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フリースケール、ARM® Cortex-M4コアとCortex-A5コアを統合する 新たな製品プラットフォームを公開【フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン】
2011年11月7日
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン㈱(本社:東京都目黒区下目黒1-8-1、代表取締役社長:ディビッド M. ユーゼ)は、高性能マイクロコントローラと、エネルギー効率に優れたアプリケーション・プロセッサを統合するとともに、様々な市場要求に対応するための豊富なペリフェラルを搭載する新たな製品プラットフォームを発表しました。この非対称型マルチプロセッシング・アーキテクチャのプラットフォームは、ARM Cortex-M4マイクロコントローラとCortex-A5プロセッサの統合により同時処理によるリアルタイム制御、グラフィックス表示に優れたアプリケーション処理、および柔軟なコネクティビティ・オプションを可能にします。
フリースケールの上席副社長兼マイクロコントローラ・ソリューション・グループ担当ジェネラル・マネージャであるレザ・カゼロニアンは、次のように述べています。「フリースケールのこのプラットフォームにより、リアルタイム制御用に設計されたシステムにアプリケーション処理を追加する際の開発課題が劇的に簡略化されます。フリースケールは、ハードウェアとソフトウェアの統合をベースとするソリューションにおいて、マイクロコントローラとアプリケーション処理の多様な性能を提供する最初の企業となります。また、リアルタイム処理を必要とする多数のアプリケーションのシステムを設計する上で、新たな基準を確立します。」
2つのARMコアをサポートし、フリースケールが有する高度な統合技術を基盤とするこの製品プラットフォームには、数多くのペリフェラルが用意されます。その一部だけでも、アナログ・デジタル・コンバータ、デジタル・アナログ・コンバータ、プログラマブル・タイマ、オンチップ・メモリ、柔軟なメモリ・インタフェース、高速通信インタフェース、およびセキュリティなどが挙げられます。
新しい製品プラットフォームは組込みマイクロプロセッサ(eMPU)ファミリの基盤として、Kinetis(キネティス)マイクロコントローラおよびi.MX(アイドット・エムエックス)アプリケーション・プロセッサとともに、ARMアーキテクチャをベースとするフリースケールの多彩なソリューションを提供します。
ただし、チップは新プラットフォームに基づいて市場に投入されるソリューションの一部に過ぎません。フリースケールは、チップに加えてプロセス間通信(IPC)のアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)を提供します。お客様は、ハイレベル・オペレーティング・システム(Linuxなど)とRTOS(MQXなど)の相互の通信を気にすることなく、ハードウェアおよびIPC APIを利用してアプリケーションの差別化を図ることが可能になります。また、複数のオペレーティング・システムに対応するソリューションの設計のみならず、産業アプリケーションのリファレンス・デザインの開発も進めています。こうしたイネーブルメントについては、すべてオンデマンドによるフィールド・サポートが受けられます。
フリースケールは、シリコンの提供を開始する数ヶ月前にはソフトウェア開発プラットフォームを発表する予定です。こうした体制により、お客様はソフトウェア開発サイクルを大幅に短縮し、マーケット・ウィンドウに合わせてアプリケーションを提供することができます。さらに、必要なリソースおよび投資を抑えながら将来の要件に応じて製品を開発することも可能になります。
Semico Researchの技術部長であるTony Massimini氏は、次のように述べています。「ファクトリ・オートメーション、医療機器、および家電製品などの産業アプリケーションでは、コネクティビティの統合が始まっています。洗練されたグラフィカル・ユーザ・インタフェースは、エンド・ユーザに対してより簡明で安全な消費者の視点に立ったユーザ・エクスペリエンスを提供してくれるでしょう。リアルタイム・システムへのこうした機能の追加は、従来はすでにあるリアルタイム・コントローラにアプリケーション・プロセッサを組み合わせる方法で実現されてきましたが、それは産業システムの開発者にとっては極めて困難な作業でした。アプリケーション・プロセッサとリアルタイム・コントローラを1つのデバイスに融合するという新たな製品プラットフォームは、ソフトウェア開発の初期段階で“software before silicon(シリコン・リリース前にソフトウェアを開発)”の手法を組み合わせれば、複雑性の緩和とコストの削減をもたらしてくれます。」
フリースケールは、ARM Cortex-M4マイクロコントローラ・コアをベースとする最大級のマイクロコントローラ・ポートフォリオを有し市場を先導しています。高い評価を得ているKinetisマイクロコントローラ・シリーズはすでに量産を開始しています。フリースケールは、ARM Cortex-A5コアにより、ARMソリューションの大規模なポートフォリオをさらに拡充します。
供給
新しい製品プラットフォームの最初のソフトウェア開発プラットフォームは、2011年中に提供する予定です。また、新アーキテクチャをベースとする産業アプリケーション向けのeMPU製品ファミリを2012年の第1四半期に発表する予定です。さらに、車載インフォテイメント市場向けの製品も計画しています。車載デバイスの詳細は2012年の第2四半期に発表する予定です。
リアルタイム制御 + アプリケーション処理への要求
産業システムは複雑化の一途をたどっています。その理由として挙げられるのは、洗練されたヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)、コネクティビティ・オプション、および安全基準の遵守のすべての要素を、タスクを実行する際に予測に基づいて安定的に機能させたいという要求の増大です。ヒューマン・マシン・インタフェース機能および決定性リアルタイム制御を実行するには、異なる概念に基づくコンピューティング能力が必要です。アプリケーション開発者は、このような異種の技術を1つのシステムにシームレスに統合するという難題を抱えています。
ヒューマン・マシン・インタフェースの処理では、効率的なピクセルの処理および画面への表示が特に要求されます。これに対して、結果の正確性を保証するにはタスクに対する応答時間を高い確度で予測する必要があります。現在までに利用可能なソリューションは、これらの処理要求のいずれか一方にのみ特化していました。その結果、すべての負担を担うことになったアプリケーション開発者は、異なるシリコンを組み合わせたり、リアルタイム制御とヒューマン・マシン・インタフェース・ソリューションの連携を可能にするソフトウェアを開発したりしながら、フル・ソリューションを実現させてきました。そのために、綿密な研究開発が必要になり、本来なら製品の差別化に当てるべきリソースがそれに費やされています。
ARM Cortex-A5コアについて
ARM Cortex-A5プロセッサは、車載、民生、および産業用の組込みデバイスに適した消費電力、性能、価格が最適に組み合わされており、従来のARM926EJ-SおよびARM1176JZ-Sのプロセッサ・デザインからの有用性に優れた移行パスを提供します。また、性能に関してはARM1176JZ-Sより優れ、消費電力とエネルギー効率に関してはARM926EJ-Sより優れており、他のCortex-Aコアとの完全な互換性を備えています。
フリースケール・セミコンダクタについて
フリースケール・セミコンダクタ(NYSE:FSL)は、自動車用、民生用、産業用、およびネットワーキング・マーケット向け組込み用半導体のデザインと製造の世界的リーダーです。フリースケールは、テキサス州オースチンを本拠地に、世界各国で半導体のデザイン、研究開発、製造ならびに営業活動を行っています。
詳細は、http://www.freescale.com(英語)、またはhttp://www.freescale.co.jp/(日本語)をご覧ください。
FreescaleならびにFreescaleのロゴマークは、米国、またはその他の国におけるフリースケール社の商標、または登録商標です。文中に記載されている他社の製品名、サービス名等はそれぞれ各社の商標です。
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