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「メルセデスAMG GT R」を発表【メルセデス・ベンツ日本】

2017年6月27日

「メルセデス AMG エーエムジー GT ジーティー R アール 」を発表


● サーキットを走るために生まれた公道走行可能なレーシングモデル
● 完全受注生産モデル
● 数々のレースで輝かしい成績を残すAMG GT3の技術を惜しみなく投入
● メルセデスAMGとして初めて4輪操舵システムを搭載

メルセデス・ベンツ日本㈱(社長:上野金太郎、本社: 東京都品川区)は、「メルセデスAMG GT R」を発表し、全国のメルセデス・ベンツ正規販売店ネットワークを通じて本日より発売します。

「メルセデスAMG GT R」は、“Handcrafted by Racers.“をスローガンに掲げ、何よりもスポーツ カーを愛する人のために、モータースポーツを心から愛する者たちが創り上げたメルセデスAMG社による完全自社開発スポーツカー「メルセデスAMG GT」をベースに、ドイツニュルブルクリンク24時間耐久レースやSUPER GTなど世界で戦うカスタマースポーツレーシングカー「メルセデスAMG GT3」で培った技術をあますことなく注ぎ込まれた公道走行可能なレーシングモデルです。

専用に新開発されたAMG4.0リッターV8直噴ツインターボエンジンは、徹底した軽量化やドライサンプ潤滑システムによる低重心化、また2基のターボチャージャーをV8エンジンのVバンク内側に配置する「ホットインサイドV」レイアウトがもたらすコンパクト化と吸排気経路の最適化など、メルセデスAMGが持つテクノロジーが詰まったエンジンです。

アルミニウムを中心とする素材を適材適所に配置することで、軽量でありながら非常に高い強度を実現したアルミニウムスペースフレームを採用。さらにフロントミッドシップ エンジンとトランスアクスルレイアウトのトランスミッションにより、理想的な48:52の前後重量配分を実現しました。

エクステリアには、1952年に開催された伝説的なレースであるカレラ・パナメリカーナ・メヒコで優勝を飾った「300 SL」レーシングカーを彷彿とさせる、「AMGパナメリカーナグリル」や強力なダウンフォースを生み出す「アジャスタブルリアウイングスポイラー」をはじめとする数々の専用装備を備えることで、空力効率を強化するとともに最適なグリップを確保しています。また、タイヤは「ミシュランパイロットスポーツカップ2」を標準装備することで 最大限のドライビングパフォーマンスを発揮できるよう設計されています。さらに、メルセデスAMG初となる4輪操舵システム「AMGリア・アクスルステアリング」や9段階の調整が可能なAMGトラクションコントロールなどサーキットを速く走るための専用装備を備えています。

一方、メルセデスの安全運転支援システムの1つである「ディスタンスパイロット・ディストロニック」を標準装備し、レーシングモデルでありながら高い安全性も実現しています。

「メルセデスAMG GT R」の特長

新開発AMG 4.0リッターV8直噴ツインターボエンジン
“One man – one engine”、これは、メルセデスAMGの厳格な品質基準に従って、ひとりのマイスターが最初から最後まで責任を持って一基のエンジンを手作業で組み上げるというメルセデスAMGの哲学です。

「メルセデスAMG GT R」の心臓部には、専用に 新開発されたAMG 4.0リッターV8直噴ツインターボエンジン「M178」が搭載されます。砂型鋳造されたクローズドデッキのアルミニウムクランクケースに鍛造アルミニウム製ピストンを組み合わせることで、軽量化しながら高い強度を実現しました。また、メルセデスAMGペトロナスのF1™マシンでも使われているシリンダーウォールにスチールカーボン材を溶射コーティングするNANOSLIDE®摩擦低減加工を施すことで、フリクションロスを低減するとともにエンジンの軽量化にも貢献しています。

オイル供給方式はドライサンプ潤滑システムを採用し、オイルパンをエンジン底部から排除することでウェットサンプ潤滑方式採用時よりエンジン搭載位置を55mm低くすることが可能となり、車両の低重心化を実現しました。また高い横加速度が発生する高速コーナリング時での安定したオイル供給を可能としています。

