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ガソリンエンジン向けの小型・高性能なEGRクーラーを開発【デンソー】
2012年1月27日
~従来比30%の小型化を達成し、新規参入~
㈱デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:加藤 宣明)は、世界的な燃費・排気ガス規制の強化に伴い搭載車両が拡大している、ガソリンエンジン向けEGR(Exhaust Gas Recirculation)システムに装着する小型・高性能なEGRクーラーを開発しました。
EGRシステムは、排気ガスの一部を吸気側へ再循環させ(図1参照)燃費の向上を図るための装置です。EGRクーラーは、高温の排気ガスの温度を下げることによりガス密度を高め、エンジンの損失低減およびノッキングを防止するEGRシステムの働きを高める製品です。EGRクーラーを装着したEGRシステムは、約2~3%の燃費向上が見込まれます。
今回開発したEGRクーラーは、市場に出ている従来オフセットフィンのスリット幅が4~5ミリあったのを1ミリにまで微細化したことにより単位容積あたりの放熱量を高めました。その結果、現在、市場にある最小のEGRクーラーと比べて、同等の性能で30%小型化を達成しました。
EGRシステムは、各国の規制強化に伴い追加装着するという性質上、エンジン周りの空きスペースに搭載することとなり、システムの小型化が重要な課題です。今回開発したEGRクーラーは、システムの小型化にも大いに貢献する製品です。
この製品は、トヨタ自動車株式会社のカムリおよびアクアに搭載されています。デンソーは、今後も各国の規制強化に合わせ、同製品の展開を図っていく予定です。
図1. EGRシステム
参考 : EGRシステムとは
通常、エンジンへの吸入空気量はスロットルバルブにより調整されますが、低速走行時など、高出力を必要としない場合、スロットルバルブは絞った状態となり、シリンダー内への空気の吸入量が低下すると同時に燃料の噴射量も減少します。しかし、スロットルバルブで吸気通路が絞られ空気の通過断面積が小さい状態であるため、エンジンの損失が増大し、さらには、加速時や高速走行などのエンジン負荷の高い領域においては、燃焼温度が高温となることによる異常燃焼(ノッキング)を引き起こすことから、燃費悪化の一因となっていました。
この課題を解決するため、排気ガスを再循環させ、空気の代わりに排気ガスをシリンダー内に取り込み、燃料の噴射量を少なく保ったまま、ピストンの負荷を下げるとともに、混合気の温度上昇を緩やかにすることで異常燃焼を防ぎ、燃費の向上を図る装置がEGRシステムです。
外観写真
オフセットフィン(スリット幅説明図)
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