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稼働する自動車エンジンのシリンダ内の温度とCO₂濃度を高速かつ同時に計測する新技術を開発【島津製作所】

2017年5月22日

小型プローブ(左)と小型プローブ先端の検出部分(右)

島津製作所は、光ファイバや光学素子で構成される新開発の小型プローブ(探針)を直接エンジン内部に挿入し、稼働しているエンジンのシリンダ内の温度と二酸化炭素(CO₂)濃度をレーザ光学技術によって高速かつ同時に計測する新技術を開発しました。この技術の実用化により、自動車用エンジンや産業用エンジンの開発現場で広く普及しているモデルベース開発(シミュレーションに基づく設計手法)において、エンジンモデルの精度が高まり、制御の最適化や改良設計の効率化のほか、さらなる燃費性能や排ガス性能の向上へ貢献することが期待できます。

当社は、5月24日から26日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2017横浜」、および6月28日から30日にポートメッセなごやで開催される「人とくるまのテクノロジー展2017名古屋」で本技術の出展・紹介を行います。


【新技術開発の背景】
自動車などのエンジンには、空気と燃料をシリンダ内で燃焼させてピストンに動力を伝える内燃機関が使用されることが一般的です。この燃焼の効率や状態が最終的なエンジンの出力性能や燃費性能、排ガス性能に大きく影響することから、エンジンメーカーには、シリンダ内で燃焼が発生するまでの温度や、排ガスとしてシリンダ内に残留するCO₂の濃度をモニタリングしたいというニーズがあります。しかし、量産型のエンジンにも適用できる実用的な構成でシリンダ内の温度とCO₂濃度をリアルタイムかつ同時に計測することは困難であり、シミュレーションモデルの妥当性を検証するためにも、直接的な計測を行いたいという要望が高まってきています。

当社は、外部EGRシステムを搭載した自動車エンジンの吸気部分のCO₂濃度を測定できる製品「EGR-chaser」を2015年5月に発売しました。この装置に利用しているレーザ光学技術を応用し、エンジンメーカーのニーズに応えるために新技術の開発を進めました。

※外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)システム
エンジンの内燃機関において、燃焼後の排気ガスの一部を吸気側に導き再度吸気させるシステム。主に窒素酸化物(NOx)の低減や燃費効率の向上を目的として搭載される。


【新技術の概要と特長】
このたび開発した新技術は、実際に稼働しているエンジンのシリンダ内の温度とCO₂濃度を高速かつ同時に直接計測する技術です。小型プローブの先端に備える直径5mmの検出部分をシリンダへ10mm挿入し、検出部分に複数のレーザ光を通過させることで、シリンダに流れる気体中の水分とCO₂の吸光度から温度とCO₂濃度を算出できます。容易に挿入できる単一の小型プローブで温度とCO₂濃度それぞれを最短50万分の1秒周期で計測可能なため、燃焼に重要な影響を及ぼす圧縮行程での経時的変化もありのままに捉えることができます。

当社は、2018年度内に本技術を製品化し、自動車用エンジンメーカーや産業用エンジンメーカーへ展開することを計画しています。


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