メルセデスAMG GT R専用の2基のターボチャージャーはV型シリンダーバンクの外側ではなく内側に配置する「ホットインサイドV」レイアウトとしました。ターボチャージャーが生み出す過給圧は、AMG GTの1.2バールからメルセデスAMG GT Rでは1.35バールへと引き上げました。これに加え、エグゾーストポートの最適化と圧縮比の変更が行われたほか、燃焼プロセス全体に再チューニングが施されています。

これらの最新技術により、メルセデスAMG GT Rは最高出力585PS(430kW)、最大トルク700Nmを発揮します。これはGT Sと比較し、最高出力+75PS(55kW)、最大トルク+50Nmのパワーアップとなります。また、パワーウエイトレシオ2.80kg/PS、0-100km/h加速3.6秒*を実現しました。 *:欧州仕様参考値

AMGスピードシフトDCT
エンジンパワーを途切れることなく駆動輪に伝え続けるデュアルクラッチ式トランスミッションを採用。1速をワイド化し、7速とファイナルギアをクロスさせることで素早いシフトチェンジが可能となり、ドライバーのアクセルワークに瞬時に反応し、シームレスな 加速を実現します。







デザインとエアロダイナミクスの専門家が緊密に協力
メルセデスAMG GT Rは、開発においてエアロダイナミクスの技術者とデザイナーが かつてないほど緊密に連携しました。これまでよりはるかに表情豊かで独特なエクステリアは、形が機能に従い、機能が形を支える——すべての要素が技術的利点を持ち、ドライビングパフォーマンスの強化に寄与すると同時に、デザイナーのアイデアもエアロダイナミクスの技術者によって実現しています。

メルセデスAMG GT Rのデザインは、力強いフォルムやモータースポーツのコンポーネントに加え、新型AMGパナメリカーナグリルが目を惹きます。AMGパナメリカーナグリルは、モータースポーツに由来するもので、量産車としてはメルセデスAMG GT Rが初めての採用となります。クロームメッキを施した15本の垂直フィンはメルセデスAMG GT3 レーシングカーの外観を想起させます。この新しいフロントグリルの基本デザインは、1952年メキシコで開催された伝説の公道レース、カレラ・パナメリカーナ・メヒコで優勝したレーシングカー「メルセデス・ベンツ300 SL」で初めて採用された由緒あるものです。

低く構えたフロントセクションと前傾したフロントグリルによって、「サメの鼻先」のような独特な形状が生まれるとともに、車体が路面に張り付くような視覚効果があります。この形はさらに、クルマの背圧ポイントを下げることで、冷却気流と空力性能を強化する効果をもたらします。

フロントエンドはAMG GTよりもいっそうアローシェープとすることでダイナミックさを強調し、停車時でもメルセデスAMG GT Rの怒涛の推進力を感じさせます。まったく新しいジェットウイングデザイン(Aウイングがベース)によるエアインテーク下部は、車体の幅を強調するとともに、いっそう路面に吸い付くような印象をもたらしています。フロントバンパー 左右に配置される大型エアインテークは、駆動システムに必要な冷却気量の増加に対応 するものです。このため、メッシュに代えてエアロフォルムの水平フィン2本を採用しており、これによって空気の流れを損失なくラジエターへと向かわせています。

幅の広いフロントスポイラーリップはフロントアクスルに働く揚力を低減します。また、エアインテーク 外側にエアカーテンを追加することで気流を穏やかなものとし、Cd値の向上に役立てています。このエアカーテンは狭い縦向きの開口部によって空気をホイールアーチへ導き、気流特性を最適化します。





新開発アクティブ・エアロダイナミクス・システム
新開発アクティブ・エアロダイナミクス・システムは、エンジン前方のアンダーボディにほとんど見えない形で隠れているカーボンファイバー製の重量わずか約2kgのウィングです。RACEモードで80km/hに達すると約40mm自動で下降し、気流を大きく変化させます。これがベンチュリ効果を生み出すことで、フロントアクスル揚力を250km/h時で約40kg低減します。

