(Time of Flight :TOF)によるリアルタイムで高精度な距離計測を実現する、業界初のリニアタイプと3D距離画像カメラ用のエリアタイプの測距イメージセンサを新たに開発しました。2月1日から、国内外の各種センサ機器メーカーにサンプル出荷を開始します。
本製品は、障害物や人の有無を検知する従来方法に、距離情報も加えて形状認識などを行うことで、高精度で高機能な検知を実現します。自動車や半導体ウェーハ自動搬送機での障害物や人検知、産業ロボットでの形状認識、セキュリティ分野での人の認識など幅広い用途に応用が期待されます。
なお、本製品は、2月5日(火)から3日間、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催される光学部品、装置の世界最大級の展示会「フォトニクス・ウエスト(Photonics West)2013」に出展します。

製品の概要

本製品は、近赤外線LEDなどのパルス光源と信号処理回路を組み合わせて、飛行時間法(TOF)を用いた3D距離画像カメラなど光学式距離計測システムへの使用を目的とした受光素子です。高精度な距離計測を実現するために、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)の半導体製造プロセスにより“高速電荷転送機能”を画素ごとに集積し、距離計測に必要な信号を各画素同時にリアルタイムで得られます。用途に応じて、リニアタイプ(S11961-01CR)256画素、エリアタイプ(S11962-01CR)64画素×64画素、(S11963-01CR)160画素×120画素の3タイプと、製品開発を容易にする評価キットを用意しました。また、顧客の仕様に合わせたカスタム対応も可能です。
本製品は、太陽光などの背景光による影響を低減する飽和対策機能を内蔵し、昼夜、屋内外を問わず安定使用が可能です。また、リニアタイプとエリアタイプのS11963-01CRには、非破壊読出し機能により、近距離から遠距離まで広いダイナミックレンジが得られます。

本製品の検出原理と利点

飛行時間法(TOF)の仕組みは、本製品に近接したLEDなどから照射された光が対象物に反射して、本製品に戻るまでの遅れ時間を計測して、光の速度と遅れ時間から対象物までの距離を測定します。
検出原理は、LEDのパルス発光に同期させ、画素ごとにゲート電極を動作して、遅れ時間(光の位相差)に相当する電荷量を高速転送して2つの異なる位相データを出力します。その位相データを外部の信号処理回路で演算して、画素ごとに距離をリアルタイムで算出し、対象物体を立体面で計測すると同時に3D距離画像イメージを取得します。
本製品は、任意に設定した撮像空間から、以下の複数の情報をリアルタイムで計測が可能です。
・ 対象物までの奥行きや高さ、幅、形状
・ 遠近の位置関係から移動方向や相対スピードの推定
・ 対象物を立体的な距離情報で把握するため、背景の色やコントラストに関係なく識別
・ 近赤外線を光源に用いれば、背景光の明暗による影響を受けず安定して検出

各タイプの概要

■ リニアタイプ(S11961-01CR)
素子を1列に並べたリニアタイプは業界初
長尺な有効画素数256画素(総画素数272画素)、画素ピッチ20μm, 画素高さ50μm
画素アレイ部、サンプルホールド回路、水平シフトレジスタにより構成
非破壊読出し機能により、高ダイナミックレンジで低ノイズ
<応用例>
・ 自動車や半導体ウェーハ自動搬送機で、距離や位置、形状などを判別し、障害物や人を検知して自動制御

■ エリアタイプ(S11962-01CR)
3D距離画像カメラを構成する受光素子
有効画素数64×64画素(総画素数 72×72画素)、画素サイズ40μm×40μm
画素アレイ部、カラムCDS回路、水平シフトレジスタ、垂直シフトレジスタ、タイミング回路により構成
<応用例>
・ 産業、介護、医療分野などで、ロボットが人や障害物を高度に認識して動作
・ セキュリティ分野で、銀行ATMでの暗証番号の覗き見、混雑したエスカレーターでの運転制御、公衆トイレなどで防犯通報
・ アミューズメント分野でジェスチャーを認識した多彩なアプリケーション開発

■ エリアタイプ(S11963-01CR)
有効画素数160×120画素(総画素数 168×128画素)、画素サイズ30μm×30μm
画素アレイ部、カラムゲインアンプ、水平シフトレジスタ、垂直シフトレジスタ、タイミング回路により構成
カラムゲインアンプにより、ノイズの影響を低減し距離精度を向上
非破壊読出し機能により、高ダイナミックレンジで低ノイズ
<応用例>
・ 11962-01CRに比べ、より高解像度を要する用途向け

主な特長

1, 太陽光下でも安定動作する飽和対策機能を内蔵
本製品は、従来の弱点であった太陽光(約10万ルクス)などの大きな背景光による影響を低減するための飽和対策機能を内蔵しています。昼夜、屋内外を問わず、誤動作が少なく、微弱な信号光を検出できる高感度な計測を実現し、安定使用が可能になります。

2, ダイナミックレンジを広げる非破壊読出し機能
リニアタイプとエリアタイプのS11963-01CRは、背景光が大きい場合に電荷の蓄積時間が短いタイミング、信号が微弱な場合には電荷の蓄積時間が長いタイミングを使うことで、近距離から遠距離までダイナミックレンジを広げる非破壊読出し機能を内蔵しました。

主な仕様

サンプル出荷開始日

2013年2月1日

サンプル税込価格

リニアタイプ :
S11961-01CR 4,200円
エリアタイプ :
S11962-01CR 6,300円
S11963-01CR 8,925円

販売目標金額

1年後  1億円、3年後  3億円





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