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車のハンドルに搭載可能な小型の呼気中アルコール検知システムを試作【日立製作所】

2011年12月26日

アルコール検出装置を呼気吹き込み口と分離してダッシュボードに収納

㈱日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)と㈱日立エンジニアリング・アンド・サービス(取締役社長 : 瀧澤 照廣)は、小型質量分析装置と、アルコールセンサを組み合わせた、車載向け小型呼気アルコール検知システムを試作しました。本システムは、運転時に近い姿勢を保ったままでの呼気アルコール検知を可能とする、呼気吹き込み口分離型のアルコール検知システムで、自動車分野をはじめとする交通システムにおいて、運転・作業管理における飲酒運転防止に寄与します。

近年、自動車の安全走行のため、世界的に飲酒運転撲滅に向けた取組みが強化されています。例えば、国内では、旅客自動車運送事業運輸規則及び貨物自動車運送事業輸送安全規則の改正等により、自動車運送事業者の点呼において運転者の酒気帯びの有無の確認を行う際に、アルコール検知器を使用することが2011年5月1日から義務化されており、海外では、飲酒運転で摘発された運転手や、スクールバスなどの業務車両の運転手に対してアルコールインターロック*1の取り付けの義務化や導入の検討が一部で始まっています。

日立はこれまで、呼気中に含まれる微小な水クラスターの質量を検出する小型質量分析技術を開発し、アルコールセンサを組み合わせることで、呼気であることの証明と、アルコール検知を同時に行う技術を確立してきました。すでにこの技術を用いた従来の装置において、50センチ離れたところから息を吹きかけるだけで、呼気であることが証明できることを確認しています。しかし、実際の自動車への搭載をめざすには、呼気を吹きかける部分とアルコール検知を行うセンサ部分が一体化していることから、制御部や電源部などの周辺部品を含めると大きすぎることが課題でした。また、一般的にアルコール検知システムは、運転時に近い姿勢を保ったまま運転者が特別な動作を行うことなく、アルコールを検知できることも求められており、そうしたニーズへの対応も必要でした。そこで、日立はこのたび、呼気アルコール検知システム本体をダッシュボード内に収容可能なサイズ(総容量約540cc)に小型化するとともに、呼気の吹き込み口をハンドル部分に取り付ける構造とすることで、運転者が特別な動作を行うことなく、呼気のアルコールを厳密に測定可能となる、小型の呼気アルコール検知システムを試作しました。

本システムは、日立と日立エンジニアリング・アンド・サービスが共同で開発したもので、概要は以下のとおりです。

*1  アルコールインターロック : エンジン始動時などに運転者が装置に息を吐きかけ、呼気に規程以上のアルコールが検知されると、アラームがなったり、エンジンが始動しないようにする装置。

システム概要

1. 呼気吹き込み口分離型の呼気アルコール検知システム
大気中における呼気の伝播特性を詳しく調べたところ、チューブ内に取り込まれた呼気は、温度や湿度は拡散してしまうものの、水クラスターは進行方向に沿って密度が交互に疎と密の状態になる疎密波となって伝播することがわかりました。センサ本体からチューブでつないだ数十センチ離れたところに呼気吹き込み口を設けても、チューブ内で水クラスターが拡散することなく伝播することに注目し、呼気吹き込み口をステアリング部分に、センサ本体をダッシュボード内に設置する、取り込み口分離型の呼気アルコール検知システムを試作しました。

2. 呼気とアルコールを検出するセンサ部、制御部の小型化
マイコンを用いて、呼気とアルコールを検出するセンサ部と制御回路部を小型化し、ダッシュボード内に収容可能な容量サイズ(センサ部 : 約150cc、制御回路部 : 総容量390cc)を実現しました。



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