その効果はステアリングの操作感にも現れます。高速でコーナリング時のステアリング精度が高まり、方向安定性がいちだんと向上します。特に、強い横Gを伴う高速コーナリングでは、確実なステアリングホイールへのフィードバックによってアジリティを高めつつ、常に優れたコントロール性を保ちます。

加えて空気抵抗係数も改善され、リアアクスルに働くダウンフォースは高いレベルに 維持されます。

システム作動時はフロントエンドのラジエターエアアウトレットが開き、気流をダブルリア ディフューザーへ向けて正確に導きます。こうしてリアディフューザーに入る気流も最適化され、リアアクスルの操縦安定性が高まるとともに、リアのホットスポット(特に熱を持つポイント)の温度上昇を抑制します。さらに、ブレーキディスクに流れる冷却気の量を特に増大させることで、制動力を最大限に高めます。また、損傷を防ぐため、容易に上方へたわむようスプリングマウントを採用しています。


エアパネル
メルセデスAMG GT Rのエアロダイナミクスを高めるもう1つの技術が「エアパネル」です。エアパネルは、フロントバンパーの後端下部に電子制御式垂直ルーバーを備えています。電気モーターにより約1秒で開閉することで気流を改善し、空力性能を高めます。

ルーバーはトップスピードでの走行中や制動時、高速コーナリング時を含めて通常は閉じています。これにより空気抵抗を少なくするとともに、気流をアンダーボディへ導き、フロントに働く揚力を低減します。コンポーネントが一定の温度に達し、冷却が必要となったときだけルーバーを開き、各種ラジエターへ流れる空気の量を最大限に高めます。

メルセデスAMG GT Rのエアロダイナミクスコンセプトは、すべての動作運転状態で揚力とダウンフォースに最適なバランスを確保します。

パワフル&ロング:サイドビュー
メルセデスAMG GT Rの幅は、超軽量カーボン製の力強く造形されたフロントフェンダーの採用に伴いGTと比較して、前部で46mm増えており、トレッドの拡大とホイール/タイヤの大型化に対応しています。これに加え、フロントフェンダーには独自なデザインとして、フィンを備えた専用のシグネットリング状のインサートと、エンジンルームからの熱を逃す大型エアアウトレットが設けられています。

ブレーキキャリパーは、メルセデスAMG GT R専用のイエローペイントもしくはレッドペイントとなっています。また、新型サイドスカートは車体の低く構えた姿勢をいっそう強調するとともに、ハイグロスブラックのアクセントによって独特の雰囲気を醸し出しています。

また、メルセデスAMG GT Rはカーボンファイバー製ルーフを標準装備することで軽量化を図りつつ、全体のシャープなコントラストを強調しています。

エアロダイナミクスを最適化したリアエンド
リアエンドも目を惹く革新的なデザインを数多く採用しています。新型アルミニウム製サイドウォールによってリアの幅を57mm拡大することで、ホイールの20インチへの大型化とトレッドの拡大に対応するスペースを生み出しました。これらにより、トラクションが高められるとともに、いっそう高いコーナリング速度が可能となっています。

左右に大型エアアウトレットとスリットを備え、幅を拡大したリアエンド部は気流を改善する効果をもたらします。ダブルディフューザーも同様です。サイレンサーの放熱量は、走行中にダブルディフューザーから熱気が排出されることで、全体として最適化されています。

左右のリアコンビネーションランプの間に小さなエアアウトレットを設けることで、リアサイレンサーが発生する熱をさらに放散しやすくしています。また、もう1つメルセデスAMG GT R独自のデザインとして、中央に仕切りを備える大型エグゾーストエンドがリアの中央に配置されています。さらにその左右にも、ブラックのエグゾーストエンドを2本ディフューザー内に追加しています。

大型のアジャスタブルリアウイングはテールゲート上にマウントされており、リアアクスルに働くダウンフォースを増大させます。マウント部はボディ同色、ブレードはハイグロスブラック仕上げとなっています。ブレードの角度は、サーキットのコンディション等に応じて手作業で精密に調整できます。これもモータースポーツで使われている技術です。

