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業界最小※1 5μm画素で、可視光から非可視光帯域まで撮像可能な SWIR(短波長赤外)イメージセンサー 2タイプを産業機器向けに商品化【ソニー】

2020年5月12日

業界最小※15μm画素で、可視光から非可視光帯域まで撮像可能な SWIR(短波長赤外)イメージセンサー 2タイプを産業機器向けに商品化
小型、広帯域の撮像により、多様化する産業機器の発展に貢献

※1 InGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)を用いたSWIRイメージセンサーにおいて。ソニー調べ。(2020年5月12日広報発表時)

ソニーは、産業機器向けに、業界最小※15μm画素で小型化を実現し、可視光から非可視光である短波長赤外(SWIR:Short-Wavelength InfraRed)までの撮像を可能としたSWIRイメージセンサー 2タイプを商品化します。

本製品は、化合物半導体のInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)層でフォトダイオードを形成し、読出し回路を形成したSi(シリコン)層とCu-Cu(カッパー・カッパー)接続※2することで、広帯域・高感度を実現した独自のSWIRイメージセンサー技術“SenSWIR(センスワイア)”※3を採用しています。これにより、小型でありながら、可視光から非可視光である短波長赤外までの広帯域(波長:0.4μm〜1.7μm)でシームレスな撮像が可能なSWIRイメージセンサーを実現しました。

本製品を搭載し、人間の眼には届かない波長の光もセンシングに活用することで、さまざまな用途に対応したカメラや検査装置などの開発が可能となり、多様化する産業機器の発展に貢献します。

※2 画素チップ(上部)とロジックチップ(下部)を積層する際に、Cu(銅)のパッド同士を
  接続することで電気的導通を図る技術。画素領域の外周の貫通電極により上下のチップを
  接続するTSV(シリコン貫通電極)に比べて、設計自由度や生産性の向上、小型化、高性能化などが可能。

※3 受光部のフォトダイオードを形成するInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)層と、読出し回路を形成するSi(シリコン)層をCu-Cu接続し、表面のInP(インジウム・リン)層を薄膜化させることで、可視光を透過させることが可能。


昨今、産業機器業界が抱える省人化や不良品流出防止などの課題に対応するため、非可視光である短波長赤外帯域の撮像が可能なイメージセンサーの必要性が高まっています。しかしながら、従来のSWIRイメージセンサーは、製造プロセス上の課題から、画素の微細化や多画素化が困難であることに加え、可視光帯域での低い感度、アナログ出力のため高機能化が困難であるなどの要因により、カメラの普及や用途拡大の弊害となっていました。

本製品は、これまでソニーが培ってきたCu-Cu接続を用いた積層技術と、独自のSWIRイメージセンサー技術を活用することで、微細化による高画質化とセンサーサイズの小型化および、可視帯域と非可視帯域双方を撮像できる広帯域での高感度化が可能になりました。また、デジタル出力に対応することで、現行の産業機器向けCMOSイメージセンサーと同等の機能性を実現しました。

今後、材料選別、異物検査、半導体検査などのさまざまな産業用途に広く提案し、生産性の向上に貢献してまいります。

主な特長

業界最小5μm画素による多画素かつ小型化の実現
受光部のフォトダイオードを形成するInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)層と、読み出し回路を形成するSi(シリコン)層を接合する際、従来のバンプ接続ではバンプピッチを確保するため、現行の産業機器向けCMOSイメージセンサーと比べて画素を小さくすることができず、微細化が困難でした。本製品は、Cu-Cu接続を用いることで画素ピッチを縮小し、業界最小5μmの画素サイズを実現しました。これにより、SXGA(『IMX990』)/VGA(『IMX991』)の解像度を持ちながらカメラの小型化が可能となり、検査精度の向上にも貢献します。

左:バンプ接続の場合 右:Cu-Cu接続の場合

可視光までの広帯域撮像
独自のSWIRイメージセンサー技術を活用し、可視光を吸収してしまう表面のInP(インジウム・リン)層※4を薄膜化することで、その下のInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)層まで透過させ、可視帯域においても高い量子効率を実現しました。これにより、波長が0.4μmから1.7μmまでの広帯域における撮像が可能となり、従来は可視光用とSWIR用で別々に必要だったカメラを1台にすることができます。その結果、システムの低コスト化や画像処理負荷の軽減による高速化が可能となり、検査対象範囲の飛躍的な拡大を実現します。

※4: InGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)層のベースとなる基板。

本製品における波長(横軸)と量子効率(縦軸)を示すグラフ

撮像例1

  
光源を切り替えることでリンゴの表面情報と皮下情報の同時取得が可能
(左:可視光環境 右:短波長赤外光環境)

撮像例2

  
短波長赤外光の吸収率の違いを活用した材料選別
(左:可視光環境 右:短波長赤外光環境)

デジタル出力による高機能性の実現
従来のSWIRイメージセンサーはアナログ出力が一般的である中、本製品はデジタル出力に対応することで、現行の産業機器向けCMOSイメージセンサーと同等の機能性を実現しました。アナログ出力のセンサーでは、デジタル変換回路や産業機器向け機能の実装をカメラ側で別途行う必要がありますが、本製品はそれらを搭載しているため、カメラ開発にかかる工数の削減や、多機能なカメラの開発が容易になります。

主な仕様







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