ニュース
「2022年度日本トライボロジー学会 技術賞」を受賞【NTN】
2023年5月18日
「2022年度日本トライボロジー学会 技術賞」を受賞
トルク損失率の低減によるカーボンニュートラルへの貢献について高い評価を獲得
NTN株式会社(以下、NTN)が開発した高効率固定式等速ジョイント「CFJ」が、一般社団法人 日本トライボロジー学会*1の「2022年度日本トライボロジー学会 技術賞」を受賞しました。独自の「スフェリカル・クロスグルーブ構造」により大幅なトルク損失率の低減を実現した新規性や独創性、また本商品による自動車の燃費・電費向上およびカーボンニュートラルへの貢献度などが高く評価されました。
*1) 日本トライボロジー学会: https://www.tribology.jp/
受賞名 | 「2022年度日本トライボロジー学会 技術賞」 |
---|---|
受賞者名 |
自動車事業本部 CVJ製品ユニット CVJ開発部 船橋 雅司、﨑原 立己、藤尾 輝明 |
受賞技術名 | 高効率固定式等速ジョイント「CFJ」 |
高効率固定式等速ジョイント「CFJ」 |
等速ジョイント(CVJ)はエンジンやモータなどの回転と動力(トルク)をタイヤに伝えるドライブシャフトの構成部品で、タイヤ側に使用される固定式CVJはタイヤの角度変更に対応しながら回転とトルクを伝達する役割を担います。従来の固定式CVJにはトルク伝達時に内部部品にかかる力が一方向に片寄ることでトルク損失が大きくなり、作動角が大きいほど損失が増加するという課題がありました。
「CFJ」は、NTN独自の「スフェリカル・クロスグルーブ構造」の採用によりトルク伝達時に発生する内部力を相殺し、従来品比でトルク損失率を50%以上低減、高作動角時においてもトルク損失率の増加を大幅に抑えることが可能です。
従来品から「CFJ」に置き換えた際の燃費の改善効果を、JAPIA LCI算出ガイドライン*2に基づき内燃機関車両で試算した場合*3、燃費は0.62%の改善、CO2排出量は0.96g/kmの削減効果が見込まれます。
また、本商品を適用することで回生ブレーキシステムの発電効率の向上にもつながり、同システムを搭載するEVやHEVにおいても大きな燃費・電費改善効果が見込まれます。
*2)一般社団法人日本自動車部品工業会が定める自動車の製造、使用段階における効率的なライフサイクル環境負荷量の算出方法
*3)車重1467kg・燃費17.6km/Lの車両を仮定し、国際的な燃費試験方法であるWLTPの計測条件で走行させた場合(CVJ取付け角度:9度)
受賞理由
本商品は、既存の構造概念を大きく変え、CVJの内部力を低減する独自の「スフェリカル・クロスグルーブ構造」を適用することにより、当社従来品が持つ世界最高水準の軽量・コンパクト性、強度や耐久性などを維持しながらトルク損失率を50%以上低減した画期的な商品です。従来品を本商品に置き換えることで、自動車の燃費や電費の向上、CO2排出量の削減によるカーボンニュートラルへの貢献度が大いに期待されます。これらの点が評価され、このたびの受賞となりました。
「スフェリカル・クロスグルーブ構造」について
固定式CVJは外輪、内輪、ケージ、複数個のボールで構成されます。エンジンやモータなどから入力されたトルクが内輪に伝わり、内輪から押し出されたボールが外輪を押すことで、トルクがタイヤに出力されます。従来品は外輪、ボール、内輪間の接触によるトルク損失に加えて、すべてのボールがケージを一方向に押し出すことで、ケージと外輪・内輪が接触し、トルク損失が発生していました。
「CFJ」に採用した「スフェリカル・クロスグルーブ構造」は、転動溝を外輪と内輪で互いに交差させるとともに、隣り合う転動溝を交互に傾斜させています。この構造により、ボールがケージを押す力の向きを交互に振り分けることで相殺し、外輪・内輪とケージの接触を抑えることで、従来品比で50%以上のトルク損失率の低減を実現しました。
従来品と「CFJ」の構造比較 |
お問い合わせ先
NTN株式会社
グループ経営本部 経営戦略部 広報グループ
TEL:06-6449-3579 FAX:06-6443-3226
お問い合わせフォーム
NTN株式会社 ホームページはこちら