こうしたエアロダイナミクスに関する技術をすべて合わせた結果として、最高速時の 面接触力がGTに比べて155kg*増加しました。これにより新型メルセデスAMG GT Rはグリップを最大限に高めるとともに、完璧なドライバビリティと、エアロダイナミクス機能を滑らかに統合した、力強いプロポーションのレーシングモデルとなりました。*:欧州仕様参考値

俊敏性と安定性を両立:AMGリア・アクスルステアリング
新型メルセデスAMG GT Rは、メルセデスAMGモデルとして初めてAMGリア・アクスルステアリングを標準装備することで、ステアリング操作に対する車体の挙動がいちだんと鋭くなっています。このシステムは、操縦特性として通常はまったく相反するアジリティと安定性を理想的な形で両立させるものです。

メルセデスAMG GT Rのリアアクスルには、通常の コントロールアームに代えて、ステアリングアクチュエーター2個を備えています。

システムの中核をなすのは電動機械式アクチュエーター2個で、ステアリングホイールには機械的には接続されていません。この「バイワイヤ」システムが、リアホイールに対して電子制御で調整を行います。リアホイールのトー角の最大変化量は1.5度です。

車速100km/h以下では、リアホイールはフロントホイールとは逆方向に操舵され、実質的にホイールベースを短縮するのと同じ効果をもたらします。これにより、コーナー進入時のアジリティがはるかに高まり、ドライビングの楽しさがいっそう大きくなるとともに、ステアリング操作の負担が軽減されます。特に、細いワインディングロードや、ステア リング操作が多い狭いサーキット、スラロームコースなどでは効果が顕著に現れます。その他のメリットとしては、転回時や駐車時など日常の走行場面における機動性の向上や回転半径が小さくなることなどが挙げられます。

車速が100km/hを超えた場合、リアホイールをフロントホイールと同じ方向に操舵することで、実質的にホイールベースを拡大することとなり、操縦安定性を高めます。同時に、方向を変える際、リアホイールに働く横Gの増加ペースがかなり高まり、ステアリング操作に対するレスポンスが速くなります。また、メルセデスAMG GT Rでは高速で方向を変える際、リアアクスルのグリップが非常に大きくなり、通常リアエンドで発生する細かな振動が減ることで、非常に安定した走りを楽しむことができます。

AMGリア・アクスルステアリングはコーナリング性能を高めるだけでなく、突然の回避操作でもドライバーをアシストすることでアクティブセーフティを強化します。これによってメルセデスAMG GT Rは限界域におけるコントロール性が向上しました。

“ESP® ON”、“ESP® SPORT Handling”、“ESP® OFF”の3つのモードを備えた3ステージESP®はリミテッド・スリップ・デフと完璧に一体化して機能するほか、メルセデスAMG GT Rの卓越したドライビングパフォーマンスに合わせて最適なチューニングを施しています。このうちESP® OFFは、レーシングマシンであるメルセデスAMG GT3の設定が採用されています。

AMG RIDE CONTROL スポーツサスペンション
メルセデスAMG GT Rは、サスペンションもサーキット走行を想定し、ダブルウィッシュボーンとステアリングナックル、前後のハブキャリアは100%鍛造アルミニウム製とすることで、バネ下重量を軽減しています。モータースポーツの技術が採用されたダブルウィッシュボーン式サスペンションは、ホイール支持とサスペンション機能を分離し、スプリングストラットとダンパーストラットを 下側のラテラルリンクで支えるため、上下動を最小限に抑えつつ限界に近い状況のコーナリングにおいて路面の感覚を的確にドライバーへ伝えます。

リアアクスルのロアウィッシュボーンに採用したピロボールジョイントもモータースポーツから流用した技術で、ウィッシュボーンブッシュより耐摩耗性がはるかに高いうえ、設計上まったく遊びがないことから、大きな荷重を受けてもトーインとキャンバーが変化しません。その結果、さらにドライバーの意思に忠実に走行することが可能となりました。

リアアクスルでは、チューブ型アンチロールバーの径を太くしています。これは、メルセデスAMG GT Rに求められる動力性能を実現するため、中空デザインにすることでさらに軽量化を図っています。

