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ナノ構造制御技術による炭素繊維強化熱可塑性プラスチックの新規複合化技術開発について【東レ】

2012年1月24日

東レ㈱(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣)は、この度、ナノ構造制御技術の追求により、射出成形用の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(熱可塑CFRP)における炭素繊維と樹脂の新たな複合化技術を開発しました。
今回の技術の適用により、長繊維の炭素繊維強化でありながら、相反する要件である熱可塑樹脂中での炭素繊維の分散性と接着性を高いレベルで両立しており、少ない使用量でも効率よく補強効果を発現させることができます。同等の強度を持たせたガラス繊維強化プラスチックと比較して20%以上の軽量化の実現が可能となりました。今後ますます重要となる自動車・航空機などの輸送機器用や、家電・モバイル製品用といった部品の軽量化・高機能化に貢献できる材料の開発に期待できます。

これまでにも、熱可塑性樹脂に炭素繊維を配合し複合化した射出成形用材料は開発されており、既に市販されていますが、樹脂と炭素繊維の接着性が低いために、炭素繊維が本来保有している高強度や高弾性率を十分発揮できているとは言えないものでした。
これに対して今回東レは、組み合わせる熱可塑性樹脂ごとに炭素繊維の表面改質を最適設計することで、炭素繊維を樹脂中に均一に分散させるとともに、炭素繊維と樹脂の接着性を高めるための成分を併用することにより、界面構造をナノレベルで制御し、従来技術では達成できなかった高い界面接着性を達成しています。
そしてこれにより、例えば曲げ強度を従来比30%以上向上させることも可能になりました。

現在はこの新技術によって、ポリプロピレン(PP)およびポリフェニレンサルファイド(PPS)の各樹脂における炭素繊維強化ペレットの開発を進めており、PPは既に一部販売を開始しています。
PPの場合は、炭素繊維を20重量%強化の場合で比重が1.0と低比重であることが特徴で、家電や自動車の準構造材料等への適用が期待できます。一方、PPSの場合は、熱変形温度が260℃以上という耐熱性および優れた耐薬品性、難燃性を持ち、炭素繊維強化により高強度・高弾性率・高耐衝撃強度の達成が可能です。例えば自動車に使われるような各種機能部品への適用が考えられます。
当社は従来からナイロン6やABS系の樹脂で炭素繊維強化ペレットを販売しており、今回の新しい樹脂の展開とあわせた幅広い材料を提供して参ります。
加えて、当社独自の“ナノアロイ®”樹脂によるCFRPの創出にも成功しており、アロイ技術で制御した様々な特性の樹脂を使い、さらに幅広い要求に応えられる材料の提供が可能になります。

なお当社は、今回の開発成果を、2月15日(水)~17(金)に東京ビッグサイトで開催される「nano tech 2012(第11回ナノテクノロジー総合展・技術会議)」に出展します。


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