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ステアリングシステム特性のファインチューニング(ドイツ本国発表資料)【アウディ ジャパン】
2021年5月17日
ステアリングシステム特性のファインチューニング(ドイツ本国発表資料)
> ドライビング特性開発者、カルステン ヤブロノフスキーへのインタビュー
> アウディならではのステアリングフィールを生み出すために、バーチャル世界で実施される
基本キャリブレーション
> 異なるステアリングシステムを相互に構築
(ドイツ本国発表資料)
2021年5月10日、インゴルシュタット:アルプスのワイディングロード、渋滞した高速道路、あるいはスーパーマーケットに向かう市街地の荒れた路面。たとえどのような走行状況でも、優れたステアリングホイールは、最高の挙動を示さなければなりません。このインタビューでは、ドライビング特性開発チームのリーダーであるカルステン ヤブロノフスキーが、アウディならではのステアリングフィールを実現するため、シャシーとステアリングをファインチューニングする複雑なプロセスについて説明します。
ヤブロノフスキーさん、アウディならではのステアリングフィールを、どのように説明しますか?
私たちがクルマのハンドルを握っているとき、個々のステアリングフィールは、さまざまな要因によって変化します。その中でも、全体的な設計、車両の重量、重量配分は、個々のシャシーコンポーネント、タイヤ、採用されたステアリングシステムと同様に、重要な役割を果たします。たとえ異なるアウディモデルに乗ったとしても、それらのモデルが同じフィーリングを備えていることがすぐに分かります。アウディのモデルは、軽い操舵力、スムーズで正確なステアリングフィールを特徴としています。これは、駐車しているのか、ヘアピンカーブを走行しているのか、市街地を運転しているのかに関係なく当てはまります。アウディのステアリングホイールは、しっかりとした手ごたえがあるため、コーナーを正確かつ俊敏に駆け抜けることができます。アウディモデルは、コーナーが連続する道を高速で走行しても、高い精度で切り返すことが可能です。その一方で、高速道路の走行では、スムーズで優れた直進安定性を特徴とします。これは、ドライバーが路面の状態を常に感じることができることを意味しています。ステアリングホイールは、車両のバランス、グリップのレベル、バンプや轍(わだち)などの路面の状態に関するフィードバックを、ダイレクトにドライバーに提供します。これらは、安全で快適な走行をするために重要な要素です。
車両開発プロセスには、最大5年かかると言われています。この間、ステアリングフィールが十分に基準を満たしていることを、どのように確認しますか?
まず、対応するモデルシリーズのハンドリング特性を定義することから始めます。各モデルには、必要なステアリング角度に対する目標範囲が定義されています。これによって、他のパラメーターとともに、必要なステアリングレシオ、フロントステアリングアクスルの伝達率曲線を決定します。次に、その値を基準にして、フロントアクスルのステアリングシステムを設計します。Q7やQ8などの大型車では、ドライビングダイナミクスやハンドリングへの要求の高まりを受けて、リヤアクスル操舵システムも採用しています。
ステアリングシステムは、どのように調整しているのでしょうか?コンピューター上でしょうか、あるいは実際の道路でしょうか?
どちらも行っています。基本的なキャリブレーションは、主にバーチャルで行います。私たちは、車両の全速度範囲にわたってシミュレートすることが可能な、標準化された運転およびステアリング操舵システムを開発しました。私たちは主に、平均的なお客様が運転する範囲(横方向の力は低く、通常のステアリング操舵頻度)に焦点を当てています。しかし、私たちはその限界をさらに引き上げて、高レベルの横加速度と頻繁なステアリング操舵における車両のハンドリングも評価しています。
基本的なキャリブレーションは、特にダイナミックオールホイールステアリングといった複雑なシステムの場合、このアプローチで非常にうまく機能します。しかし、これで最終的な承認が得られるわけではありません。
ファインチューニングプロセスの次のステップとは?
現時点では、シミュレーションを使用して、すべてのシャシーコンポーネントを相互に微調整して調和させることはできません。ステアリングフィールを適切に評価するには、路上でテストする必要があります。ここでは、基本的なキャリブレーションで選択した設定が正しい開発目標に向かっているかどうかを判断するためのテストドライブが必要です。この目的のために、最初にさまざまな試験コースで車両を試乗します。キャリブレーションプロセスでは、客観的基準と主観的基準の両方が考慮されます。私たちは次のような質問を自問自答します。車両のセルフステアリング特性は?ステアリングホイールは、ドライバーの入力を直接的にもしくは間接的にホイールに伝えますか?ドライバーに路面の感触をフィードバックしていますか?ステアリングレスポンスは鋭いですか?
