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自動車業界向け機能安全規格(ISO26262)の適合に向けた開発プロセスを構築【ジェイテクト】

2011年10月26日

ステアリング、ベアリング、駆動部品等の自動車部品や工作機械の製造・販売を行う株式会社ジェイテクト(本社:名古屋市、社長:井川正治)は、日本アイ・ビー・エム株式会社(本社:東京都中央区、社長:橋本孝之、NYSE:IBM)の要求管理および開発管理ツールを活用して、電子制御システムの開発プロセスにおけるトレーサビリティを確立しました。
この開発プロセスは、自動車の電子制御系に関する機能安全規格である「ISO26262」の要求事項に概ね添ったもので、ジェイテクトでは、既に欧州ビジネスでこの機能安全規格対応のプロセスおよび技術を展開しており、欧州自動車メーカーより欧州における機能安全要求を満たしていることが認められました。

ISO26262とは

ISO26262は車載電子制御の機能安全に関する国際規格で、2011年中に正式発行される予定です。同規格では製品開発ライフサイクル全体で正しいプロセスを規定し、故障リスクやそれを軽減する仕組みを開発プロセスに組み込むことを求めています。欧州を中心に同規格を自動車部品の調達条件とする動きが進んでおり、日本の自動車業界でも同規格への対応が本格化しています。
これまで自動車業界における電子制御システム開発では、開発の進め方や安全に対する基準が定性的でした。同規格では安全について定量的な指標と目標を与え、規格に沿ったプロセスの遂行を求めており、自動車業界はこれまでの開発のあり方を大きく見直す必要に迫られています。

ジェイテクトと日本アイ・ビー・エムのシステム構築の取り組み

ISO26262に適合する開発プロセスを構築するため、ジェイテクトは2009年より機能安全に対応するプロセス構築を開始、2010年より組込みシステム・ソフトウェア開発向け要求管理ツールであるIBM® Rational DOORSと開発管理ツールであるRational Team Concertを活用し、要求から評価までの開発プロセス全体のトレーサビリティ確保に取り組み、2011年に8月にプロセス構築をおおむね完了しました。このプロセスを確実に実行するため、2011年8月からIBM Rational DOORSとRational Team Concertを活用した新システムの試行を開始し、来年4月に実運用を開始する予定です。

新システムでは、安全要求に対応するための個々のシステム要件に対して、作業項目を明確化し、設計やテストといった後続作業や成果物と紐付けを自動化して追跡することが可能となります。これらをIBM Rational DOORSとRational Team Concertで管理することで、各々の作業を開発チームメンバーで共有することが可能となり、開発活動の内容や進捗、結果が正しく評価でき、トレーサビリティおよび機能安全を確保した開発プロセスを実現します。

ジェイテクトの電子制御に対する取り組み

近年、自動車の電子制御の高度化に伴い、機能安全に対する要求や期待は高まっています。ジェイテクトの主力事業である、ステアリングシステムや駆動ユニットにおいても電子制御技術の高度化への対応が必須であり、さらにはステアリングやホイール部品のハブユニット、駆動ユニット間の電子協調制御など、電子制御系の機能安全に対する重要性は増しています。
そのような環境変化に対応するため、ジェイテクトでは2011年1月に「電動システム開発センター」を新設し、電装品の内製化やモータとECUを小型化・一体化する機電一体電動パワーステアリングの開発などのモジュール化や、次世代電動ポンプなどの商品開発を推進しています。
今回のISO26262への適合は、開発プロセスにおける機能安全の信頼性を向上させるだけでなく、安全に対する企業文化(Safety Culture)の醸成や設計・開発のスピードアップ・工数削減によってリソーセスを新たな事業領域を獲得するための研究開発へシフトさせるなど、今後のジェイテクトの成長・飛躍に大きく貢献します。


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