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ランクセス、ベルギーに高性能プラスチックの製造プラントを新設【ランクセス】
2012年6月7日
・ アントワープの重合用新プラントに7,500万ユーロを投資
・ 新プラントは2014年の第1四半期に稼働開始予定
・ ポリアミドプラスチックの年間製造能力は9万トン
ドイツの特殊化学品メーカーのランクセス(LANXESS)は、ベルギーのアントワープに高性能プラスチックの製造プラントを新設するため、7,500万ユーロを投資すると発表しました。世界最大規模を誇る、このポリアミドプラスチック製造施設は、9万トンの年間製造能力を備え、2014年度第1四半期に稼働を開始する予定です。
アントワープ : ランクセスのプラスチック製造の中核拠点に
高性能プラスチックの重合用新プラントは、ランクセスがアントワープで稼働するカプロラクタム施設に隣接して建設されます。カプロラクタムは、ランクセスのプラスチック製造において重要な中間体です。ハイパフォーマンスマテリアルズビジネスユニットの責任者であるマイケル・ゾベルは、次のように述べています。「これらの施設の新たな連携により、ランクセスは将来的に、アントワープから世界各国のコンパウンディング拠点に向けて、ポリアミドプラスチックを供給することが可能になります。これにより、アントワープはまさにランクセスの高性能プラスチック事業の中核拠点となるでしょう」。アントワープ拠点で製造される全てのプラスチックは、ランクセスの世界各国のコンパウンディング拠点において加工され、最終的に「デュレタン(R)(Durethan(R))」ブランドの製品となります。さらに一部のプラスチックはガラス繊維で強化され、その特性を改質し、顧客のニーズに応えます。この用途で使用されるガラス繊維は、プラスチックと同様にランクセスのアントワープ拠点で製造されています。ランクセスのCEOであるアクセル C. ハイトマンは、5月31日に行われた新プラントの着工式典で次のように述べています。「この投資は、ランクセスの収益性ある成長に向けて大変重要であり、アントワープ拠点への明確なコミットメントを示しています。同拠点で生産を行う高性能プラスチックは、ランクセスのグローバル戦略の要の一つです。ランクセスの成長戦略は、世界的なメガトレンドを支える技術および革新を軸としており、つまり、持続可能なモビリティに対応するソリューションが、当社の事業活動
の中核です」。高性能プラスチックの世界需要は、2020年まで年間成長率約5~6%と予測されます。自動車産業は、ランクセスが製造するプラスチックの主な成長原動力となっています。
車体軽量化を目指す自動車産業をサポート
自動車産業は、HPMビジネスユニットの主要顧客産業です。ランクセスの非常に革新的な高性能プラスチックは、金属の代替としてより軽量な自動車部品の製造を実現し、車の燃費向上および二酸化炭素排出量の削減に貢献しています。この代替部品は従来に比べ、10~50%の軽量化を可能
にします。ランクセスのプラスチックは、例えばエンジン機能部品、ドア構造部品、ブレーキペダル、フロントエンド、座席の金属フレーム材などに使用されています。さらに、自動車メーカーと車両部品サプライヤーは高性能プラスチックを採用することで、さらなる廉価生産と組立工程の簡略化による大幅なコスト削減が実現できます。ランクセスの高性能プラスチックが使用されているもう一つの分野は、電気/電子産業です。
グローバル製造ネットワークの拡大
ランクセスは、高性能プラスチックのグローバル製造ネットワークを拡大しています。現在、米国のノースカロライナ州ガストニア拠点とブラジルのポルト・フェリース拠点に新プラントを建設中です。2012年1月には、インドのジャガディア拠点で新製造プラントの稼働を開始し、最近では、ドイツのハッム・ユントロプ拠点の製造能力を倍増しました。また2011年には、アントワープのカプロラクタムの製造能力増強が完了し、年間製造能力は従来の20万トンから10%増となりました。またランクセスは、アントワープ拠点の湾岸地域のガラス繊維工場にも投資します。第1ガラス溶融炉は今春全面的に差し替えられ、続いて第2溶融炉も2013年春に刷新されます。この投資により、現行6万トンのガラス繊維の年間製造能力は、10%増となります。
この24カ月でランクセスは、高性能プラスチックのグローバル製造ネットワークに1億8,500万ユーロを投資し、その内の1億2,500万ユーロを今回の新プラント建設を含むアントワープ拠点に投じています。
ハイパフォーマンスマテリアルズビジネスユニットは、パフォーマンスポリマーズ部門(2011年度売上高:51億ユーロ)に属しています。世界中に約1,500名の従業員を擁し、ベルギー(アントワープ)、ドイツ(クレフェルド-ユルディンゲン、ハッム・ユントロプ(合弁事業拠点))、中国(無錫)、インド(ジャガディア)に製造拠点を置いています。
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アントワープの高性能プラスチック新プラント着工式
(左より:ランクセス・ベルギー代表/リュック・ヴァリガス、ベルギー・フランデレン地域政府首相/クリス・ペーテルス氏、HPMビジネスユニット責任者/マイケル・ゾベル、HPMビジネスユニット/トビアス・ライヒェルト、アントワープ知事/キャシー・ベルクス氏、ランクセスCEO/アクセルC.ハイトマン)
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