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新製品 トルクセンサT40HS【HBM】
2016年5月17日
チタン製軽量トルクフランジ-最高45,000回転を実現
高速アプリケーションで計測の不確かさを最小化
HBMのトルクセンサT40HSは最高45,000回転までの高速アプリケーションをサポートできる省スペースでコストパフォーマンスに優れたトルクセンサです。コンパクトで高剛性な設計により、高速回転の駆動系システム、タービン、トランスミッションテストベンチ、調整機能付きアクチュエータに加え、駆動系全般の試験や効率性評価で計測の不確かさを最低限におさえ、高品質なトルク信号を提供します。
小型、低慣性、高剛性な計測体デザインによって、変化の激しいダイナミックトルクの計測には特に適しています。ベアリングポスト不要のテストベンチ構成によってメンテナンスコスト低減にも寄与します。また小型で設置スペースが最少ですむためテストベンチに統合しやすく設計コスト抑制にもつながります。軽量なチタン計測体は超高速回転でも慣性モーメントが小さく抑えられ、加速時のトルクやベアリングへの負荷が少なくなるためテストシステムの寿命延伸にも大きく貢献します。
製品の特長 トルクセンサ T40HS
● 計測範囲 : 500N・m/1kN・m/2kN・m/3kN・m (今後リリース予定:100N・m/200N・m/15kN・m/20kN・m)
● 最高回転速度 : 45,000rpm(500N・m、1kN・m)、35,000rpm(2kN・m、3kN・m)
● ヒステリシスを含む非直線性 : 0.05%
● チタン製で軽量、かつ小型、低慣性な計測体
● 計測周波数帯域 : 最大 6kHz(-3dB)
● 定格温度範囲 : 10℃~70℃
【アプリケーション例】 新たな革新 : 高速トランスミッションシステムに
HBMの最新トルクセンサを統合 高速トルクセンサ T40HS
「高負荷/高温などの厳しい環境において1000N・mまでの大容量を精度0.05%で計測」
「革新的」と呼ぶに値するプロジェクトが、最近BCSAとHBMによって達成されました。BCSA社(フランス)は高性能トランスミッションシステムを専門としており、トルク、回転速度、精度、弾性、耐久性などの特性は重要な要素です。
この従業員約30人のフランス企業は、1年ほど前に航空機用F&Eテストベンチのトランスミッションシステムの入札に参加しました。テストベンチの大手メーカーがこの中国ユーザー向けのプロジェクトに応札しましたが、見事に落札したのはBCSA社でした。同社がトランスミッションの中にトルクセンサを統合する完全に新ソリューションを提案したことが大きく貢献しました。
大胆なソリューション
HBMのトルクセンサT40HS/1kN・mを取り付けたBCSAのターボトランスミッションテストベンチ――― 従来、1000N・mと45,000rpmのトルクと回転速度の組み合わせで0.05%の精度が出せるトルクフランジの統合ソリュ―ションはなく、これは大胆な提案でした。HBMフランスのトルクアプリケーション担当のニコラス・デ・ポールは述べています: 「トルクセンサはHBMの主力製品です。この市場で先行し続けるためには、絶えず製品ラインナップを拡張し続ける必要があります。この点からもHBMは、革新的な製品を開発しBCSAの要求にすばやく応じることができました」
システム構築の負荷を軽減する
BCSAは、柔軟かつ革新的であることをめざしている会社で主に輸出に力を入れており、売り上げの最大80%を輸出が占めます。BCSAのトランスミッションシステムの技術開発は、競合の標準仕様を大きく超えることを目標としています、また同時にシステム運用時の作業負荷を軽くすることを重視しています。
具体的には、駆動力テストベンチ(例:飛行機やレース用自動車エンジン)は、実際の負荷状態を再現できる物理的シミュレーションを必要とします。特に、シミュレーションプロファイル(上り坂、下り坂、カーブ、路面タイプ)を使用して、全スピード領域で起こりうる加速と減速時のモータの状態を、正しくテストする必要があります。
一般に、発電モードや制動モードで(もしくは両モード使用)電動モータを使用して、負荷をシミュレーションします。多くの場合、機械トランスミッションは、テスト対象のモータ(非常に高速で走る)と負荷を作る低速のモータの間で実行されます。
