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2025.05.28

HondaとQuemixが世界初の「量子状態を読み出す新技術」を共同開発

2025年5月14日

  

  

HondaとQuemixが世界初の「量子状態を読み出す新技術」を共同開発

  

  

 Hondaの研究開発子会社である株式会社本田技術研究所(代表取締役社長:大津 啓司 以下、Honda)と株式会社テラスカイのグループ会社で量子コンピューターのアルゴリズム・ソフトウェアの研究開発を行う株式会社Quemix(代表取締役CEO:松下 雄一郎 以下、Quemix)は、世界初の「量子状態を読み出す新技術」を開発しました。

 Hondaは、2050年に全ての企業活動を通じたカーボンニュートラル実現を目指しており、その一環としてエネルギー部材の研究に取り組んでいます。
 部材の研究には材料分析が必要になりますが、従来のコンピューターによる計算は膨大なリソースが必要なため、高速な計算を可能にする量子コンピューターの使用を検討しています。しかしながら、量子コンピューターで量子状態を読み出す際、量子状態が壊れてしまうことで読み出し回数が増加してしまい、時間が掛かることが大きな課題でした。
 HondaとQuemixは、量子状態そのものの読み出しを直接的に行わず、量子コンピューター内に量子状態として蓄えられたX線吸収微細構造(XAFS※1)スペクトルデータから古典データを特徴づける強度や形状などの情報(特徴量)のみを“スキャン”する新しい量子状態読み出し技術の開発に成功しました。これにより、高速で効率的な量子状態読み出しが可能となり、量子コンピューターを用いたさまざまなシミュレーション領域への適用が期待できます。

 また、HondaとQuemixは、量子コンピューターの実機を使用した、XAFS計算に成功しました。量子コンピューターの実機を使用した、論理量子ビット上での材料開発に向けた実用計算に成功したのは世界初※2となります。
 量子コンピューターと従来のコンピューターを組み合わせ、各々のコンピューターの長所を生かした計算を行うことで、量子コンピューターの実機上でXAFS計算を実現しました。量子コンピューターの実機使用に向けて、XAFS計算アルゴリズムの構築とともに、論理量子ビットとゲート演算回数を削減する手法の開発を行い、量子アルゴリズムの開発だけでなく、将来の量子コンピューター実機活用に向けた、ビット数削減・ゲート演算削減技術の蓄積を達成しました。今後のハードウエアの開発と論理量子ビット数の増加が実現されることにより複雑な実用計算への適用が期待されます。

 なお、HondaとQuemixは、この新技術に関しての成果および詳細について、量子分野の国際会議Q2B 2025 Tokyoにて発表する予定です。

 Hondaは、量子コンピューターとXAFSを活用し研究開発を進めることで、電池部材の高性能化、長寿命化などに貢献する材料の研究・探索に関する技術構築に取り組みます。2050年のカーボンニュートラルを実現するために、モビリティの電動化に加えて多角的なアプローチでチャレンジをしていきます。

  

  

【量子分野の国際会議 Q2B 2025 Tokyo】

  

開催場所:グランドハイアット東京(東京都港区六本木6-10-3 六本木ヒルズ内)
開催期間:2025年5月15日・16日
公式サイト:https://q2b.qcware.com/ja/conference/2025-tokyo

  

※1 X-ray absorption fine structure
※2 2025年5月13日時点・公開論文調査に基づく・Honda調べ

  

  

  

  

  

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