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ステアリングホイール開発の舞台裏(ドイツ本国発表資料)【アウディ ジャパン】
2021年5月17日
ステアリングホイール開発の舞台裏(ドイツ本国発表資料)
> 3Dプリントから生産モデルまで:4〜5年に及ぶ開発作業
> ステアリングホイールの人間工学、デザイン、フィーリングに関するアウディの高い基準
> プロセスの重要な部分は機能分析
(ドイツ本国発表資料)
2021年5月10日、インゴルシュタット:ステアリングホイールの開発を専門とするアウディ技術者の仕事の特徴は、常に革新的な考え方を持つこと、そして細部に至るまで情熱を注ぎ込むことです。レイアウトの設計、素材の選択から初期プロトタイプの製作、耐久性テストの実施、市販モデルの生産に至るまで、すべてのプロセスには4〜5年かかる場合があります。アウディによる新世代のステアリングホイールの開発をご紹介します。
「ステアリングホイールは急速に進化しています。この30年間で、ステアリングホイールは、レザーで覆われたスチール製の骨格から、最高水準の設計および品質基準を満たすハイテクコマンドセンターへと進化を遂げました」と、ステアリングホイール開発責任者のマルセル ブルッフは述べています。「私たちは、過去11年間で、4世代にわたるさまざまなアウディモデルの、200を遥かに超えるバリエーションのステアリングホイールを開発してきました」
機能リストから基本設計まで
アウディによる次世代のステアリングホイールの開発は、さまざまな設計ドラフトとパッケージ要件を作成して、それらを比較検討することから始めます。異なる機能をどのように配置するのかは、このプロセスにおける重要な課題の1つです。「さまざまな機能がありますが、ステアリングホイールが煩雑にならないようにする必要があります。ドライバーが運転に集中できるように、直感的に操作できる必要があります」とブルッフはコメントしています。「ステアリングホイールの操作およびコンビニエンス機能は、モデルごとに専用に定義されています。例えば、新型Q4 e-tronのステアリングホイールは、18の異なる機能を制御するために使用します。これは、私たちにとって大きなチャレンジとなりました」
開発チームは、必要なすべての機能の概要を作成することから始めます。2番目のステップでは、関連する機能をクラスターにまとめていきます。次のステップは、クラスターを配置する場所を大まかに決定し、全体的なデザインを作成するプロセスで、それらを適切に制御できるかどうかを検証します。このような作業を経てはじめて、機能がどのように操作されるのか、つまりタッチパネルと物理的なスイッチの要素が決定されます。「その結果、モデルおよび機能に固有の変更を反映させた基本設計が完成します」とブルッフは語っています。「たとえば、標準のステアリングホイールは、カバー、装飾トリム、カラー、用途、技術的機能の点でオプションバージョンとは異なります」Q4 e-tronだけでも、ステアリングホイールには16の異なるバージョンがあります。このコンパクトな電動SUVの新しい機能は、ステアリングホイールリムです。このモデルでは、オプションで、ボトムフラットおよびトップフラットのステアリングが設定されています。このデザインは非常にスポーティであるばかりでなく、新しいメーターパネルの形状に適合しており、車両への乗り降りが容易になっています。「私たちは常に、デザインおよび人間工学の相反する要素のバランスを取る必要があります。最終的に、ステアリングホイールは扱いやすく、定義された人間工学的要件を満たす必要があります」とブルッフは説明しています。「ここで重要なことは、開発プロセスの早い段階で最適なソリューションを見つけることです」
人間工学、デザイン、安全基準
一般的に、アウディにおけるステアリングホイールの開発は、多くの基本原則に従っています。
・リムの形状と中心は、できるだけ小さくコンパクトに設計する必要があります。
・ステアリングホイールの直径に関しては、375mmが標準になっています。
・リム断面の楕円形のデザインは、ステアリングホイールを握ったときに、自然な感触を提供するように設計されています。リムの直径は約30〜36mmです。
・ステアリングホイールは、操舵プロセスに干渉することなく、親指で各種機能を操作できる必要があります。
・私たちは、スポーティなデザインに焦点を当てています。スポークの形状は比較的スリムです。
・表面およびギャップの寸法は、アウディによる高水準のプレミアム品質を満たす必要があります。