電子制御式アダプティブダンピングシステムのAMG RIDE CONTROLスポーツサスペンションは、各ホイールの減衰力を走行中のハンドリング状況や車速、路面状態に合わせて自動調整します。この減衰特性の調整を高速かつ精密に行うために、ダンパー内に 伸び側用と縮み側用のバルブを別々に備えています。コーナリング時やブレーキング時などにはダンピングレートが硬くなることで、ロールが効果的に低減されます。なお、車速に応じた減衰力連続調整には、高速走行時にも最大限の接地性を確保することで安全性を高める効果もあります。

さらに、AMGドライブユニットシステムのボタンを押すか、AMGダイナミックセレクトのドライブモードを使用することで、アダプティブダンピングシステムの特性を調整することもできます。日常走行の快適性を優先する「C(Comfort)」、ニュルブルクリンクの北コース ノルトシュライフェなど一部起伏があるようなサーキット走行に適した「S(Sport)」、ホッケンハイムや鈴鹿サーキットなどのグランプリサーキット走行に適した「S+(Sport Plus)」、そして「RACE」の4つのシフトモードを搭載しています。

標準装備のタイヤとして「ミシュランパイロットスポーツカップ2」(前275/35ZR19、後325/30ZR20)を採用しています。このタイヤは公道走行可能なレーシングタイヤで、サーキットではラップの高速化やタイヤ寿命の最大50%の低減を実現します。

9段階調整の「AMGトラクションコントロール」
ESP® OFFモードにはもう1つ、メルセデスAMG GT Rのハンドリング特性を変更できる革新機能「AMGトラクションコントロール」が搭載されています。

AMGトラクションコントロールもモータースポーツの技術が採用されたシステムで、駆動輪であるリアアクスルのスリップ量を9段階であらかじめ設定することができます。

操作は、エアアウトレット下のセンターコンソールにある専用ダイヤルで行います。設定の違いによって、リアホイールに許されるスリップ量が変化することから、さまざまな路面状況に対応します。レベル1は、ウエット路面を安全に余裕を保ちながら走行する設定です。一方、レベル9ではリアアクスルのスリップを最大限許容します。選択された設定は、ロータリースイッチを囲むLEDゲージに表示されますが、この表示方式もレーシングカーから採用しています。これに加え、マルチファンクションディスプレイのセンターディスプレイにも設定が表示されます。

AMGトラクションコントロールの利点は、仮想μシミュレーターや制御装置が処理する様々なデータを利用して、状況を瞬時に予測できることです。駆動するリアホイールの最大許容スリップ量は、AMGトラクションコントロールの選択レベルに応じて計算されます。加速中にホイールスリップが上記レベルに達すると、AMGトラクションコントロールはこの許容量を超えないようにエンジン出力を調整します。このため、車体は設定された スリップ量の中で加速を続けます。調整にはAMGリミテッド・スリップ・デフの効果も含まれます。

ドライバーはコーナーからの立ち上がり加速でエンジントルクとトルクの増加幅の最適化を求められる、運転操作が最も困難な場面で、アシストを受けることができます。スイッチで設定したものと同レベルのグリップを得られます。コーナー出口での加速の際に正確なエンジンパワーを発生させることで、最高のラップタイプを可能にします。

AMGリミテッド・スリップ・デフ
メルセデスAMG GT Rは、電子制御式のリミテッド・スリップ・デフを標準装備し、リアアクスルのコンパクトなトランスミッションハウジングに内蔵しています。この電子制御式のリミテッド・スリップ・デフは制御がきめ細かくかつ高速なため、走りの物理的限界を新たなレベルへと引き上げます。駆動輪のグリップをさらに改善するほか、限界におけるコーナリング速度を高めます。加速時とアクセルオフ時に可変的にロッキング効果を発揮するほか、さまざまな走行状況や路面の摩擦係数に対応します。

AMGパラメータステアリング
車速感応式スポーツステアリングは可変ステアリングギア比を採用しています。低速走行時にハンドリングと俊敏性を強化するほか、高速走行時には走行安全性を確保します。車速に加え、その瞬間の横加速度や選択されたAMGダイナミックセレクトのドライブモードにも対応したアシスト機能が働くことで、路面からダイレクトなフィードバックが得られ、車体の挙動を把握することができます。