ステアリングレスポンスが適切に調整されていないことに気付いた場合はどうしますか?
テストドライブで何かを変更する必要があることが判明した場合、または別の設定を試す必要があることが判明した場合は、必要な変更を加えて、すぐに次のテストドライブに向かいます。さまざまなタイヤとドライブシステムを考慮して、コントロールユニットのパラメーターを調整します。ファインチューニングとキャリブレーションの多くは、公道で実施します。その理由は、最終的に車両が日常で使用される場所は公道だからです。キャリブレーションを繰り返して、最終的に生産モデルにふさわしい状態に達するまで、基準とシステム全体を調整します。
キャリブレーションにおいて、純正タイヤの問題には具体的にどのように対処していますか?
究極的には、公道においてアウディモデルの技術的優位性をもたらすのはタイヤです。異なるタイヤを選択すると、車両の走行およびステアリング特性が大幅に変化する可能性があります。これは、シャシーとステアリングシステムが完全に調和して動作することが重要であることを意味しています。新しいアウディモデルとタイヤのタイプが完全に調和するまでには数年かかります。私たちは、一流タイヤメーカーと協力して、アウディの各モデルに特化し、最先端の素材で作られた適切なタイヤを開発しています。この過程で、パートナー企業が提供するさまざまなタイヤと仕様をステアリングと調和させています。アウディの純正タイヤは、広範囲なテストを実施して、数多くの基準を満たす必要があります。
これには、どのような基準が含まれますか?
夏用と冬用タイヤの設計は、同芯度、転がり抵抗、ドライビングダイナミクスとハンドリング、ブレーキ特性、高速走行、アクアプレーニング、冬期テスト、均一性に関連するパフォーマンスを満たすまで、いくつかの段階でファインチューニングが行われます。その過程で、タイヤの構造、カーカス、トレッドのラバーコンパウンドの設計が、車両モデルに合わせて継続的に調整されます。開発プロセスでは、法的要件を超える基準を設定しています。約50回のテストを経て初めて、アウディへのタイヤの供給が許可されます。耐久試験では、合計で4万kmを走行します。
アウディは現在、その製品ラインナップにおいて、さまざまなステアリングシステムを持っています。その利点とは何ですか?
アウディの電動パワーステアリングシステムは、すべてのステアリングシステムの基礎を構築しました。このシステムにより、速度に応じてステアリングのアシスト量を変化させることが可能になりました。そして、このシステムをベースにプログレッシブステアリングを開発しました。これは、その名前が示すように、累進的なステアリングレシオを備えています。これは、ステアリングの動きが、ステアリング角度に応じて異なる方法で伝達されることを意味します。これにより、狭い道での操舵や駐車時に必要な力が大幅に軽減されます。しかし、ワインディングロードなどを走る場合は、よりダイレクトなレシオに変化して、ダイナミックなレスポンスを楽しむことができます。その後、ダイナミックステアリングの導入によって、そのレベルがさらに引き上げられました。このシステムは、操舵角に関係なくステアリングレシオを変えることができます。これにより、多くの技術的な妥協点が解決しました。さらに、ドライバーは、アウディドライブセレクトを介して、好みに合わせてステアリングレシオを調整することもできます。
アウディは、ステアリングシステムにおける最高のテクノロジーである、オールホイールステアリングとダイナミックオールホイールステアリングも開発しています。リヤアクスルのステアリングを追加する利点とは?
アウディでオールホイールステアリングと呼ばれている後輪操舵は、車両のハンドリングを大幅に改善します。例えば、これまでは、狭い駐車場にハンドルを切りながらクルマを入れる場合、多くのケースで内側の後輪が縁石に乗り上げてしまっていました。オールホイールステアリングでは、このようなことはほとんど起こりません。低速では、後輪はステアリングホイールの向きと反対方向に操舵されます。これにより、車両が走行する経路が小さくなり、回転半径が大幅に減少します。一方、高速走行時には、後輪はステアリングホイールの向きと同じ方向に操舵されます。前後のホイールが同じ方向に回転することにより、特に高速道路における車線変更時に、安定性が大幅に高まります。ダイナミックオールホイールステアリングは、ダイナミックステアリングとオールホイールステアリングの利点を兼ね備えています。その意味で、私たちは常に以前のテクノロジーから恩恵を受けています。
関連資料
> 関連リリース – 洗練されたテクノロジー(ドイツ本国発表資料)
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