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気候変動対策と大気環境のために数十億ユーロを投資【ボッシュ】

2019年5月13日

気候変動対策と大気環境のために数十億ユーロを投資
2018年:売上高と業績が過去最高水準

ボッシュ・グループにとって、2018年は成功をおさめた年となりました。2018年の事業売上高は約785億ユーロで、過去最高を記録した前年の水準に達し、支払金利前税引前の営業利益(EBIT)も55億ユーロに到達しました。また、モビリティの自動化や電動化といった分野に多額の先行投資を行いながらも、2018年の売上高利益率は前年の6.8%から7.0%に増加しました。2018年の研究開発費は約73億ユーロに増え、研究開発費の対売上高比率は9.3%、資本支出は14%増の約49億ユーロ、対売上高比率は6.3%に達しました。ボッシュの従業員数は2018年に全世界で約8,000人増加し、 そのうちの半数以上が研究開発分野で増員されました。

●事業売上高は約785億ユーロに増加
●支払金利前税引前の営業利益(EBIT)は55億ユーロ
●2020年までにカーボンニュートラルを実現
●清浄な空気のため、道路交通に起因する大気汚染をほぼゼロに
●ボッシュCEOのデナー:「コストパフォーマンスの優れた気候変動対策と大気汚染防止対策を講じることで、社会に漂う不安を落ち着けることが可能」

ボッシュは今年度についても、経済成長は限定的になると予測しています。2019年の世界景気について、ボッシュでは2.3%前後の成長に留まると見ています。貿易摩擦、欧州諸国に広がる債務問題、自動車需要の低迷など、さまざまな要因が世界景気の減速につながると考えられるためです。このように、ボッシュにとって重要な産業や地域が困難な状況にありますが、2019年の売上高は2018年の水準をわずかに上回ると予測しています。第1四半期の売上高が低調に推移したことを受け、ボッシュは下半期の業績に期待しています。また、ボッシュ・グループは短期予測に左右されることなく、気候変動対策に取り組み、大気環境を改善するためにより精力的に活動していきます。「気候変動は、SFの世界の話などではなく、実際に起こっていることです。私たちがパリ協定に真剣に向き合おうとするのであれば、気候変動への対策を単なる長期的な願望と捉えないことが重要になります。つまり、今すぐに対策を講じる必要があります」。ボッシュ取締役会会長のフォルクマル・デナーは年次報告記者会見においてこのように述べ、さらにこう続けました。「私たちはまた、都市の大気環境の改善を求める声に応えるべく、さまざまな活動に取り組んでいます。私たちはイノベーションリーダーとして、環境保全問題に対する技術的なソリューションを提供していきたいと考えています。」さらに、デナーはこう指摘しました。「走行規制、ディーゼル反対運動、黄色いベスト運動(ジレ・ジョーヌ)、気候変動への対策を訴える金曜ストライキなどが広がっていますが、コストパフォーマンスの優れた気候変動対策と都市の大気汚染を防ぐ新しいソリューションを実行できれば、社会に漂うこうした不穏な空気を落ち着かせることも可能になるでしょう」

ボッシュは2020年までにカーボンニュートラルを実現する初の大手企業に
国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、製造業が世界のCO2排出量の約3分の1を占めているとされています。ボッシュはCO2排出量を削減する活動にすでに精力的に取り組んでおり、それが実を結びつつあります。「ボッシュは、野心的な目標を1年あまりで達成する初の大手企業となります。これにより、ボッシュでは2020年以降にカーボンフットプリントが実質ゼロになります。世界中の400を超えるボッシュの拠点すべてが2020年以降、カーボンニュートラルになるのです」とデナーは述べています。これを達成するために、ボッシュは4つの手段を用いています。その4つとは、エネルギー効率の向上、電力における再生可能エネルギーの割合引き上げ、グリーン電力の購入量の増加、そして避けられないCO2の排出の相殺です。これにより、2020年までに年間約330万トンのCO2 の排出を避けられるようになります。ボッシュの気候変動対策プランの詳細についてはこちらをご覧ください。

大気の質を向上:大気汚染をほぼゼロに
世界保健機関(WHO)は、世界人口の約90%が汚染された大気の下で暮らしていると指摘しています。こうした状況を改善するために、ボッシュは野心的な目標を掲げています。「私たちは、道路交通に起因する大気汚染をほぼゼロに抑えたいと考えています。これを実現するために、私たちは車両に起因するものだけでなく、さらにその先を見据えています」とデナーは述べています。大気汚染物質の濃度をゼロに近いレベルまで低減することを目指すボッシュのプロジェクトは、3本の柱で構成されています。 つまり、汚染物質の排出量が少ないパワートレイン技術を開発すること、交通が滞りなく流れるよう、地方自治体と協力しながらプロジェクトに取り組むこと、ボッシュの各拠点にモビリティ管理システムを導入することの3本です。

