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ZFダンパーの新世代登場【ゼット・エフ・ジャパン】

2012年10月1日

ツインチューブ(複筒)型ダンパーに新しい減衰力発生バルブ技術を投入
ダンパーを操縦性に焦点を当てた減衰特性に仕上げても、高い走行快適性と低い路面騒音伝達を実現

ゼット・エフ社は、そのツインチューブ(複筒)型ダンパーの製品群のために、最新の流体解析に基づく新たな減衰力発生バルブ技術を開発しました。新しい発想に基づくプレロード・エレメントを含む「プレロード・バルブ」は、これまでの標準的なダンパーのバルブを進化させる開発の成果であり、ゼット・エフ社にとってダンパーのためのバルブ技術の第4世代にあたるものになります。この新しいバルブ技術は、最良の操縦性と、高い走行快適性と、可能な限りの騒音低減特性のコンビネーションを実現します。

ツインチューブ(複筒)型ダンパー、すなわち作動筒の中をピストンが動く時に、ピストンロッドが密閉された筒の中に出入りする、その容積変化分のオイルが送り出され、戻るための空間を外筒として一体化した形のダンパーは、いったいどれだけのクルマに装着されてきたのか、数えるのも難しいほどです。それが重要な存在であることはいうまでもありませんが、同時に大量に作られる要素部品のひとつとして、非常に高いコスト・プレッシャー(コスト切り下げを求める圧力)にさらされています。これによってサプライヤーは、製品を改良するための開発費用に厳しい制約を課せられることになります。新しい減衰力発生バルブ技術によって、ツインチューブ・ダンパーに関してゼット・エフ社は大きな飛躍を達成し、とりわけ走行時の運動性と快適性の両立に関わる古典的な相反を解消に向かわせることができました。

新しいプレロード・エレメントを組み込んだ「プレロード・バルブ」の技術は、車体を支えるスプリングのプレロード(予荷重:スプリングをあらかじめ押し縮めた状態で組み込むこと)を打ち消して、バネそのものの反発力がピストンロッドが作動筒内に入り(縮み側)、出る(伸び側)動きによって減衰力が生ずる関係にそのまま作用できるようにするものです。減衰力曲線が「リニア(線形)」、すなわちピストン速度と減衰力の関係が一定の変化をする特性だと、ピストン速度が低い領域では減衰力が低下する傾向になります。この特性は注射器を考えるとわかりやすいでしょう。ピストンをゆっくりと押してゆくと、比較的軽い力しか必要としません。これに対して、もっと速くピストンを引っ張ると、そのための必要な力はかなり大きくなります。そこで、リニア特性のダンパーは、ピストン速度の遅い領域との関連が深い運動性に関して、難しい面が現れます。ここで遅いピストン速度でダンパーの効きが柔らかすぎないようにすると、減衰特性を著す曲線はピストン速度が速くなるにつれて急速に立ち上がる、すなわち鋭いショックに対して硬いダンパーになってしまいます。

このリニア特性の難しさに関して、ピストン速度と減衰力の関係が描くカーブを「デグレッシブ特性」にするという解決策があります。これは、減衰力がピストン速度に対して一定の比率では増加しないような構造にするものです。こうすることで、サスペンション・ストロークの動き出しでは、比較的高い減衰力を発生させ、しっかりした動きを実現しながら、高いピストン速度では減衰力が高まりすぎることによる硬さが現れないようになります。デグレッシブ特性の弱点としては、低速側で高い減衰力が立ち上がったところからさらにサスペンションが動き、デグレッシブ特性の減衰力が逓減的に変化する(増加が鈍る)、あるいは直線的な増加してきた減衰力がもっと増加の少ない直線に「折れる」領域で、減衰力の変化が不連続になり、これがとくにNVH(ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス:騒音、振動、ゴツゴツ感)を悪化させることがあります。この時、とくに乗員がブルブルするような振動を感じるのは好ましくありません。

こうした難しさに対して、ゼット・エフ社は、リニア特性の減衰力カーブにプレロードを付与するバルブ構造を導入しました。バルブの中に組み込んだプレロードによってピストンロッドに加わっているスプリングのプレロードを打ち消し、低速でストロークする時でも十分な減衰力を得られます。そこでリニア特性であっても低速側の減衰力を確保するべく急に立ち上がるカーブにする必要がなく、相対的にフラットな、つまり高速域で減衰力が強くなりすぎないカーブに設定することができます。こうした減衰特性が得られるプレロード・バルブは、すなわち、シャシ側から伝わる路面からの騒音と振動を大幅に低減することができるのです。

これらとともに新しいバルブは、より滑らかに調和した開弁特性を持っています。それは優れた車体の動きのコントロールと、最良の操縦性を生み出し、それが同時に実現されることで、路上における走りの質を洗練されたものにします。さらにはまた、プレロード・バルブは、思い切りスポーティな走りからマイルドな乗り心地まで、自動車メーカーの狙いに応じてどんな走りのバランスに仕上げることも可能にします。

問い合わせ先

ゼット・エフ・ジャパン㈱, コーポレート・コミュニケーション
電話番号 : 03-4590-7717
Fax番号 : 03-4590-7770
presse.tky@zf.com

メディア

ゼット・エフ社のダンパーの最新世代は、新しい減衰力発生バルブ技術によって、走行安全性の向上、快適性の向上、NVHの低減を同時に実現します。



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