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インターステラテクノロジズの小型人工衛星打上げロケットZERO、エンジン用ターボポンプ冷走試験に成功

2024年3月14日

  

インターステラテクノロジズの小型人工衛星打上げロケットZERO、
エンジン用ターボポンプ冷走試験に成功

ロケットの”心臓部”となる最重要部品で、大きな開発マイルストーン達成

  

宇宙輸送と宇宙利用を通じて地球の課題解決を目指す宇宙の総合インフラ会社インターステラテクノロジズ株式会社(本社:北海道広尾郡⼤樹町、代表取締役社⻑:稲川貴⼤、以下インターステラテクノロジズ)は、IHIエアロスペース相生試験場(兵庫県相生市)にて、小型人工衛星打上げロケット「ZERO」(以下ZERO)のエンジン「COSMOS(コスモス)」用ターボポンプの冷走試験(以下本試験)に成功しましたので、お知らせいたします。ターボポンプは燃焼器に燃料と酸化剤を送る”心臓部”に当たり、ロケットエンジンの中でも最も開発が難しい要素の一つと言われています。本試験ではターボポンプが目標の回転数で良好に動作していることを確認し、ZERO初号機打上げに向けて大きな開発マイルストーンを達成しました。

  

エンジンの小型・軽量化と低コスト化可能なターボポンプ、目標の4万回転を達成

ZEROエンジン用ターボポンプは、燃料ポンプと酸化剤ポンプを一体化させた「一軸式」を採用しています。燃料と酸化剤それぞれでポンプを分ける場合と比べて技術的な難度が高い一方、エンジンシステム全体の小型・軽量化や部品点数の削減による低コスト化につながります。ターボポンプの材質には耐熱性に優れたニッケル合金(一部にチタン合金およびアルミ合金)を使用。今回は60kN級エンジン用のサブスケールモデル(長さ42cm、直径19cm)での試験となり、1分間に4万回転と目標としていた回転数を達成しました。本試験は4月まで継続し、引き続き作動条件を変えた時の性能などを取得していきます。

  

ZEROエンジン用ターボポンプ冷走試験 概要

試験名称:ZEROエンジン用ターボポンプ冷走試験
試験目的:ターボポンプ単体での性能を確認すること
期  間:2023年10月から2024年4月まで(計9回予定)
場  所:IHIエアロスペース相生試験場(兵庫県相生市)
試験結果:目標回転数を達成し、性能評価に必要な圧力および温度データを良好に取得した

  

国内の知見を取り入れて開発

ZEROエンジン用ターボポンプの設計は2019年から、日本の基幹ロケット用エンジンの開発に関する豊富な経験と実績を有している国立大学法人室蘭工業大学(北海道室蘭市)との共同研究として開始しました。2021年9月にはポンプ製造国内最大手の株式会社荏原製作所(東京都大田区)が加わり、3者による共同研究開発に取り組んできました。
試験は、ロケットエンジンやターボポンプの試験実績が豊富な株式会社IHIエアロスペース(群馬県富岡市)の協力のもと、IHIエアロスペース相生試験場にて実施しました(*1)。
開発難度の高いターボポンプは設計・製造・試験いずれの過程も国内の知見を取り入れてきており、今後はこれらの過程で得られた知見を最大限に活用し、実機モデルとなる130kN級エンジンの開発を進めます。

*1 本ターボポンプの研究開発の一部は、経済産業省 戦略的基盤技術高度化支援事業(JPJ005698)の助成を受けて実施しています

  

ガスジェネレータサイクルと再生冷却方式を初採用

ZEROは推進剤として燃料に液化バイオメタン、酸化剤に液体酸素を使用する液体ロケットです。ZEROのエンジンは「ガスジェネレータ」で発生させたガスの力で「ターボポンプ」を駆動し、タービンを高速回転させることで燃焼器に推進剤を高圧で送り込む「ガスジェネレータサイクル」をインターステラテクノロジズとしては初めて採用、燃料を燃焼器を冷やすことにも活用する「再生冷却方式」も取り入れています。これまでにガスジェネレータ、燃焼器、ターボポンプそれぞれの単体試験を行っており、今後はそれらを組み合わせたエンジン統合試験へと進む予定です。
また、ZEROのエンジンは「COSMOS」と名付けました。コスモスが北海道大樹町の花であること、このエンジンの特徴であるピントル型インジェクタの噴射形状がコスモスの花びらに似ていることから、開発部メンバーを中心に選定した名称です。

競争力のある価格と専用打上げが強み

ZEROは、近年の市場拡大を牽引している小型サイズの衛星をターゲットにした小型ロケットです。民間単独では国内初となる宇宙到達実績のある観測ロケット「MOMO」で得られた知見を土台に、初号機打上げを目指して開発を進めています。ZEROが提供する宇宙輸送サービスは、一気通貫の開発・製造体制で実現する1機あたり打上げ費用8億円以下(量産時)の「競争力のある価格」と、多様化する衛星のビジネスモデルに合わせて専用に打ち上げる「柔軟性」が強みです。国内やアジア・オセアニア諸国の衛星事業者に対しては発射場が近く、打上げまでの手間やコストがかからない「利便性」も提供価値として付与していきます。

最大衛星重量はLEOに800kg、アジア・オセアニア市場でのポジション確立へ

ZEROがターゲットとする小型衛星の重量は、100~200kg級がボリュームゾーンとなっています。ZEROは昨今のトレンドを見据え、国内をはじめ海外の旺盛な需要も取り込んでいくため、搭載可能な衛星重量を地球低軌道(LEO)に最大800kgを打ち上げられるロケットに能力増強を図りました。これにより国内の自立的な宇宙輸送サービス構築に貢献するとともに、アジア・オセアニアや欧州市場におけるポジションを確立してまいります。

ロケットZEROの仕様

全長:    32 m
直径:    2.3 m
全備重量:  71 t
エンジン基数:一段目 9基、二段目 1基
推進剤:   燃料 液化メタン(液化バイオメタン)、酸化剤 液体酸素
打上げ能力: LEO 800 kg / SSO 250 kg ※将来最大能力

インターステラテクノロジズ株式会社 会社概要

インターステラテクノロジズは、低価格で便利な宇宙輸送サービスを提供することで、誰もが宇宙に手が届く未来の実現を目指すスタートアップ企業です。北海道大樹町に本社を置き、東京支社と福島支社、室蘭技術研究所(室蘭工業大学内)の4拠点で開発を進めています。観測ロケットMOMOでこれまでに計3回、国内民間企業単独として初めて且つ唯一の宇宙空間到達を達成、次世代機となる小型人工衛星打上げロケットZEROの開発を本格化させています。人工衛星開発事業Our Starsも手がけており、国内初のロケット×人工衛星の垂直統合サービスを目指しています。
所在地  : 北海道広尾郡大樹町字芽武149番地7
代表者  : 代表取締役社長 稲川 貴大
事業内容 : ロケットの開発・製造・打上げサービス
https://www.istellartech.com/

  

  

  

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