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e-Axle向け「樹脂モールド絶縁軸受」を開発【NTN】
2024年5月16日
e-Axle向け「樹脂モールド絶縁軸受」を開発
・樹脂絶縁層による優れた耐電食性で、EVバッテリーの高電圧化に対応
NTN株式会社(以下、NTN)は、EV(電気自動車)の駆動源であるe-Axle向けの耐電食軸受「樹脂モールド絶縁軸受」を開発しました。軸受の外輪外径面および幅面に樹脂絶縁層を射出成形することで、耐電圧1,000V以上の絶縁性により電食の発生を抑制し、EVバッテリーの高電圧化に対応します。温度変化に対して十分な強度を持つ樹脂材料の選定や成形方法の最適化により、e-Axleで求められる幅広い温度環境でも使用できる耐久性も実現しました。
e-Axle向け耐電食軸受「樹脂モールド絶縁軸受」 |
平行軸e-Axleにおける適用例(赤丸部分) |
開発の背景
近年、自動車市場では環境負荷の低減を目的に、EVの開発・普及が加速しています。EVの駆動源であるe-Axleに使用される軸受には、モータからの漏洩電流による電食への対策が求められています。
NTNは、これまでに絶縁体であるセラミック製の転動体を使用した軸受や、軸受の外輪外径面や幅面に絶縁被膜をコーティング加工した「絶縁被膜付き軸受」*1を耐電食軸受として開発・提供してきました。耐電食軸受には、耐電食性、低トルク、放熱性など複数の機能が求められますが、車両設計に基づく軸受の使用環境の違いなどから、各機能に対する要求値は多様化しています。NTNはお客さまの多様なニーズに対応するため、このたび「樹脂モールド絶縁軸受」を開発しました。
*1)2023年5月16日プレスリリース:e-Axle向け「絶縁被膜付き軸受」を開発
https://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news202300033.html
開発品の特長
1. 耐電食性
軸受内部への電流通過を低減する絶縁性に優れた樹脂を軸受の外輪外径面および幅面に射出成形することで、耐電圧1,000V以上の絶縁性を実現しました。今後増加が見込まれるバッテリー電圧800Vにも対応します。*2 2. 耐久性 樹脂と金属では温度による膨張・収縮量に差があり、温度変化によって樹脂に亀裂が生じる可能性があります。そのため、広範囲な温度変化においても必要な強度を維持する樹脂材料を使用するとともに、樹脂絶縁層全体に十分な強度を持たせる成形方法を採用することで、e-Axleで求められる幅広い温度環境でも使用できる耐久性を実現しました。 |
*2)e-Axle用軸受にかかる電圧はバッテリー電圧の10%以下と想定されます。
https://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news202300033.html
電食試験後の外輪軌道面 (左:開発品、右:標準品) 標準品では電食特有の波板状の損傷が発生 |
今後、バッテリーの高電圧化に伴い、耐電食軸受のニーズはさらに高まると考えられています。NTNはお客さまの多様化するニーズに対応する耐電食軸受ラインアップをグローバルに提案し、EV・HEVの高機能化に貢献してまいります。
NTNは本商品を5月22日~24日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」に出展いたします。
用途
EV・HEV用e-Axle(モータ、減速機)
ご参考
EVバッテリーの高電圧化と電食
EVバッテリーは、車両の航続距離の延長やバッテリーの充電時間の短縮などを目的に高電圧化が進んでおり、将来的には電圧が約800Vのバッテリーの普及も予想されています。高電圧化するとスパーク発生時における軸受の損傷は、これまで以上に進展することが想定されるほか、モータ制御の効率化に向けてインバータ制御周波数の高周波化が進むと、スパークの発生回数が多くなることから、電食の発生頻度もますます増えることが見込まれます。 |
NTNの耐電食軸受ラインアップ
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