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インピーダンス解析支援ソフトウェア「Z-ASSIST」を自社開発【東陽テクニカ】
2016年11月8日
― リチウムイオン電池や燃料電池の内部抵抗解析を容易に ―
インピーダンス解析支援ソフトウェア「Z-ASSIST」を自社開発
~国立研究開発法人産業技術総合研究所の研究成果を活用~
㈱東陽テクニカ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:五味 勝、以下 東陽テクニカ)は、国立研究開発法人産業技術総合研究所 無機機能材料研究部門(以下 産総研)の成果を活用し、リチウムイオン電池や燃料電池、有機ELなどのデバイスの評価解析を行う、電気化学インピーダンス解析支援ソフトウェア「Z-ASSIST」を自社開発し、世界で初めて※1製品化いたしました。
このソフトウェアは、電気化学インピーダンス分光(EIS)法※2による測定結果の解析を行うために必要な等価回路モデル※3を自動生成するもので、新たに緩和時間分布(DRT)法※4を適用することによって、解析時に必要な初期パラメータの最適値を導出できます。このDRT法を用いたインピーダンス解析支援ソフトウェアは世界初の製品であり、本日2016年11月8日より日本ならびに中国市場において販売いたします。
【製品開発の社会的背景】
リチウムイオン電池や燃料電池は自動車の動力源や太陽光発電システムの蓄電池などにも応用されており、さらなる需要の拡大が見込まれています。そのため、さらなる高性能化・高効率化・長寿命化が求められており、有効な評価手法としてEIS法が用いられています。EIS法は、交流信号を用いて電池内部の電気抵抗を測定および解析することにより、その値から電池の劣化モードや寿命を間接的に評価できます。東陽テクニカでは、EIS法による測定結果の解析ソフトウェアとして日本市場のスタンダードになっている「ZView※5」を販売していますが、解析を行う際に必要な等価回路モデルおよび初期パラメータはユーザ自身で設定する必要があります。実際のリチウムイオン電池や燃料電池などでは電極反応が複雑であるため、正しい等価回路モデルを推定するのが困難な場合や初期パラメータの設定が困難な場合もあり、解析には相当量の経験や知見および時間を必要としていました。
一方、産総研 鷲見 裕史主任研究員は、DRT法を用いて抵抗、静電容量などを含む等価回路モデルを推定するアルコリズムを開発しました。東陽テクニカは、この研究成果を活用し、DRT法による等価回路モデル自動生成アルコリズムを組み込んだ電気化学インピーダンス解析支援ソフトェア「Z-ASSIST」を自社開発し、世界で初めて製品化しました。EIS法による測定結果を解析する際に必要な等価回路モデルを自動生成するとともに初期パラメータを導出します。これにより、解析者の経験や知見への依存度が低減され、解析時間や解析時のミスを大幅に削減、また、初めてEIS法を行うユーザでも即座に測定結果を解析でき、解析スピードと精度の向上をもたらします。
【製品の主な特長】
・自社開発製品
・世界初のDRT法を用いたインピーダンス解析支援ソフ
トウェア
・産総研の開発したアルゴリズムを活用
・最適な等価回路モデルおよび初期パラメータを自動導
出することで解析時間や解析時のミスを大幅に削減、
解析スピード・精度を向上
【製品データ】
製 品 名 : 電気化学インピーダンス解析支援ソフトウェア「Z-ASSIST」
標準価格 : 30万円(税別)
販売地域 : 日本、中国
発 売 日 : 日本、中国; 2016年11月8日
東陽テクニカは、今後もリチウムイオン電池や燃料電池を含むエネルギー分野の研究・開発者に最新の電気化学測定器を提供することを通じ、エネルギー分野の発展と品質の向上に貢献してまいります。
※1:DRT法を用いた電気化学インピーダンス解析支援ソフトウェアとして。2016年10月現在。東陽テクニカ調べ。
※2:周波数を変調しながら交流信号をサンプルに印加し、各周波数で得られる応答を用いてスペクトル解析を行う手
法。微小交流信号を用いることで、サンプルを非破壊で分析できる。
※3:インピーダンス解析を行うために電極反応を、抵抗やキャパシタンスなどの回路素子を用いて模擬した回路図。
※4:EIS法を行って得られたスペクトルから、計算的に求められる緩和時間(変動を加えた系の状態が平衡に達するま
での時間)のスペクトルを用いて、各抵抗成分を分離する手法。
※5:英国 Scribner社が開発したインピーダンス解析ソフトウェア。
<㈱東陽テクニカについて>
東陽テクニカは、1953(昭和28)年の設立時より「技術と情報」をキーワードに日本の技術発展に寄与することを使命として、主として最先端の 「測るツール」 を欧米の電子計測器メーカーより輸入し、日本の研究・開発者に提供してきました。さらに、「電子技術センター」における修理、校正、技術サポートや自社製品の開発、「テクノロジーインターフェースセンター」で行うお客様向けの各種セミナー、トレーニングなどの取組みは、530名を超える全従業員の約7割を占めるエンジニアの技術力に裏付けられています。東陽テクニカはこれからも「“はかる”技術で未来を創る」のスローガンのもと、「テクノロジーインターフェース」の使命を果たすべく努力してまいります。
東陽テクニカWebサイト : http://www.toyo.co.jp/
★ 本件に関するお問い合わせ先 ★
㈱東陽テクニカ 理化学計測部
TEL : 03-3245-1103(直通) E-mail : biologic@toyo.co.jp
商品サイト : http://www.toyo.co.jp/material/products/detail/Z-ASSIST.html
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