AI(人工知能)を活用し、内燃機関を最適化
ボッシュは、2030年の新しい一般車両および小型商用車全体の約75%が依然として内燃機関を動力源としていると予測しています。この予測に基づき、ボッシュはガソリンエンジンとディーゼルエンジンの最適化のために多額を投入し続けています。ボッシュはまた、内燃機関をさらに発展させるために、AIを活用しています。例えば、ボッシュはAIを活用して、各ドライバーの運転挙動から導き出したパターンに従って排出ガス後処理システムを予測制御しようとしています。これが実現すれば、車両の排出ガス量をさらに低減することも可能になります。排出ガス後処理システムと排出ガスセンサーユニットの開発に約3,500人の従業員が携わっており、2018年には約23億ユーロの売上高を達成しました。なお、この数字は2025年までに30億ユーロに達すると見込まれています。

移動型測定装置:NOx(窒素酸化物)排出量を20%低減
ボッシュは現在、大気環境の改善に向けて具体的な措置を講じるべく、欧州各地の約100の地方自治体と前向きに取り組んでいます。特にシュトゥットガルト、パリ、マルセイユでは、ボッシュの移動型測定装置のテストを実施しています。この装置は、大気中の汚染物質のレベルを継続的に測定するために新たに開発されました。この装置で測定した数値を、シミュレーションと共に、車両の排出ガスと大気汚染との関連性についてさらなる知見を得るために活用しています。例えばシュトゥットガルト市と進めているプロジェクトでは、交通がスムーズに流れると、既存の車両から排出されるNOxの量を最大20%低減できることがわかってきました。今後、この測定装置を通じて得られたデータをもとに高解像の汚染物質濃度マップを作成できるようになる見込みで、交通管理を最適化するためにこのマップを活用することも可能になります。

会社主導のモビリティ管理:広域都市圏の大気環境の改善に寄与
プロジェクトの3本目の柱となるのが、会社主導のモビリティ管理です。目指すのは、交通量を削減し、それによって排出ガス量も低減することで、その目標に対して、ボッシュの従業員にも責任があります。特に当てはまるのが、広域都市圏の場合です。そこで、ブラジル、中国、トルコの大都市ではシャトルバスを運行しているほか、在宅勤務、自転車や電動アシスト自転車のレンタルなど、さまざまな選択肢を用意しています。ボッシュは、ネットワーク化をモビリティにもうまく取り入れています。例えば、ロイトリンゲンの拠点で働く約8,000人の従業員はここ数週間にわたり、SPLTライドシェアリング プラットフォームを利用して、ライドシェアリングアプリ経由で相乗り仲間を簡単に見つけられるようになりました。また、シュトゥットガルト大都市圏では、ボッシュの約5万5,000人の従業員が総計150万kmの距離を日々行き来しており、ボッシュはクリーンエアアライアンス(Clean Air Alliance)にも加盟しています。

eモビリティ:2022年末までに約1,400万台の車両に搭載
ボッシュは、都市の大気環境の改善において、電気自動車が大きな役割を果たすと考えています。ボッシュはeモビリティの新興成長市場でマーケットリーダーになるべく力を入れており、2025年までにeモビリティ関連で約50億ユーロの売上高を達成することを目指しています。なお、この数字は2018年の売上高の10倍に達します。「パワートレイン技術の分野で価値を創出しようとする競争が激化する中で、私たちには大きなチャンスがあると期待しています。私たちはさまざまなシステムノウハウ、幅広い製品ラインナップ、そして製造における規模の経済性を備えており、世界中の自動車メーカーやモビリティプロバイダーにとって最適なパートナーとなりうるからです」とデナーは述べています。ボッシュ製のパワートレインコンポーネントはすでに世界中の100万台以上の電気自動車に搭載されていますが、2022年末までにこの数が約1,400万台に増えると見込まれています。ボッシュはこれまでに、50に上る電気自動車プラットフォームのパワートレインプロジェクトを展開しており、昨年だけでも30の新規プロジェクトを新たに受注しました。記者会見でデナーは「私たちは、燃料電池技術についても飛躍的に発展できるよう支えていきたいと考えています」と述べました。そのため、ボッシュは先日、スウェーデンの燃料電池スタックを製造するPowercell社との提携を発表しました。この燃料電池スタックは、燃料電池システムの価格の約3分の2を占めています。「私たちはPowercell社と共にスタックを商品化し、遅くとも2022年までには市場に投入したいと考えています」とデナーは述べています。

