素材
フォートロン(PPS)
概要
フォートロンは、それまでモロイとされてきたポリフェニレンサルファイド(Polyphenylene sulfideの頭文字をとった略称=PPS)の評価を一変させ、そのモロサを克服した新しいタイプのタフなPPS樹脂として確固たる地盤を築きつつあります。
従来のPPS樹脂が分子構造に部分的な架橋構造を持っている架橋型であるのに対して、フォートロンは架橋を伴わない直鎖上の分子構造をしているものだからです。もちろん、耐熱性、難燃性、耐薬品性に優れていますし、イオン性不純物が少なく、はんだ耐熱性にも優れていますので、厳しいエレクトロニクス関連部品を中心に成長を続けています。
その用途は電子部品に限りません。ランプソケット、ウォーターポンプ、各種電装部品などとして自動車部品に、OA機器、AV機器などの機能部品としてもその優れた特性が活かされています。自動車電装部品や住宅関連部品を中心に今後いっそうの成長が期待されている樹脂、それがフォートロンです。
特徴
● 機械的強度が極めて高く、特に曲げ強度は高い値を示し、良好な弾性回復性を
もっています。
● 高い靭性をもち、圧縮特性、およびせん断特性において高い値を示します。
● 高温、高荷重下でも優れたクリープ特性をもち、また繰り返し応力に対して、
優れた耐疲労性をもっています。
● 伸びや衝撃強さが大きく、従来、PPS樹脂の欠点とされていた脆さが大幅に
改善されています。
● 260℃、10秒のハンダ浴の浸漬に耐え、電子部品の表面実装技術に十分
耐えることができます。
● イオン性不純物が少なく、厳しい電気的特性が要求される分野への
応用が可能です。
● 高温高湿下の体積抵抗率の経時変化が少なく、誘電率は周波数や温度により
ほとんど変化せず、絶縁材料として優れた特性をもっています。
● ウエルド強度が大きく、ねじ、圧入などの二次加工性に優れています。