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国内初 「eCall緊急通報システム」対応の試験用プラットフォーム構築【富士通テン】
2012年12月19日
~欧州・ロシアで進む義務化に対応、自動車産業界の競争力と協調力向上に寄与~
2012年12月19日東京-海外ネットワーク対応通信端末の開発をサポートする試験環境を保有し、国内企業の国際競争力強化をサポートしている㈱横須賀テレコムリサーチパーク(※1)と、カーナビゲーションブランド「ECLIPSE(イクリプス)」や、先進安全システムの開発に取り組む富士通テン㈱(※2)と、デジタルセキュリティの世界的なリーダーであるジェムアルト㈱(※3)は、欧州方式の携帯電話網用電波GSM(※4)を発信できる試験環境を保有する横須賀リサーチパーク(YRP)において、国内初のeCall緊急通報システム(※5)に対応した試験用プラットフォームを構築しました。
自動車事故への即応等のため、新型車へのeCall緊急通報システム(ロシアではERA-GLONASS(※6))の装備義務化について、欧州では2015年からの導入を欧州委員会(EC)が勧告し、ロシアでは2014年からの導入が発表されています。通信方式は欧州における携帯電話用無線方式であるGSMが用いられることとなっています。制度施行に向けて本年から欧州諸国を対象に、実地検証プロジェクト(HeERO(※7))が積極的に展開されています。
最先端のテレマティクス技術で「先進安全システム」の開発に貢献
緊急通報システムへの対応は、通信機の全車標準搭載というテレマティクスサービス導入の絶好の機会となります。テレマティクスサービスはお客様の安心、安全、利便性や満足の向上に寄与する、人とクルマと社会の接点となる情報の収集と提供を可能にします。
今回構築した試験用プラットフォームは、国内の試験環境整備と欧州動向の情報ハブとしての役割を果たすことが目的です。自動車産業界の欧州・ロシア展開の促進、欧州・ロシアでのテレマティクスサービスの発展に、競争力と協調力の両面で寄与することを目指しています。
3社の役割
~ERTICO(ITSヨーロッパ)HeEROプロジェクト・マネージャー、アンディ・ルック氏コメント~
「欧州域外で初めてとなる、“112 EU eCall(緊急通報)試験用プラットフォーム”が日本の横須賀リサーチパークに整備されました。我々との取り組みにおいて、横須賀テレコムリサーチパーク、富士通テン、ジェムアルトの3社は、サプライヤーも含めた日本の自動車産業がこの屋外GSM試験設備を活用し、必要な試験と認証の取得を推進することを示してくれました。大変喜ばしいことです。」
㈱横須賀テレコムリサーチパーク
電波・情報通信技術の研究開発機関の集積地である横須賀リサーチパーク(YRP)の中核事業体としてYRP入居機関の支援を目的に設立され、2008年に総務省から受託した「ユビキタス特区」事業の経験も踏まえ、現在、YRPにおいてGSM、W-CDMA、LTEなど世界の主要な携帯電話システムのネットワーク環境を有し、各種の携帯電話システムの相互接続性検証を提供しています。特に、屋外でGSMの電波を発射して試験を実施できる開発環境は日本で唯一であり、我が国のICT産業の機器輸出を容易にし、国際競争力を強化するための支援を図っています。
YRP概要 : http://www.yrp.co.jp/
YRPワイヤレスIOTセンター : http://www.yrp-testbed.jp/
富士通テン㈱
富士通・トヨタ自動車・デンソーが出資するカーエレクトロニクスメーカー。カーナビゲーション・カーオーディオ、エンジン制御やエアバッグ制御ECUなどの電子制御機器、移動通信機器の3分野を事業とする。2011年度連結売上高は2,491億円。
トヨタ自動車をはじめ国内外の自動車メーカーに純正納入するなど、グローバルにビジネス展開しています。車両周辺を確認するカメラやミリ波レーダーなどのセンサー技術を用いたシステム開発にも力を入れており、1997年に世界で初めて60GHz帯のミリ波レーダーをダンプトラックで実用化した他、乗用車向けには、前方用、後方用、前側方用の各種77GHz帯ミリ波レーダーを開発し、多くの自動車メーカーに納入しています。
1997年発売の、Audio・Visual・Navigationを一体にした「AVN」は、今やカーナビのスタンダードな形にまで成長しました。