インテリアデザイン
メルセデスAMG GT Rではドライバーが運転操作を行う条件を理想的なものとするため、室内も モータースポーツの影響を色濃く反映したデザインが採用されています。シートは、表面にナッパ レザーとDINAMICAマイクロファイバーを使用した、きわめて軽量なマニュアルのAMGスポーツバケットシートを標準装備しています。激しいドライビングにおいても、必要とされるラテラルサポートを確保します。パッケージオプションとして、AMGパフォーマンスシートも用意しています。また、有償オプションとしてイエローシートベルトを設定しています。

幅が広いダッシュボードは、航空機をモチーフとしたデザインを引き続き採用しています。ダッシュボード中央に4つ配したスポットライト形のエアアウトレットと左右両側のエア アウトレットもこのデザインを強調しています。高いベルトライン、凹形状にしたドアパネル、ダイナミックなセンターコンソールを採用し、また、低いシートポジションによりドライバーの身体をコックピットに一体化します。

メルセデスAMG GT RはAMGインテリアナイトパッケージも標準装備しています。シフトパドルやステアリングホイール、ステップカバー、ラゲッジルームバーをハイグロスブラック仕上げとしており、標準装備のAMGインテリアピアノラッカーとの組み合わせにより、スポーツ性をいちだんと強調します。また、AMGマットカーボンインテリアトリムを有償 オプションとして設定しています。

AMGライトウェイトパフォーマンス
「重量」はスポーツカーのパフォーマンスに影響を及ぼす重要な要素の1つです。メルセデスAMGは、シャーシやボディには各種アルミニウム合金、テールゲートにはスチール、フロントデッキにはマグネシウムなど、メルセデスAMG GT Rの構造部に高度な材料の組み合わせを採用しています。フロントに採用した超軽量のマグネシウムは、フロントアクスル前方の慣性を低減することによりアジリティを改善します。

軽量なスペースフレームは、アルミニウムダイキャストやアルミニウム押し出し材で構成されています。全体に曲げ強度、ねじり強度が高いことから、パワートレインやサスペンションから加わる前後方向および横方向の非常に強い力を吸収したり、他に逃したりすることができます。これによって不要な柔軟性が低減され、高精度かつダイレクトなレスポンスが得られます。その結果、優れた精度で反応する最大限のダイナミズムを備えたスポーツカーが誕生しました。

モータースポーツで使用している素材を採用
AMGライトウェイトパフォーマンスでは、他にも数多くの対策によって軽量化を図っています。モータースポーツで用いられる軽量かつ高強度材料のカーボンファイバーの採用も、大胆な軽量化を達成する上で役立っています。カーボンファイバーは、フロントフェンダー、ルーフ、それにエンジンとトランスミッションをつなぐトルクチューブなどに採用されています。

カーボンファイバー製トルクチューブは重量わずか13.9kgと、すでに軽量化されているAMG GTのアルミニウム製に比べて約40%も軽くなりました。このトルクチューブはトランスアクスル型ドライブトレインの構造部品としてエンジンとトランスミッションを接続するもので、きわめて高い曲げ剛性とねじり剛性を備えています。ドライブトレインをきわめてダイレクトに接続することができるため、運動性能や車両重量配分バランスの面でもメリットをもたらします。

そのほか軽量化に寄与するものとして、標準装備の鍛造ホイールやチタン製リアサイレンサーの採用に加え遮音材を減らしたことが挙げられます。メルセデスAMG GT RはGT Sに比べて全体で約15kgの軽量化を達成しました。

最大限のねじり剛性を実現するカーボンファイバートンネルクロス
軽量化と同時にねじり剛性の改善を図るべく、AMGでは新しい軽量構造コンポーネントを設計しました。メルセデスAMG GT Rのこの新型カーボンファイバー製トンネルクロスは、GTで採用した3種類のアルミニウム製コンポーネントに代わるもので、エグゾーストシステムとトルクチューブの下に取り付けられています。

