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次世代型環境対応LNG燃料自動車専用船“CENTURY HIGHWAY GREEN”が竣工 【川崎汽船】
2021年3月12日
次世代型環境対応LNG燃料自動車専用船“CENTURY HIGHWAY GREEN”が竣工
本船は従来の重油燃料の船に比べ、温室効果ガス(GHG)である二酸化炭素(CO2)の排出を25%~30%(注1)、大気汚染の原因となる硫黄酸化物(SOx)の排出をほぼ100%、LNG燃料の使用に加えEGR(Exhaust Gas Recirculation)を使用することにより窒素酸化物(NOx)の排出80%~90%の削減を見込む次世代型環境対応船です。低環境負荷での輸送を実現する、当社運航自動車専用船で初めてとなるLNG燃料船の就航は、当社が掲げる『”K” LINE 環境ビジョン2050』の目標達成に向けた重要なマイルストーンとなります(注2)。
また、去る3月3日には、竣工に先立ちリモート形式による命名式が執り行われました。愛知、香川、岡山、東京の4拠点をオンラインで結び、トヨタ自動車株式会社(本社 : 愛知県豊田市、代表取締役社長 : 豊田 章男)の内山田竹志代表取締役会長ご夫妻、国土交通省海事局の大坪新一郎局長、環境省中国四国地方環境事務所の上田健二所長、ならびに当社代表取締役社長の明珍幸一らが出席しました。本船は、当社自動車専用船で過去4隻に採用した伝統あるCENTURY HIGHWAY”という船名に地球や環境との調和をイメージさせるGREEN”を冠し、命名されました。
本船では、さまざまな環境対応策やデジタル技術を採用し、当社が重要課題としている安全・環境・品質の向上を図っています。
本船概要
全長: 199.98メートル
型幅: 37.2メートル
最大積載自動車台数: 7,080台
総トン数: 73,515トン
LNG燃料タンク容量:2,439立方メートル
船籍: 日本
本船の環境仕様
・LNGとMGO(Marine Gas Oil)いずれの燃料でも運転可能な2元燃料焚き主機及び補機(発電機、ボイラー)を
採用。主機には高圧タイプのME-GIエンジンを採用し、GHGであるメタンスリップ(未燃ガス)の排出を低減
しています。
・主機にEGR(Exhaust Gas Recirculation)、発電機にSCR(Selective Catalytic Reduction 選択触媒還元)を
採用し、LNG、MGOのいずれの燃料の場合でもNOx Tier Ⅲ規制をクリアしています。
・本船の建造にあたっては、環境省及び国土交通省の連携事業である「代替燃料活用による船舶からのCO2
排出削減対策モデル事業」の支援を受けています。
・本船の建造資金の一部は、国内初となるトランジションローンにより、株式会社みずほ銀行と三井住友信託
銀行株式会社より調達しています。<参考リンク参照>
・LNG燃料船普及によるGHG削減促進のため、本船は教育訓練船仕様で建造されています。LNG燃料船の拡大
には、船長・機関長、並びに全機関士に求められるIGF(注3)甲種資格の取得が課題です。その取得要件
にはLNG燃料船での乗船訓練が含まれており、本船では多くの船員が乗船訓練できるよう、設計段階から
世界最大級となる最大搭載人員50名としました。
本船に搭載デジタル技術
・船内Wi-Fiの拡充
従来の居住区に加えて貨物デッキ、機関室、LNG燃料関連機器室にも設置し、船内の遠隔監視など業務効率の改善を目指します。
・船内カメラの設置
貨物デッキ、機関室に複数台のWEBカメラを設置し、船内Wi-Fiを通じ、船内の各PCや携帯情報端末でリアルタイムモニターする事が可能となりました。録画も可能で、陸上からもインターネット経由で船内状況を確認できるようになります。
・携帯情報端末の活用
船内Wi-Fiを利用して、複数のスマートフォンやスマートグラスによる音声、映像、テキスト通信や電子ファイル等の共有が行え、業務の効率向上や負荷軽減、また乗組員同士のコミュニケーション強化が図れます。これらの端末は船陸間の音声映像通信にも活用されます。
・Dual Fuel 補機関の異常診断システム
異常診断技術を利用した状態監視メンテナンス支援システムとして「ClassNK-CMAXS」を搭載しました。
(注1) EEDI(エネルギー効率設計指標)ベースでは2025年以降の建造契約船に適用される
Phase3(30%)を超える約45%のCO2排出量削減を見込んでおります。
EEDIについて:https://www.kline.co.jp/ja/csr/environment/regulation.html
(注2) 『“K”LINE 環境ビジョン2050』は、当社が2015 年に策定した環境に関わる長期指針。
2020年6月の改訂により、国際海事機関(IMO)が定める2030年目標である「CO2
排出効率2008年比40%改善」を上回る「同50%改善」という目標を設定し、そのア
クションプランとして「LNG燃料船の導入」を掲げている。
(注3) 国際海事機関(IMO)が定める「LNG燃料などの低引火点燃料を使用する船舶に適用される安全コード」(IGFコード)。
本船紹介動画を当社YouTubeチャンネルに掲載しましたので是非ご覧ください。
左から
今治造船株式会社 黒川 節弘 代表取締役副社長
当社 細見 岳良 CENTURY HIGHWAY GREEN船長
トヨタ自動車株式会社 内山田 竹志 代表取締役会長ご夫妻(リモート参加)
当社 三上 岳弥 CENTURY HIGHWAY GREEN機関長
今治造船株式会社 檜垣 幸人 代表取締役社長
当社 明珍 幸一 代表取締役社長
<参考リンク>
2019年11月28日発表: LNGを燃料とする次世代型環境対応自動車船を建造
https://www.kline.co.jp/ja/news/car/car-6874696799394248490/main/0/link/191128_jp2.pdf
2020年5月20日発表:次世代型環境対応自動車船建造(第二報) ~LNG 燃料自動車船に LNG タンクを搭載~
https://www.kline.co.jp/ja/news/car/car-156554061029356221/main/0/link/200520JA%20.pdf
2020年8月24日発表:次世代型環境対応自動車船建造(第三報)~LNG 燃料自動車船が進水しました~
https://www.kline.co.jp/ja/news/car/car4667383056372073218/main/0/link/200824%20JA.pdf
<2021年3月12日発表 その他プレスリリース>
国内初のトランジション・ローン(脱炭素に向けた移行ファイナンス)による資金調達https://www.kline.co.jp/ja/news/csr/csr-2659168475661371808/main/0/link/210312JA2.pdf
ノキアと協業し海運DX分野での実証実験を開始 ~高速通信ネットワークを活用した安全、品質の向上を加速
https://www.kline.co.jp/ja/news/other/other-7123702072864626313/main/0/link/210312JA3.pdf
新造船として世界初、当社自動車船が遠隔検査適応船のノーテーション取得
https://www.kline.co.jp/ja/news/other/other-822483298003530306/main/0/link/210312JA4.pdf
※当社グループでは、国連グローバル・コンパクト参加企業として、SDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)の達成に貢献する活動を推進しており、本件もその取り組みの一環です。
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