「ECLIPSE TDシリーズ」は生演奏の感動を伝えるために、音源に記録された音の正確な再生にこだわり開発したホームオーディオスピーカで、オーディオの本場イギリスをはじめ世界で各賞を受賞しています。そしてその技術を、車載用スピーカにも活かしています。
今後は、当社の特長である優れた車載化技術と富士通グループが保有するICT技術との融合により、車と社会が“つながる”ビジネスの構築を推進していきます。
詳しくはhttp://www.fujitsu-ten.co.jp/をご覧下さい。
ジェムアルト
ジェムアルト(ユーロネクスト NL0000400653 GTO)は世界43ヶ国に74の事業所、14の研究開発センターを持ち、1万人以上の従業員を擁するデジタルセキュリティのリーディングカンパニーです。2011年の年間売上高は20億ユーロ(約2,166億円)以上を記録しました。
ジェムアルトは、進化を続けるデジタルセキュリティ業界の中核企業として事業を急速に展開しています。現在世界中の数十億人もの人々が、便利で楽しく、かつセキュアなやり方で、時と場所を選ばずに、コミュニケーションや旅行、ショッピング、バンキング、エンターテインメント、そして仕事を自由に楽しみたいと望んでいます。パーソナルモバイルサービス、セキュアな決済、ID保護、認証式オンラインサービス、クラウドコンピューティングへのアクセス、電子医療、電子政府サービス、スマート交通や機器間(M2M)通信に関する日々拡大する彼らのニーズに応えるのが、ジェムアルトの製品とサービスです。
ジェムアルトでは、自社で設計・パーソナライズした信頼できるデバイスで動作するセキュアなソフトウェアを開発しています。そして、これらのデバイス、デバイスに保存される機密データ、そしてデバイスが実現するサービスを、そのライフサイクル全体にわたりマネジメントします。同時に、弊社のクライアントがエンドユーザーに便利さとセキュリティを向上する手段をより多く提供できることを目指し、技術革新に努めています。
ジェムアルトのソフトウェアやセキュアなデバイスを利用してデジタル/ワイヤレスの世界でのコミュニケーションを図る人々は増加しており、これに伴いジェムアルトの事業もさらに拡大しています。
さらに詳しい情報は、http://www.gemalto.com/japan や http://www.justaskgemalto.com、http://blog.gemalto.com等のサイトまたはTwitterの @gemalto のアカウントをご覧ください
注釈
(※1) ㈱横須賀テレコムリサーチパーク 本社:神奈川県横須賀市/代表取締役社長:吉田 雄人/資本金:49億円
(※2) 富士通テン㈱ 本社:兵庫県神戸市/代表取締役社長:重松 崇/資本金:53億円
(※3) ジェムアルトN.V. 本社:オランダ/代表 Olivier Piou/ユーロネクスト NL0000400653 GTO
(※4) GSM GSM(Global System for Mobile Communications) は、FDD-TDMA方式で実現されている第二世代携帯電話(2G)の規格である。GSMは、日本、韓国以外の世界のほとんどの国・地域で使用されており、携帯電話方式の中で最も使われている。世界の212ヵ国で約20億人が利用している。第三世代携帯電話(3G)より電波の利用効率は劣るが、コストが安いことが利点。
(※5) eCall緊急通報システム 自動車事故が発生した場合、車両に搭載されたIVS(In vehicle system)が手動あるいは自動で緊急通報「112E」を発呼し、音声並びにMSD(Minimum Set of Date)がGSMネットワークを介し、事故現場に最も近い緊急応答センター(PSAP)に接続することで、救命率の向上を目指したシステム。
(※6) ERA-GLONASS ロシアの衛星測位システムを利用した、ロシア版の eCall緊急支援サービス。
(※7) HeERO 緊急通報システム義務化を推進する汎欧州プロジェクト。
(※8) PSAP Public Safety Answering Point : 緊急応答センター。救急車等を有する消防署等の地域の救命センター。
(※9) ECU Electronic Control Unit : 電子制御装置。
(※10) M2M Machine to Machine : ネットワークにつないだ機械同士、または機械と情報システムが、人を介さずに相互に情報交換し、自動的に最適な制御を行うシステム。
資料
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