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電動モビリティ:レースを走るフォーミュラEテクノロジーが量産技術の開発を加速【シェフラージャパン】
2016年12月20日
シェフラーが CES 2017に参加
電動モビリティ:レースを走るフォーミュラEテクノロジーが量産技術の開発を加速
フォーミュラEは今や、モータースポーツになくてはならないジャンルとなりました。世界を舞台にシリーズを争う電気自動車レースは、他のレースシリーズをしのぐほどに自動車メーカーやサプライヤーの注目を集めています。シェフラーはこの分野の先駆者に名を連ねており、ABT Schaeffler Audi Sportチーム専属の技術パートナーとして、チームと連携しながらパワートレインの開発を進めています。
フォーミュラEはサプライヤーにとって、量産化に向けた電気駆動技術を実現するための開発力を証明するための場でもあります。シェフラーのCEO代理兼CTO(最高技術責任者)であるペーター・グッツマー博士は、「フォーミュラEに参加することは、電動モビリティにまつわる環境およびシステムを、より一層深く理解するために非常に有効です。」と述べています。一方、エンジニアはレースで得られた専門知識を、ハイブリッドモジュールや電動アクスルなどの現行システムと、将来のテクノロジーの両方に活かしています。
フォーミュラEは、未来の自動車技術開発のための試験走行場の役割を担っています。2017年最初のフォーミュラEレースまではまだ時間がありますが、CES(Consumer Electronics Show)会場では、ドライビングシミュレーターの仮想現実の中でレースが開催されます。現役のフォーミュラEドライバーたちが会場となるラスベガス ベネチアンホテルで、「Race to Vegas (レース トゥ ベガス)」という壮大なレースの出場資格を獲得した仮想現実世界のスペシャリストと戦いを繰り広げます。このレースの賞金は100万米ドルです。
チームは、この仮想レースに向けて、真剣に取り組んでいます。シェフラーのモータースポーツ特別プロジェクト部門責任者、ジーモン・オペル博士は、「コースはレースごとに仮想環境内で再現され、ドライバーはシミュレーター上で走行します。我々にとって最も重要なのは、チーム、ドライバー、マシンにとって正しいレース戦略を見出すことです。」と述べています。性能と効率性とを最高の形で両立させるためにも、シミュレーター上で行う通常のトレーニングセッションは非常に貴重です。
エンジニアリングスキルを、モータースポーツから量産技術へ
フォーミュラEの2015/2016シーズン以降、FIAの規制はパワートレインの自主開発をチームに認めるよう変更されました。パワーエレクトロニクスとトランスミッションを含めた電動モーターとシャーシの相互の影響はレースでの成功にとって非常に重要であり、この関係においてソフトウェアとドライバーの双方は、重大な役割を担っています。「固定ギアでは、高トルクの比較的重量のあるモーターが必要になります。そのため、我々はギアを3段にしてモーターを軽量化することを決断しました。これによってドライバーはモーター回転速度をよりダイレクトな形で制御できるようになりました」と、オペル博士は述べています。ドライバーであるルーカス・ディ・グラッシとダニエル・アプトは、巡航フェーズと回生フェーズをいかに的確に切り替えるかという難問に取り組んでいます。この課題は特に、タイミングが全てであるブレーキング時に重要になります。制動エネルギーが電動モーターによってバッテリーに戻されますが、このとき機械制動にも遅れが生じるからです。
システムの理解、モーターの冷却、新素材の開発や(制動からエネルギーを得る)回生、いずれについても、経験と知識はレーストラックから開発エンジニアへ直接伝えられます。シェフラーでは電気自動車用コンポーネントの開発チームを短期間で2倍に増員して、特に量産自動車においてパワートレインを電動化するための新たなソリューションに力を注いでいます。
未来を見すえた多様な製品ポートフォリオ
電動化への取り組みとして代表的なものが、48Vハイブリッドモジュールから電力を供給される電気駆動装置の世界に投入された、効率的なローンチパッドです。このハイブリッドモジュールは、内燃エンジンとトランスミッションとの間に、「P2」配列と呼ばれるレイアウトで配置されます。これによって、電力のみで自動車を発進させたり、市街地での走行に必要なスピードを電力だけで維持したり、制動エネルギーを取り込むことが可能になります。これによりCO₂削減、そしてコストの最小化の実現という大きな可能性を提供しています。
さらにパワフルな高電圧駆動というコンセプトは、電力のみによる走行距離を延ばすことにつながるものです。シェフラーが提供するP2高電圧ハイブリッドモジュールは、幅広いトルクレンジにより、燃料消費の削減やCO₂排出量削減に向けて、大きな可能性をもたらします。これは2017年の生産開始を予定しています。
駆動部品としてはもう1つ、電動アクスルがあります。この場合、電動モーターは内燃エンジンによって駆動されない軸に、駆動力を供給します。このように、電動アクスルはハイブリッド車の全輪駆動を可能にするとともに、内燃エンジンを持たない完全な電気駆動による自動車に適用することも可能です。
ホイールハブ駆動
電力のみによるホイールハブ駆動は、シェフラーの製品ポートフォリオにおけるもう一つの注目すべき技術です。この「eWheel Drive」と呼ばれる技術は、サプライヤーがいかに自動車のホイールに駆動テクノロジーを組み込むことを実現し得たかを示す1つの良い事例であり、都市部に小型のバスやタクシーを走らせるという、自動車の世界における新しいコンセプトのカギを握る重要なコンポーネントでもあります。電動モーター、パワーエレクトロニクス、ブレーキ、冷却システムなど、ホイールハブ駆動に必要なコンポーネントはすべて、ホイールリムに内蔵されています。これにより、省スペース化を図り、未来のアイディアやコンセプトを実現するためのスペースを確保しています。操縦しやすく、駐車が簡単で、環境にきわめて優しい、未来のモビリティに相応しいメリットも兼ね備えています。「これまでにeWheel Driveのための予備的開発を進めてきましたが、現実のプロジェクトへの導入をスタートできるところにまで到達しました」と、シェフラーでeWheel Drive開発プログラムを牽引するゼバスティアン・ヴィールゴスは述べています。
*本リリースは、2016年12月16日にドイツ・ヘルツォーゲンアウラッハで発表されたプレスリリースの抄訳です。
「ABT Schaeffler FE02」―ハイテク技術を満載した、電気自動車界のサラブレッド。電動パワートレインは、シェフラーとABTの共同開発によるもの。
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