トンネルクロスは、レース走行で発生する大きなねじり負荷にも耐えられるよう剛性を改善しています。具体的には、車両の左右両側をより効果的にトルクチューブのトンネル内で相互に支持することで、ねじり剛性をベースモデルのGTと比較して約7.5%高めています。ボディの安定性が高いことによってメルセデスAMG GT Rは、凹凸のあるコーナーを高速で抜けるなどの困難なサーキット走行においても容易にコントロールでき、ステアリング操作の負担と小さくします。

これに加え、エンジンルームには2本のクロスメンバーを入れ、フロントエンドの剛性を高めています。メルセデスAMG GT Rでは、これもやはりカーボンファイバー製を採用し、スチール品に比べて約50%の軽量化に成功しました。

AMG強化ブレーキシステム
メルセデスAMG GT Rは強大な制動力と耐フェード性に優れるベンチレーテッド式ドリルドディスク(前390mm、後360mm)を備える強化コンポジットブレーキシステムを採用、ハイパフォーマンスに対応する強大な制動力と耐フェード性、ペダル操作に対する優れた応答性を発揮します。ブレーキキャリパーはメルセデスAMG GT R専用のイエローペイント仕上げとなっています。無償オプションとしてレッドブレーキキャリパーもご用意しています。

これに加え、AMGカーボンセラミックブレーキを有償オプションとして設定しています。AMGカーボンセラミックブレーキのメリットは、セラミックブレーキディスク(前402mm、後360mm)による軽量化(17kg減)と、耐久性および耐フェード性の向上が挙げられます。

M178エンジン:パワーとトルクを増強、レスポンスを高速化
メルセデスAMG GT Rのパフォーマンス向上には、新型ターボチャージャーが寄与しています。コンプレッサー加工の改良、ウエイストゲートのアネロイドカプセル小型化、エンジンマッピングの先鋭化が施されています。ターボチャージャーが生み出す過給圧は、AMG GTの1.2バールからメルセデスAMG GT Rでは1.35バールへと引き上げました。これに加え、エグゾーストポートの最適化と圧縮比の変更が行われたほか、燃焼プロセス全体に再チューニングが施されています。なお、ターボチャージャーの最高回転数は18万6,000rpmとなっています。

アクセル特性曲線と過給圧発生、トランスミッションパラメーターの調整をこれに呼応して変更することで、エンジンの負荷変化に対する反応をより自然なものとするとともに、ギアシフトの動作速度をさらに高めています。2つのマスフライホイールをAMG GT Sに比べて0.7kg軽量化したことも、きわめて高いアジリティの実現に貢献しています。

外気温度が高いときでも最大限の出力を確保するため、メルセデスAMGでは間接水冷式のインタークーラーシステムを採用しています。最適な空気と水の流れを実現するこれらのインタークーラーは専用2ステージ低温冷却水回路を備えています。第1ステージは、左右のホイールアーチにパラレルクーラー計2個を設置。放熱の第2ステージとなる フロントの大型ラジエターと合わせて、AMG GT Sの場合よりさらに強力なシステムとなっています。下流の水冷式インタークーラーは、ターボチャージャーが圧縮して高温となった給気を効果的に冷却してから燃焼室に導くもので、これによって給気温度は最大負荷時を含め、常に低い値に保たれます。冷却水に対しては、車両フロントエンドの大型ラジエターにより制御された冷却が行われます。また、給気ダクトをきわめて短くすることで、最適なレスポンスを実現しました。

このツインターボチャージャーに、スプレーガイド式燃焼システムによるガソリン直噴を組み合わせることで熱力学効率と出力を高めました。きわめて高速かつ高精度のピエゾインジェクターにより燃料を8つの燃焼室内に高圧で噴霧。必要に応じて複数回噴射も行うことで、均質な混合気を生成します。燃料噴射は電子制御されており、燃料圧力は100〜200バールの間で完全無段階調整されます。

アルミニウム製クランクケースは砂型鋳造により製造されるもので、クローズドデッキ構造を採用しています。これによりきわめて高い強度を確保するとともに、最大限の軽量化を実現。さらに、最大140バールの高い噴射圧力を可能にしています。