自動運転:燃料消費量とCO2排出量を低減
自動運転もまた、大気環境の改善に寄与します。リサーチ会社KE Consultの報告によると、自動運転によって燃費が30%以上、ドイツの高速道路では15%向上するとされています。ボッシュでは現在、5,000人以上のエンジニアが自動運転の開発に携わっており、その数は2年前の約2倍に達しています。デナーは、「私たちは2022年までに、約40億ユーロを自動化と持続可能なモビリティのために投入する予定です」と述べています。ドライバー アシスタンス システムは自動運転の進展に貢献しており、現在の水準が約20億ユーロである売上高が、今年は約15%伸びると見込まれています。さらに、レーダーセンサーの売上高は20%、ビデオセンサーの売上高は30%増加すると予測しています。「自動運転は、将来性のある分野という枠を超え、すでに現在の段階で、私たちにとって成長分野となっています」(デナー)。

2018年の売上高と業績が過去最高水準
2018年の売上高と業績は過去最高を記録した前年度の水準に達しました。為替変動のマイナスの影響を受け、21億ユーロほど押し下げられたものの、売上高は約785億ユーロに達しました。為替調整後では5%(事業基盤構成の変化を考慮しない場合)、名目では2.2%の伸びとなりました。支払金利前税引前の営業利益(EBIT)は、前年の53億ユーロから55億ユーロに増加しました。また、将来有望な分野に多額の先行投資を行いながらも、2018年の売上高利益率は前年の6.8%から7.0%に増加しました。ボッシュ取締役会副会長兼CFOのアーセンケルシュバウマーはさらにこう述べています。「2019年も景況が厳しく推移すると予測されていますが、ボッシュはそうした中においても、ボッシュの確かな将来を築けるよう、新技術の開発と新たな事業分野の開拓のために多額の投資を続けるつもりです。同様に、CO2排出量の削減と気候変動に対する取り組みも、財務上の短期的な検討事項として捉えるのではなく、持続的に展開していくものであると考えています」

2018年の事業セクター別業績
ボッシュが2018年に達成した良好な業績に、すべての事業セクターが貢献することができました。モビリティ ソリューションズ セクターの売上高は3.5%増(為替調整後は5.8%増)の476億ユーロに達し、同セクターの成長率は今回も世界の自動車業界の成長率を上回ることができました。売上高利益率は7.1%で、前年度の水準をほぼ維持しています。消費財セクターの売上高は、178億ユーロに達しました。3.1%減となったものの、為替調整後では前年比で0.7%の伸び率となりました。この要因の一つとして挙げられるのは、特に中国における競争圧力が強くなってきたことです。売上高利益率は7.8%で、前年度の水準をやや下回りました。産業機器テクノロジー セクターの売上高は、8.8%増(為替調整後は11.7%増)の74億ユーロに達しました。売上高利益率は8.4%で、前年比で5%の上昇となりました。エネルギー・ビルディングテクノロジー セクターは、2.4%増(為替調整後は5.1%増)となる約56億ユーロの売上高を達成しました。売上高利益率は4.2%で、前年度の水準とほぼ同じです。

2018年の地域別業績
欧州での売上高は、3.3%増(為替調整後は4.8%増)の414億ユーロに達しました。北米の売上高は123億ユーロに達し、前年比で2.7%、為替調整後では7.4%の伸び率となりました。南米の売上高は、為替調整後で11.6%増加し、復調ペースとなりました。売上高は総計14億ユーロに達したものの、名目ベースでは前年比6.2%の減収となりました。アジア太平洋地域(アフリカを含む)は現在、ボッシュの総売上高の約30%を占めています。同地域の売上高は、為替調整後で3.7%増の234億ユーロに達し、名目ベースでは0.7%増加しました。

従業員数の動向:スペシャリストや管理職のためにキャリアの機会を提供
2018年12月31日時点で、ボッシュ・グループの総従業員は全世界合わせて約41万人となり、前年比で約7,700人増加しました。特に増員されたのは欧州とアジア太平洋地域で、ドイツ国内では約1,700人増えました。ボッシュでは現在、約7万人の従業員が研究開発に携わっており、前年より約4,000人増えました。ITやソフトウェア関連のエキスパートは約2万7,000人に上り、その数はさらに増える予定です。「ボッシュは今後5年間で、ITやソフトウェア関連のエキスパートを全世界で約2万5,000人増員することを計画しています」とデナーは述べています。 主要業績データはこちらでご覧いただけます。







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