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ナノレベルの極小コンデンサ容量でも安定動作する 新回路搭載、車載LDOレギュレータ「BD9xxN1シリーズ」を開発【ローム】

2022年6月7日

  

ナノレベルの極小コンデンサ容量でも安定動作する
新回路搭載、車載LDOレギュレータ「BD9xxN1シリーズ」を開発
Nano Cap™技術が、コンデンサ課題に対する小型化・安定化の新領域を開拓

  

<要旨>

ローム株式会社(本社:京都市)は、自動車のパワートレインやボディ、カーインフォテインメントなど、幅広い車載アプリケーションのプライマリ(12Vバッテリーに直接つながる)電源に最適な、車載LDOレギュレータ*1 IC「 BD9xxN1シリーズ(BD950N1G-C、BD933N1G-C、BD900N1G-C、 BD950N1WG-C、BD933N1WG-C、BD900N1WG-C)」を開発しました。
新製品は、ローム独自の超安定制御技術「Nano Cap™」を搭載した、新しい車載LDOレギュレータシリーズであり、一般品の10分の1以下となる極小100nF(ナノファラッド:ナノは10のマイナス9乗)の出力コンデンサ容量に対応し、かつ入力電圧や負荷電流*2が変動した際でもアプリケーションの求める安定動作(出力電圧変動100mV以内:負荷電流変動1mA⇔50mA/1µ秒時)を実現します。一般的な数µFの小型MLCC(積層セラミックコンデンサ)や大容量の電解コンデンサのみならず、従来安定せず実使用に耐えることができなかった1µF以下・0603サイズの極小MLCCまで、超広範囲の出力コンデンサ容量に対応できるため、部品や基板の小型化はもちろんのこと、幅広いコンデンサ条件への採用を可能にすることで設計工数削減にも貢献します。
新製品は、2022年4月よりサンプル出荷(サンプル価格200円/個:税抜)を行っており、2022年8月から当面月産20万個の体制で量産を開始する予定です。インターネット販売も開始しており、チップワンストップ、コアスタッフオンラインなどから購入することができます。
ロームは、今後Nano Cap™を搭載した本シリーズを、2022年度中に22製品まで、2023年度中に合計46製品までラインアップ拡充することを予定しており、さらに幅広いアプリケーションの課題解決に貢献していきます。

  

<背景>

近年、あらゆる機器の電子化が進み電子部品の搭載数が増加する中で、小型化や部品点数削減のために、回路の安定に多く活用されるコンデンサを削減したいという要望が増えています。それに伴い、電源回路には、小さいコンデンサ容量でも安定動作を実現できる電源ICが求められるようになりましたが、1µF以下の出力コンデンサ容量でアプリケーションの求める安定動作を実現するのは困難でした。
ロームは、これらの課題に対して、2020年に電源ICの超安定制御技術「Nano Cap™」を確立。今回Nano Cap™技術搭載により、極小の出力コンデンサ容量で安定動作を実現するLDOレギュレータを製品化しました。

  

<Nano Cap™について>

Nano Cap™は、ロームの垂直統合型生産体制において、「回路設計」「レイアウト」「プロセス」、3つの先端アナログ技術を結集することで実現する超安定制御技術を指します。安定制御により、アナログ回路のコンデンサに関する安定動作課題を払拭することで、自動車や産業機器、民生機器などを問わず、幅広いアプリケーションの設計工数削減に貢献します。
https://www.rohm.co.jp/support/nano

  

<新製品の詳細>

新製品「BD9xxN1シリーズ」は、車載製品に求められる125℃以上動作や車載信頼性規格「AEC-Q100」準拠、プライマリ電源に求められる入力電圧40V以上などの基本要求を満たした、車載プライマリLDOシリーズです。新たに搭載した超安定制御技術「Nano Cap™」により、一般品が必要とする10分の1以下の出力コンデンサ容量100nFに対応し、かつ入力電圧や負荷電流が変動した際でもアプリケーションの求める安定動作(出力電圧変動100mV以内:負荷電流変動1mA⇔50mA/1µ秒時)を実現します。対応出力コンデンサ範囲や応答性能を中心に、業界でもバランスよく高いパフォーマンスを提供することができます。

ロームは、本シリーズのラインアップを、2022年度中に出力電圧とパッケージの展開で22製品、2023年度中に出力電流500mA対応も行いさらに24製品、合計46製品までラインアップを拡充することを計画しており、さらに幅広いアプリケーションの課題解決に貢献していきます。

  

<アプリケーション例>

◇燃料噴射装置(FI)やタイヤ空気圧監視システム(TPMS)などのパワートレイン系
◇ボディコントロールモジュール(BCM)などのボディ系
◇クラスタやヘッドアップディスプレイ(HUD)などのインフォテインメント系
  車載プライマリ電源用途のほか、幅広いアプリケーションに採用可能です。

  

<サポートツール>

新製品の検証用シミュレーションモデルでは、ローム独自のモデルベース技術を駆使して、IC実物の電気的特性と温度特性を忠実に再現することで、IC実物とシミュレーション値の完全一致も可能にする高精度SPICEモデル「ROHM Real Model」を完備。確実な検証により、実機試作後の手戻りを防止できるなど、効率的なアプリケーション開発に貢献します。

このSPICEモデルは下記、ローム公式Webから入手可能です。

https://www.rohm.co.jp/products/power-management/linear-regulators/single-output-ldo-regulators?PS_SpiceLink=1.0&SearchWord=bd9&PS_PackageShortCode=SSOP5#parametricSearch

  

<サポートツール>

販売開始時期:2022年6月から
販売ネット商社:チップワンストップ、コアスタッフオンライン それ以外のネット商社からも順次発売していきます。
販売対象品番:BD950N1G-C、BD933N1WG-C、BD900N1G-C

1個から購入可能

  

<用語説明>

*1) LDOレギュレータ(Low Drop Out レギュレータ / 低飽和レギュレータ)
電源ICの一種で直流(DC)から直流へ電圧を変換する。入力と出力の電圧差が低く、リニアレギュレータ(入出力電圧が線形動作する)と言われる区分に該当する。DC/DCコンバータIC(スイッチングレギュレータ)と比較して、回路構成が簡単でノイズが少ないなどの特長を持つ。

*2) 負荷電流、負荷応答特性
電源ICから見ると、マイコンやセンサなど後段の電子回路はすべて「負荷」と考えることができる。この負荷が動作した際に電流(負荷電流)が流れて、電源ICの出力電圧を変動(ドロップ)させてしまう。負荷応答特性は、負荷電流の影響により変動した電圧を元に戻すまでの応答時間および電源としての安定度をさす。

・「Nano Cap™」は、ローム株式会社の商標または登録商標です。

  

<リーフレット>
車載対応150mA Nano Cap™ LDOレギュレータIC (PDF:1.8MB)

  

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