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低抵抗、薄型! 電気二重層エネルギーデバイスの量産化について【村田製作所】

2011年9月16日

要旨

株式会社村田製作所は、ミリオームレベルの低抵抗を小型かつスリムパッケージで実現した電気二重層エネルギーデバイス*1の量産を開始しました。

背景

近年、バッテリー機器の高効率・高機能化が求められているなかで、当社ではお客様の多様なニーズに応えるため、電気二重層エネルギーデバイスの研究開発に注力してまいりました。2008年に事業提携した豪州CAP-XX社の技術を導入し、このたび、ミリオームレベルの低抵抗を小型かつスリムパッケージで実現した電気二重層エネルギーデバイスを量産化しました。電極構造等の電気化学システムを最適化することにより、幅広い温度領域で高出力から低出力までフレキシブルな充放電が可能です。また、短時間のピーク出力を補助することで、バッテリーの負荷軽減やバッテリーでは出力が困難な高出力の機能の駆動が可能となります。

特徴

1. ミリオームレベルの低ESR (等価直列抵抗) により、大電流や高出力の充放電が可能

2. 2.7V/セルの高ピーク電圧

3. −30℃~+70℃の幅広い使用温度範囲で安定した出力特性

4. 薄型かつ高強度のパッケージを採用。
膨れを抑制し、スマートフォンやタブレットPCなどの薄型機器に最適

用途

1. デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話用のLEDフラッシュ用補助電源

2. ピーク出力補助によるバッテリーの負荷変動軽減
GSMやオーディオ出力のバッテリーの負荷変動を抑制します

3. 小型モーターの駆動時のピーク出力補助

4. SSD*2などのバックアップ

5. USBバスパワー*3のピーク出力アシスト

6. 様々な発電素子と組み合わせることにより、10万サイクル以上のサイクルライフとメンテナンスフリーな蓄電素子として使用が可能

用語解説

*1  電気二重層エネルギーデバイス :
化学反応を利用せず、活性炭表面のイオンの物理吸着のみでエネルギーの蓄積を行うため、一般的な二次電池に比べ、充放電が半永久的に繰り返し行えるほか、急速な充放電も可能としている。また、鉛などの有害物質を使用していないため、欧州連合 (EU) の電子・電気機器に含まれる特定有害物質使用制限 (RoHS) 指令にも対応するなど環境負荷の少ない蓄電装置としても注目されている。家電製品や携帯電話、情報端末などの電子機器のメモリーバックアップからハイブリッド車、夜間電力の蓄電まで環境との共生を図るための技術として活躍の場を広げている

*2  SSD :
Solid State Drive。補助記憶装置の一種で、フラッシュメモリを使用している。ハードディスクドライブ (HDD) のようにディスクを持たないため、高速に読み書きができる

*3  USBバスパワー :
USBケーブルを介して、PC本体から給電するしくみ

品番

DMD2E2R1F704M2BT**
DMD2W4R2L354M3BT**
DME2D2R7F704M2BT**
DME2U5R5L354M3BT**

特性図

瞬時最大許容電圧
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定格電圧
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公称容量
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Typ ESR@1kHz
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厚み
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2.7V 2.1V 700mF 30mΩ 1.5mm
5.5V 4.2V 350mF 60mΩ 3.0mm

* 容量ラインアップは今後拡大予定
* 使用温度範囲 : −30℃~+70℃
* バックアップ用途向けDMDと高ピーク出力向けDMEをラインアップ

電気的性能

ESRの温度特性
低温下でも安定したESRにより、幅広い温度範囲で安定した高出力が得られます。

放電特性

幅広い温度範囲で大電流の放電が可能です。

外形寸法

生産体制

数十万個/月体制で量産中
2012年までに100万個体制を確立予定

サンプル価格

2.7V : 300円
5.5V : 500円


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