素材
高機能熱可塑性樹脂 VICTREX PEEK
概要
いくつもの優れた特性をバランス良く発揮する高機能性樹脂VICTREX PEEKポリマーは、143°Cのガラス転移点を持つ結晶性のプラスチックで、融点である343°C付近の高温環境下においても、高いレベルの機械的物性を発揮します。また、薬品、摩擦、電気および熱に対する極めて高い耐性のほか、寸法安定性や幅広い加工性など、独自の特性を併せ持っています。この結晶性の線状芳香族ポリマーは、現在市販されている樹脂材料の中でも、最高性能を有する熱可塑性プラスチックとして知られています。
VICTREX PEEKは多くの優れた物性を併せ持つことから、自動車産業において今後ますます採用が加速すると期待されています。VICTREX PEEKが持つ数々の機能はシステム性能の向上とコスト低減を追求する自動車産業への最適なソリューションといえます。
特に自動車用ギヤは従来の金属素材からVICTREX PEEKへの代替が進んでおり、こうしたユーザーのニーズに応えるためビクトレックスの専門チームが積極的にサポートを実施しています。
特徴
重要な特性
▲耐熱性 — 260°Cの温度環境下においても連続使用が可能で、融点の343°Cに近い高温でも短期間の機械的物性を維持。
▲耐摩擦摩耗性 — 非常に低い摩擦係数により、抜群の耐摩擦摩耗性を発揮。VICTREX PEEKは限界PV値が高いため、厳しい摩擦摩耗特性が要求される部品に最適。また、様々な極限環境において、金属や他の高性能樹脂よりも優れた性能を発揮。
▲耐薬品性 — 高温環境下においても、塩基、酸、有機・無機溶媒に対する高い耐薬品性を示すと共に、潤滑油やブレーキオイル、燃料油、冷却剤など、車に使われるあらゆる種類の化学薬品に対しても高耐薬品性を発揮。
▲耐加水分解性 — 250°C以上のスチーム、高圧水の中で数千時間使用されても、機械的特性および寸法安定性を維持。
▲低吸湿性 — 水分をほとんど吸収しないため、機械的特性や寸法安定性に影響を受けない。
▲耐衝撃性 — VICTREX PEEKは、広範囲の温度環境や、様々な過酷な環境下においても、高い強度と靱性を発揮。
▲高強度 — VICTREX PEEKコンパウンドは、広範囲の温度環境下で優れたクリープ特性を示し、金属よりも高い機械的強度を発揮。
▲燃焼性 — 難燃剤を使用せずにUL 94でV-0難燃性を発揮。(1.5mm厚)
▲熱膨張係数 — 熱膨張係数が低く、各種フィラーの配合によって鉄やアルミニウムと同等の熱膨張係数を持たせることも可能。
▲発煙性、有毒ガス発生 — 燃焼時の煙と有毒酸性ガスの発生レベルは熱可塑性プラスチックとしては非常に低い。
▲電気的性質 — 広い温度と周波数範囲で安定し非常に優れた電気的性質を有する。
▲耐放射線性 — 高照射レベルのガンマ線に対する耐放射線性は熱可塑性プラスチック材料としては例外的に高い。
▲加工性 — 多様なプラスチック成形手段で容易に成形することができ、射出成形品は後処理を必要としない。