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自動車部品など樹脂系材料の評価に貢献、最速20m/秒で試験可能な高速衝撃試験機「HITS-TX」を発売【島津製作所】
2017年11月15日
島津製作所は、プラスチックや樹脂複合材料の引張試験を最速20m/秒(時速72km)で行える高速衝撃試験機「HITS-TX」を11月15日に発売します。
本製品は、最速20m/秒、最大試験力10kNで高速な引張試験を行える装置です。データ処理方式を一新したことで、一般的な速度の引張試験のようなノイズの少ない波形を得ることが可能になりました。世界トップクラスとなる秒間1,000万コマの最高撮影速度を有する当社の高速度ビデオカメラ「Hyper Vision(ハイパービジョン) HPV-X2」を組み合わせて使用すれば、材料の衝撃物性と破壊挙動のデータを同時に取得できます。また、欧州連合におけるRoHS指令(有害物質使用制限指令)および規格適合を示すCEマークにも対応させたことで、国内だけでなく、自動車産業が盛んな欧州地域を含む全世界での展開を開始します。
【開発の背景】
近年、自動車業界を中心に、様々な部品を加工性に優れる軽量な樹脂系素材や高機能な樹脂複合材料に置き換える動きが急拡大しており、衝撃特性や強度に関するデータを安全性のシミュレーションに利用するため、高速な引張試験が注目されています。
一方で、高速引張試験には公的に定められた試験規格が存在していないことから、近年、ISO(国際標準化機構)で規格の必要性が議論されています。2003年から高速引張試験が可能な装置を提供している当社は、プラスチックや樹脂系複合材料の評価技術の確立を目指す日本の素材メーカーとともに、試験規格の制定を推進しています。
このような背景のもと、当社は、プラスチックや樹脂系複合材料の研究開発がさらに進展して高速引張試験の重要性が国内外で高まることを見越し、ノイズが少なく評価に利用しやすいデータが得られる本製品を開発しました。当社は、自動車メーカーや素材メーカー、受託試験企業などに本製品を展開し、発売から3年間で50台の販売を目指します。
【新製品の特長】
1.高速な試験から低速な試験まで、1台で幅広い引張試験が可能
最速20m/秒(時速72km)から最遅0.0001m/秒、最大試験力10kN、最大変位は300mmと、プラスチックや樹脂系複合材料、金属などの様々な試験片に対して1台で幅広い引張試験に対応できます。また、新開発した当社独自の助走治具を使用した場合、設定した引張速度で再現性に優れた試験が可能です。
2.新しいデータ処理技術によるノイズの少ない波形の取得
従来、試験速度を早めるほどデータにノイズが乗りやすく安定した波形を得るのが難しかったのに対し、本製品はデータ処理方式を一新したことで、一般的な速度で行った引張試験のようなノイズの少ないデータの取得を実現し、シミュレーションや評価にデータを利用しやすくなりました。
3.高速度ビデオカメラとの組み合わせにより超高速現象を可視化
世界トップクラスとなる最高1,000万コマ/秒で撮影可能な当社の高速度ビデオカメラ「Hyper Vision HPV-X2」(別売り)を連動させることで、超高速な破壊挙動の可視化やDIC(Digital Image Correlation:デジタル画像相関法)解析によるひずみ測定ができます。物性と挙動の多面的な評価により、繊維強化プラスチックのような新素材の研究開発などへの貢献が期待できます。
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