シリンダーライナーのNANOSLIDE®コーティングは、メルセデスAMGペトロナスのフォーミュラ1エンジンにも採用されている技術で、通常のねずみ鋳鉄製ライナーより硬度がはるかに高いため、耐摩耗性に優れています。さらに、摩擦が小さいことや、アルミニウム鍛造ピストンとの組み合わせも効率向上に役立っています。

4本のオーバーヘッドカムシャフトは合計32個のバルブを制御しており、吸排気両側を可変カムシャフトとすることで、優れたスロットルレスポンスを実現するとともに、各運転点に対してガスサイクルを最適化します。

また、ドライサンプ潤滑の採用は、横Gが大きい場合にも確実にオイル供給ができることのほか、エンジンを低い位置に搭載することを可能にし、これによって重心が路面に近づくことから、横加速度を高めることができるようになります。

ダイナミックエンジントランスミッションマウント
エンジンマウントとトランスミッションマウントそれぞれに磁性流体の可変マウントを搭載。各種センサーからの情報によりドライビングの状況を検知して、マウントの硬さを自動で調整します。通常走行時は柔らかいマウントによってドライブトレインからのノイズと振動を効果的に遮断し快適性を高めます。ダイナミックなドライビング時にはマウントを硬くすることでドライブトレインのロールモーションを減少しクイックなコーナリングを実現します。




AMGパフォーマンスエグゾーストシステム
マフラー内のエグゾーストフラップによりエグゾーストノートを切り替えるシステム。トランスミッションが C(Comfort)、S(Sport)モードのときはエグゾーストフラップを閉じることで、住宅街はもちろん長距離クルージングなどにも最適な落ち着いたサウンドを響かせます。ダイナミックな走りが味わえるS+(Sport Plus)、RACEモードでは、エグゾーストフラップが開き、加速時やシフトダウンによる自動ブリッピング時などにモータースポーツを彷彿とさせるエモーショナルなサウンドを発生します。なお、C、Sモードの際にも専用スイッチの操作によりエモーショナルなサウンドを楽しむことが可能です。



メーカー予定小売価格(消費税込み)は以下の通りです。

* 上記のメーカー予定小売価格は、付属品価格、税金(消費税を除く)、保険料、登録に伴う諸費用を含まない車両本体価格です。 また「自動車リサイクル法」に基づく、リサイクル料金が別途必要となります。メーカー希望小売価格は参考価格です。価格は販売店が独自に定めておりますので、詳しくは各販売店にお問い合わせ下さい

なお、「メルセデスAMG GT R」にも、新車購入から3年間走行距離無制限の一般保証・メンテナンスサービスと24時間ツーリングサポートを無償提供する総合保証プログラム「メルセデス・ケア」が適用されます。さらに、メルセデス・ケア終了後の有償の保証延長プログラムとして、一般保証および24時間ツーリングサポートを2年間延長する「保証プラス」をご用意しています。

「モータースポーツこそが技術力の優位性を何よりも端的に示す」、この確固たる信念に基づき、AMG(エーエムジー)は1967年に誕生しました。その名は、創立者のハンス・ヴェルナー・アウフレヒト(Aufrecht)、パートナーのエアハルト・メルヒャー(Melcher)、アウフレヒトの出生地グローザスパッハ(Grossaspach)の頭文字から取られています。 当初はメルセデス・ベンツの市販車をベースに独自の改良を施したレーシングマシンを 製造し、数々のレースにおいて輝かしい成績をおさめてきました。1988年からはメルセデス・ベンツと本格的なパートナーシップを組み、中核となるモータースポーツ活動を通して培ったレーシングカーテクノロジーとメルセデス・ベンツの最先端技術を結集し、メルセデスのハイパフォーマンスモデルの開発とエンジンの生産を行っています。AMGは2017年で設立50周年を迎えます。


メルセデスAMG GT R 主要諸元

※欧州仕様参考値
(*1 AMGカーボンセラミックブレーキ装着時は-20kgになります。*2 AMGパフォーマンスシート装着時は+30kgになります。)
上記諸元表は国土交通省認可の諸元を基に作成しておりますので、メーカー発表資料の記載と異なる場合があります。
記載の諸元、仕様は予告なく変更することがありますのでご了承ください。


メルセデスAMG GT R








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