テストベンチは、モータ性能を計測するために少なくとも1個のトルクセンサを含む計測システムを備えています。通常、トルクセンサはターボトランスミッションと被計測体の間の高速回転側に置かれます。航空部門の入札では、BCSAは、もちろん同社が優位性をもつ部門に応募しました。高速回転アプリケーション向けのテストベンチシステム部門です。
他の利点 : ターボトランスミッション内に完全にトルクセンサを統合
BCSAには競合差別化が可能な優れた技術があり、これがプロジェクトを獲得する勝因となりました。デヴィッド・モンティレ(BCSA専務理事)は語ります:「通常、テストベンチメーカーはトランスミッションの入力側にある駆動系にトルクセンサを取り付けます。通常の方法では、2個のカップリングとフランジがシャフトに取り付けられるので、かなりの追加スペースが必要になります。また専門技術によりシャフトの回転軸にアラインメントする必要があります。そうしないと横揺れや機械的負荷が発生し、テストベンチが破損する可能性があります。
残る問題点は回転速度です。高い回転速度の影響が機械の重たい部分に加わると、振動が大きくなる危険性が増し、最悪の場合にはテストベンチの破損につながります。
「この問題点が十分に理解された結果、高速ターボ・トランスミッションにトルクセンサを統合したBCSAのソリューションが採用されました。」
「将来有望な戦略」
「BCSAから連絡があったとき、HBMはまだBCSAの要件に合うトルクセンサをもっていませんでした。しかしHBMが要請してきた仕様は市場トレンドを反映した非常に興味深いものでした。経験からお話しすると、テストベンチの統合は主に監視や関連電子機器側の改良にフォーカスがあたり、メカ部分は置き去りになっていました。実際のところ、試験時の回転が高速になればなるほど統合が難しく、より専門的な知識を要します。トランスミッションの内部に1kN・mのトルクセンサT40HSを組み込みたいというBCSAからの提案は、今後非常に有望な戦略だと思います」とニコラス・ディ・ポールは説明しています。
この実装は高速回転には特に適しており、HBMでは高速回転トルクセンサ、具体的には航空エンジンのテストベンチの需要増につながると考えています。モータはますます高速化する傾向にあり、その一方で軽量化も進んでいます。結果として、燃費が改善されています。
BCSA社について
BCSA社は、50年間、機械駆動システムを専門に扱っているフランスの企業です。同社の中心的活動の1つは、上記のアプリケーション例のようなテストベンチ向けの減速/加速トランスミッションの製造です。
技術的課題の克服
BCSAは、設置スペースが非常に狭く厳しい周囲条件にも対応できる、高性能かつ高精度のトルクセンサを探していました。BCSAの関心は、計測シャフトよりもはるかに容易に設置でき、必要な設置スペースが最小限の計測フランジにありました。HBMはこの分野で幅広い製品を提供していたので、BCSAはHBMの支援を求めました。
HBMのひずみゲージ技術(0.05%)は要件を完全に満たし精度は十分すぎるものでした。最高45,000回転の回転スピードも要件を満たしました。残る課題は環境条件だけです。BCSAによって開発されたトランスミッションシステムは、オイル冷却型です。この手法は厳しい動作環境となる場合が多く、ここでも温度の問題が起こりました。そこで主な技術的課題として、動作温度範囲内にセンサを保つ方法を検討しました。適切な研究と試験の結果、BCSAはセンサの使用環境温度が75 ℃を超えないようにする技術を開発しました。
計装キャビネットと、トルク、回転速度、およびパフォーマンスを計測するための工業アンプPMX。すべてにアクティブな温度計測を用いたリアルタイム補正機能を搭載
アプリケーション事例 : http://www.hbm.com/jp/5740/pmx-integration-torque-bcsa/
製品/ソリューションに関するお問い合わせ : スペクトリス㈱ HBM事業部
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E-mail : hbm-sales@spectris.co.jp
URL : http://www.hbm.com/jp
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