ステアリングホイールは、エアバッグシステムを内蔵しているため、その開発では35以上の法律とガイドラインに準拠する必要があります。その一部は、それぞれの国によっては、互いに重複しています。これらの要件には、乗員の安全および衝突の際の挙動、可燃性に加え、設計、素材、アシスタンスシステムを管理するための仕様が含まれます。アウディでは、すべてのステアリングホイールが世界中で同じデザインになっています。国による唯一の違いは、運転席エアバッグに関連しています。これは、衝突要件が異なるためです。
アウディのステアリングホイールには、1993年以来、運転席エアバッグが標準装備されています。これは、パッシブセーフティにおける画期的な出来事でした。「ステアリングホイールにエアバッグを内蔵することは、衝撃吸収材を可能な限り小さくする必要があるため、設計者と開発者に大きな課題をもたらしました」とブルッフ氏は言います。「しかし、このケースでも、テクノロジーと製造プロセスが大幅に進化しており、以前と比較して大幅にコンパクトになっています」衝突が発生した場合、ステアリングホイールは、リムやパネルなどの他のコンポーネントを破損させることなく、大きな応力に耐えることができなければなりません。これは、強度および衝突テストで検証されています。具体的には、膝貫通テストまたはボディブロックテストと呼ばれるものが含まれます。このテストでは、衝突テストのダミーが、さまざまな位置で、最高26km/hの速度でステアリングホイールの骨格に衝撃を与えます。これにより、応力の高い領域を特定し、リブ構造と壁厚を具体的に最適化することができます。
ステアリングフィール
アウディでは、ステアリングホイールを握ったときの感触も非常に重視しています。ハンズオン検出(タッチセンサー)およびステアリングホイールヒーターを備えたすべてのアウディステアリングホイールは、最高レベルの表面品質と滑り止めを実現するために、2層のフォームクッションを備えています。この基準は、あらゆるディテールに至るまで、そしてすべてのコントロール要素にも適用されます。例えば、ドライバーは、ステアリングホイールの回転やプレス操作の正確さや、アウディならではのスイッチのクリック感を通じて、これを感じることができます。
素材の選択において、アウディは3つの基準を重視しています。それらは、高品質で耐久性を備え、長持ちすることです。アウディが使用するすべての革は、食品生産の副産物で、クロムを含まないプロセスでなめされ、通気性があり、完璧な染色が施されています。実験室では、耐摩耗性、耐光性、収縮挙動、曲げ強度、引張強度、内部エミッション、燃焼挙動といった特性がテストされます。「将来的にはマイクロファイバー素材のDinamica(ダイナミカ)をステアリングホイールのカバーに採用する予定です」とブルッフは言います。「Dinamicaは、見た目も手触りもスエードのようですが、主にテキスタイルやペットボトルなどのリサイクルポリエステルから作られています」
テストおよび生産準備
開発プロセスにおける最初の重要な段階が、初期の本格的なプロトタイプの製作です。このプロトタイプは、3Dプリントされたコンポーネントで、レザーを手作業でリムに貼り付け、接着剤で固定してから、製品モデルのように手縫いします。これらの初期サンプルに基づいて、さらなる開発と熟成が行われます。「しかし、新世代のステアリングホイールは、実際に路上で運転してみた場合にのみ、適切かつ最終的な評価を下すことができます。このテストは、試作車両による耐久試験で実施します」とブルッフは説明しています。テストドライバーには、たまにしか運転しない人、女性と男性、若い人と年配の人、背の高い人と背の低い人、積極的に運転する人、あるいは慎重に運転する人など、さまざまなドライバーが含まれます。このような違いがあったとしても、すべてのステアリングホイールは、あらゆるお客様の視点から、車両をテストおよび評価するアウディのエキスパートによって認定されなければなりません。これらのテストは、ステアリングホイールが最大限の機能と最高のエルゴノミクスを提供するために、開発中に貴重な情報をもたらします。運転中のハンドルの感触は?ハンドルのリムが厚すぎたり薄すぎたりしていませんか?触れたときに気になるエッジはありませんか?ステアリングホイールの全体的なエルゴノミクスをどのように評価しますか?直感的に操作可能ですか?ハンズオン検出は問題なく機能していますか?これらはすべて、市街地、郊外の道路、高速道路など、さまざまな交通状況や環境でテストされます。このプロセスでは、約600台の試作車両が約6か月間道路を走行し、70万時間の運転と3,500万kmもの距離を走行します。「これにより、他の車両と同様に、ステアリングホイールも最高水準の品質と安全性を確実に満たすことができます」とブルッフは述べています。
関連資料
> 関連リリース – 洗練されたテクノロジー(ドイツ本国発表資料)
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