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新型エバポレーターを開発~アイドルストップ中でも車室内の温度上昇を抑制、快適性を向上~【デンソー】
2012年9月7日
㈱デンソー(本社 : 愛知県刈谷市、社長 : 加藤 宣明)は、アイドルストップの際にエンジンが停止した状態でも車室内の温度上昇の抑制を可能とする新型エバポレーター「蓄冷エバポレーター(Cold Storage Evaporator : 以下、CSエバポレーター)」を開発しました。エバポレーターとは、エンジンの動力で作動するエアコンサイクルの構成部品で、冷たい冷媒が暖かい空気と熱交換を行い、車室内への冷気の供給、除湿などを行っています。今回開発したCSエバポレーターは熱交換部分に蓄冷材を備えており、ここにエアコン作動時に蓄冷しておくことで、アイドルストップによるエンジン停止時にも車室内に冷気を供給し、車室内の温度上昇を抑制することを可能にしています。
これまでのエアコンは、アイドルストップ時にはエアコンサイクルも停止するため、冷気の供給ができなくなり、車室内の温度を維持できませんでした。また、夏場など気温が高い場合には、車室内の温度上昇に伴い、冷風を得るためにアイドルストップ中のエンジンを早期に再始動させ、エアコンサイクルを作動させることとなり、アイドルストップの効果を十分に発揮できないことがありました。
今回開発したCSエバポレーター搭載のエアコンシステムは、アイドルストップ中の車室内の温度上昇を抑制するとともに、エアコン作動に伴うエンジン再始動までの時間を長く保つことができるため、快適性能を維持しつつ車両の燃費の向上にも貢献することができます。
このCSエバポレーターは、エバポレーター本体の基本構造・体格は従来のまま、デンソー独自の工夫による高性能化を図り、素早く蓄冷し、ゆっくりと冷気を放出することを可能にしました。
具体的には、蓄冷材を封入した蓄冷ケースの中にインナーフィンを設け、蓄冷・放冷性能を飛躍的に向上させました。この蓄冷ケースを冷たい冷媒が通るチューブの間に挟むことで、エアコンサイクル作動中には冷媒チューブから蓄冷材に直接、かつ効率的に蓄冷することができ、またエアコンサイクル停止中は、蓄冷ケースから冷媒チューブに接続したアウターフィンを通じ、よりゆっくりと放冷が行われます。このため、比較的短い走行時間でも蓄冷が完了し、それと同時により冷風を長い時間室内に放出することができます。
本製品は、スズキ㈱より9月6日に発売されたワゴンRに搭載されています。
デンソーは、今後も車両の燃費向上とCO2排出削減に貢献する環境技術と、乗員の快適性能との両立を目指し、開発を続けていきます。
新開発の蓄冷エバポレーター
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