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車載ネットワーク(IVN)向けに自動車用イーサネット トランシーバーを開発【NXP】
2011年11月9日
NXPセミコンダクターズN.V.(以下「NXP」)は本日、車載用半導体メーカーとして初めて、自動車のイーサネットに向けにBroadcom社の車載ネットワーク(IVN)用BroadR-Reach®イーサネットの技術ライセンス契約を締結したことを発表しました。車載用ネットワーク(IVN)エレクトロニクスのNo.1サプライヤーであるNXPがBroadcom社とライセンス契約を締結したことにより、車載用イーサネットにおけるオープンスタンダードとしてBroadR-Reachの普及が、さらに加速することになります。また、Broadcom社とNXP、Freescale社とHarman社は本日、自動車業界におけるイーサネットの普及拡大を目的として、OPEN Alliance SIGを設立することを発表しました。
NXPはBroadR-Reach®技術をベースに、イーサネットの物理層向けのポートフォリオを確立することを計画しています。このためには、NXPが持つ強力なアプリケーション ノウハウの他に、自動車エレクトロニクスでの経験や業界の品質要求事項に対して、NXPが持つ専門知識を活用することとなります。大手自動車メーカー各社は、CAN、LIN、LVDS、FlexRayといった既存のIVN技術を補完する高帯域幅で低コストのネットワーク技術として、イーサネットを設計に取り入れています。例えば、イーサネットに対応したBMW車は、すでに2008年から販売されています。
車がこれまで以上に高度で接続可能な電子環境として進化しつつある中、OEMや設計エンジニアの間で、コストを抑えながら高帯域幅の用途に対応できるIVN技術の需要がますます高まっています。Broadcom社のBroadR-Reachイーサネット技術は、単一のUTPケーブルを使用するため、LVDSなどの他の高帯域幅IVN技術と比較して、コスト効率が非常に優れています。単一のUTPケーブルはシールドケーブルよりも安価で、軽量である点に加えて、UTPケーブルはすでにCANやLINベースの制御システムで使用されているため、BroadR-Reachi技術は既存の車載ネットワーク上で動作させることが可能です。
高帯域幅IVNの主要な用途のひとつに、カメラを用いた安全機能があります。これは将来、米国をはじめとする国で、新車への搭載が義務化されると見られています。現在は、狭い車庫からバックで出庫するときや道路をバックするときなど、運転中のドライバーが外の様子を十分に確認できないために車や歩行者を傷つけてしまうケースが見られます。そこで、車の外側にカメラを搭載してネットワークでつなげることにより、ドライバーはダッシュボードのディスプレイを通じて360度の視界を得ることができ、外で何が起こっているかを確認できます。この他、イーサネットがサポートできる高帯域幅の用途には、ネットワーク化されたインフォテインメントなどがあります。
IVN技術としてイーサネットを使用するメリットは、他にも、これがIPベースのネットワークをサポートする世界的標準である点が挙げられます。これにより、コンシューマ市場やビジネス市場で既に存在するIPソフトウェアやアプリケーションを自動車用に容易にアレンジすることができ、未来のネットワーク接続型車両の開発が加速化されます。
Broadcom社のPHY製品マーケティング担当シニアディレクターのアリ・アバイエ(Ali Abaye)博士は次のように述べています。
「革新的なIVNエレクトロニクス製品の主要サプライヤーとして知られるNXP社が、BroadR-Reachのライセンスを取得する決定をされたことについて、当社は非常に嬉しく思っています。他の半導体メーカーにBroadR-Reachをライセンス供与することにより、車載ネットワークアプリケーションの標準として、100 Mbpsイーサネット接続がさらに普及していくことでしょう」
NXPのイーサネットマーケティングおよびビジネス開発担当ディレクターのロブ・ホーベン(Rob Hoeben)は次のように述べています。
「当社は、高帯域幅IVNにとってイーサネットは最高の選択であると考えており、BroadR-Reach技術はこの分野において、優位性があることを確信しています。こうしたことから、当社は類似する技術開発プログラムに着手するのではなく、Broadcom社とパートナー関係を結ぶことを決定しました。これにより、開発コストを節約できるとともに、自動車市場に新技術を迅速に投入できます。当社が今回BroadR-Reachのライセンスを取得したことにより、この技術はIVNイーサネットのデファクト・スタンダードとして急速に拡大していくことでしょう。Broadcom社のBroadR-Reach IP技術をベースに、当社は引き続き、独自の車載PHY製品の開発に取り組んでまいります」
最初のNXP製品の試作品は、2013年に発表する予定です。
リンク :
● Broadcom、NXP、Freescale社がOPEN Alliance SIGを設立
● Broadcom
● IVNエレクトロニクスについて
● NXPでクルマと繋がる
NXPについて
NXPセミコンダクターズ N.V. (Nasdaq: NXPI)は、RF(無線)、アナログ、パワーマネジメント、インターフェース、セキュリティ、デジタル処理など、業界をリードする専門技術を活用して、ハイパフォーマンス・ミックスドシグナルとスタンダード製品のソリューションを製造・販売しています。これらのソリューションは自動車、ID認証、無線インフラ、照明、製造、携帯電話、民生、コンピュータといった、幅広い用途に活用されています。NXPは世界25カ国以上で展開するグローバルな半導体企業で、2010年の売上は44億米ドルでした。NXPに関する最新情報はWebサイト www.jp.nxp.com/ (日本語)をご覧ください。
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