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熱硬化性樹脂製品の用途拡大に向けた新型専用射出成形機を開発【日精樹脂】

2022年4月28日

  

熱硬化性樹脂製品の用途拡大に向けた新型専用射出成形機を開発

  

 日精樹脂工業は、熱硬化性樹脂を用いた成形部品の大型化に対応するハイブリッド式専用射出成形機FWX760Ⅲ‐130BK型を開発、6月1日より受注を開始します。

1. 熱硬化性専用機の開発の背景・経緯
 熱硬化性樹脂は、熱を加えると「硬化」という不可逆的な化学反応を起こし、三次元架橋によって強固に結びつくことで、優れた耐熱性や熱時機械的強度、電気的特性を発揮します。熱可塑性樹脂では要求特性を満たすことができないような用途分野、例えば電気器具、配電盤などの電気絶縁部品や半導体関連、食器類、自動車部品等において欠かすことのできない樹脂材料であります。
 各国政府によるカーボンニュートラル目標が設定され、その達成に向けて各産業界で取り組みが本格化している中で、自動車産業においても脱ガソリン車、EVシフトの動きが鮮明になっており、車両の軽量化やモジュール設計による部品の複合一体化、CASE対応に伴う電子部品点数の増加などで、これまで以上に樹脂素材への高機能・高付加価値ニーズが高まっています。
 改めて熱硬化性樹脂の優れた特性に着目し、熱硬化性樹脂の最大手である住友ベークライトと連携し、同社の大型化対応の熱硬化性樹脂技術と当社の熱硬化性専用の中大型射出成形機、さらに両社が保有する成形技術の融合により、射出成形による熱硬化性の成形品としては、国内初となる成形品重量1kg以上の大型成形品の実用化に成功しました。
 当社は、射出成形機の専業メーカーとして、熱可塑性をはじめとする多彩な素材の利用技術と各種成形機を開発しており、熱硬化性についても1965年より専用射出成形機を各業種向けに提供しています。
 今回、さらなる用途拡大に向けて、①熱硬化性樹脂(フェノール樹脂)製品の大型化、②材料の高機能化(長繊維等)に対応した熱硬化性樹脂専用の中大型射出成形機を開発しました。

2. 新型熱硬化性樹脂専用射出成形機「FWX760Ⅲ‐130BK」の特長
 本機は、熱硬化性樹脂用として、国内最大クラスの射出容量を持つ専用射出成形機で、型締力360tf(3,540kN)相当の金型を搭載可能なワイドプラテンタイプ(タイバー間隔:760×760mm)となっています。
主な特長:
(1)射出機構を大型化しつつも、熱硬化性樹脂の連続成形性、熱安定性を実現するため、加熱筒(スクリュ)設計を最適化しているほか、緻密な温度制御技術を搭載しています。
(2)新たに開発した、直圧式型締ならではの射出コンプレッション機能を搭載。寸法精度に優れた熱硬化性樹脂の大型部品の連続安定成形を実現しました。
(3)ハイブリッド式中大型射出成形機によるダウンサイジング ワイドプラテンのFWX機では、低圧成形システムN-SAPLI(推奨オプション)との組み合わせにより、より大きな金型を搭載可能。また、新複合型締機構の搭載によりコンパクトな機械設計となっており、成形設備のダウンサイジングを実現可能です。
(4)油圧制御とサーボモータ駆動技術の融合
 2容量切換型ポンプと電動サーボモータを組み合わせたインテリジェント・ハイブリッド・ポンプシステム「Xポンプ」を搭載し、駆動源であるサーボモータが必要な時に必要な回転速度で作動して作動油の吐出流量・圧力をコントロールします。
 Xポンプの搭載により、油圧式成形機に比べ、消費電力を大幅に削減できるほか、エネルギー効率が大きく改善されたことで、作動油温度の上昇が抑えられ、冷却水の低減が可能となります。さらに新開発の複合型締機構により、作動油量を大幅に削減(従来機比61%減)したことから、イニシャルコストやクーリングタワーなどの冷却水設備費・管理費のコスト低減も可能です。

3. 大型射出成形機による射出成形検証(住友ベークライト殿検証結果より)
 住友ベークライト製材料と当社大型射出成形機(FWX760Ⅲ‐130BK)による成形試験において、1kg相当の成形品(図1)でも安定した成形が可能であることを確認しました。表1に示すように短繊維フェノール樹脂成形材料による連続成形において最大射出圧力、材料計量時間、製品重量の変動が小さく、一般的な型締力100tfクラスの成形機と同等の安定成形が可能です。また、本成形機には繊維の配向を制御できる射出コンプレッション機能を搭載しており、図2、図3に示すような成形品の異方性の低減、高粘度材料の充填性向上、ウェルドレス、寸法精度・製品強度の向上が期待できます。

射出成形検証(図表)



FWX760Ⅲ-130BK

  

  

  

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