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樹脂や骨、燃料電池などの軟素材を高拡大で3次元観察できる マイクロフォーカスX線CTシステムinspeXio SMX-100CTを発売【島津製作所】

2012年7月18日

島津製作所は、樹脂や薬品、骨などの軟素材を高拡大かつ鮮明な画像で3次元観察できる、マイクロフォーカスX線CTシステムinspeXio SMX-100CT を7月24日に発売します。
マイクロフォーカスX線CTシステムとは、微小焦点のX線発生装置とX線検出器の間でサンプルを回転させ、観察したデータを元にサンプル内部の3次元構造を再構成する装置です。部品の内部欠陥の観察や、3次元的な繊維配向、形状の計測等に用いられています。本製品は、高画質と使いやすさで好評の当社マイクロフォーカスX線CTシリーズの最高機種「inspeXio SMX-225CT」から、3次元位置決め機能やキャリブレーション機能、自動撮影条件設定機能といった便利な機能を継承しつつ、樹脂をはじめとした軟素材向けに特化した製品です。ヒトの歯やマウスの骨、炭素繊維強化プラスチックなど、X線の透過しやすい軟素材を「誰でも」「簡単に」「美しい」CT画像でとらえることができます。

開発の背景

近年、化学やエレクトロニクス業界では省エネや省資源化を背景として、燃料電池やリチウム電池をはじめとする電池材料や軽量化のための樹脂素材などに関する研究が進んでおり、電極や素材の構造解析にCT装置が用いられています。たとえばGFRPやCFRPなどの繊維強化プラスチックの研究開発においては、樹脂やカーボン素材等からなる5μmから数十μmといった非常に微細な繊維構造の観察が行われており、高拡大率かつ鮮明な画像で観察ができるCT装置が求められています。
また、生体・骨・軟組織の研究分野においては、実験動物を用いた骨粗しょう症、リウマチなどの病気に関連する骨組織の観察や、骨補強材の構造解析にCTが利用されており、今後、軟素材向け高拡大CT装置へのニーズはさらに高まることが予想されます。
inspeXio SMX-100CTはこれらニーズに対応し、簡単にサンプル内部の3次元構造を観察できる基本設計に加え、当社独自の使いやすい機能と超高速演算処理システムHPC inspeXioを標準搭載することにより、高拡大で鮮明なCT画像をより速く、より美しく実現する製品です。たとえばGFRPのガラスファイバーを抜き出し、繊維配向を可視化することができ、繊維配向の解析等の構造解析に役立てることが可能です。

新製品の特長

(1) より高度なスムージング機能を搭載
従来、CT画像でのスムージング処理では、3次元画像の縦方向にぼける弱点がありましたが、新たな画像処理技術により、ノイズを減らしながら、画像の劣化を抑えることが可能になり、繊維などの3次元的な構造の観察時により鮮明な画像を得ることができるようになりました。

(2) CTスキャン領域3次元データ表示機能
サンプルの内部構造を高拡大で3次元観察できるCT装置では位置決めも3次元的に行う必要があります。透視画像による位置決めは、物が重なり、奥行き方向の位置関係がわからないため、非常に難しいという問題が有りました。本装置は低倍率であらかじめ試し撮り撮影したCT画像を3面図表示し、その画像上にCTステージの移動に合わせてCTスキャン領域をオーバーレイ表示するため、3次元的な位置決めが容易に可能になり、サンプル内部のどの部分をCTスキャンするかをリアルタイムで確認することができます。

(3) 複数の安全機能を搭載
X線発生装置の周囲に衝突検知センサーを搭載しており、サンプルの衝突による損傷を未然に防ぎます。また、スライド扉を閉める際、指はさみこみ事故がおきないように、指はさみこみ防止機構(ドア・セーフティ)を装備するなど、安全にも配慮した設計です。


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