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2025.05.07

車載AIアシスタントにおけるアバターの登場:新時代のインタラクション

2025年3月6日

  

  

車載AIアシスタントにおけるアバターの登場:新時代のインタラクション

  

  

最近、生成AIとエージェンティックAIの進化が話題となっていますが、中でも注目を集めているのが、それらのAIが業界を問わず人と技術の間のインタラクションを変革する能力です。その一方で、もう一つの重要なトレンドとして、特に車内においてバーチャルアシスタントへの話しかけ方が変わりつつあります。

  

  

これまで、音声アシスタントには視覚的な存在感がなく、インタラクション手段の一つに過ぎませんでした。最近の動向に伴い、ますます人間らしいアシスタントが生み出され、導入が進んでいる音声ベースのインタラクションは、誰かと電話で話しているように感じられるほどのレベルに達しています。ところが、このコミュニケーション方法には、対面型のインタラクションと比べると欠点があります。電話での会話では、交互に話すことや、ニュアンスの理解に苦労する、また、頷くなど無言のジェスチャーをうっかり使ってしまうといった問題にしばしば直面します。
車載AIアシスタントとのインタラクションでも同様の問題が生じます。ユーザーは、どこに向かっていつ話しかければよいのか、発したコマンドが処理されているのかどうか、分からないことがよくあります。この場合、それらの重要な視覚的手掛かりを与えるために対面でやりとりする機会はありません。
しかし、最近の自動車技術動向で、視覚的に具現化されたアバターによってそうした問題が解決されつつあります。実際にダッシュボードに存在しているものもありますが、車内で利用できるスクリーンのスペースが増えたことでアバターは、より円滑なインタラクションにつながる視覚的なフィードバックと手掛かりを提供することによって、コミュニケーション上のギャップを解消し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。

  

視覚的な表示のメリット

音声インターフェースにアバターを取り入れることで、多くのメリットがもたらされます。アイコンタクトや表情といった機能は、状況に関する認識を高めることでエラーや誤解を減らせるだけでなく、より直感的なコミュニケーションを通じて没入感のある会話体験を生み出せる可能性があります。アバターは、ブランド企業にとって誰もが認識できる顔となり、ブランド想起を高め、ユーザーとのつながりを後押しすることができます。また、アバターとAIを組み合わせることで、技術をより身近に感じられるものにし、ハードルを下げることもできます。
自動運転システムが使用しているデータを視覚化すれば、信頼性が大幅に高まります。視覚的なアバターは、使用されているデータポイントをユーザーに示すことによって、システムの透明性を高められます。例えば、自動車が歩行者を検知して安全を確保するために減速した場合、視覚的な要素によってこの判断を説明できるため、ユーザーが自動車の挙動を理解して信頼するのに役立ちます。 視覚的なアバターは、AIベースのエージェントが実行しているタスクも説明できます。ナビゲーションエージェントとのインタラクションでは、アバターが地図を表示し、システムが経路を検索していることを示せます。システムが天気を確認している場合には、アバターが拡大鏡を使用して「確認中」であることを示せるかもしれません。このような遊び心を効かせた有益なアプローチによって、ユーザーの次世代システムに対する理解度とAIに対する信頼度が高まります。
視覚的なアバターは、ユーザーの嗜好に応じてカスタマイズしたり、季節に合った洋服を着せたりすることができます。このようなパーソナライゼーションや楽しみによって、ユーザーと所有車とのつながりを深め、アバターをユーザーにとって大切なデジタルコンパニオンへと変えることができます。
セレンスは、視覚的なアバターを統合することによって、車載音声インターフェース体験を向上させ、より魅力的で、信頼性があり、パーソナライズされた体験を実現することを目指しています。このビジョンの下で、AIシステムの機能性を向上させるだけでなく、技術に人間味をもたらしてより直感的で楽しいユーザーエクスペリエンスを提供していきます。

  

最先端のユーザーインタラクションの推進

車載アシスタントにアバターを追加することへの関心が急速に高まり、各メーカーがさまざまなアプローチを検討しています。例えばルノーは、インテリジェントコパイロットアバター「Reno」を導入し、2024年9月に電気自動車Renault 5 E-Tech electricに搭載しました。ルノーとセレンスとの複数年にわたるパートナーシップの拡大を受けて、「Cerence Chat Pro」を活用した新たな機能がRenoに加わり、自然なコミュニケーションが強化されています。メルセデスベンツは、CES 2024で「MBUX」バーチャルアシスタントを発表し、より自然で共感性の高いインタラクションの実現を狙いとした、感情を示せる視覚的な表示などを紹介しました。中国では、スマートがすでにアバターのカスタマイズ機能をユーザーに提供しているほか、NIOの「Nomi」がダッシュボードに物理的に取り付けられている初のアバターとして世界的に注目を浴びています。最近では、ハーマンがCES 2025で、Cerence Assistantを搭載したAI音声システムに視覚的要素を追加したキャラクター「Luna」を発表し、話題を集めました。
音声ユーザーインターフェースに対応したAIアバターの開発は、開発者に視覚という側面以上のものをもたらします。アシスタントのタスクや応答に合わせて、視線、動きのパターン、表情を綿密に設計することによって、音声ユーザーエクスペリエンスが極めて自然で没入感のあるものになります。AI技術の進歩によって、ユーザーとシステムの会話の質が向上するだけでなく、視覚的なアバターの外観、姿勢、挙動を全体的にダイナミックかつ臨機応変に生成できるようになります。その結果として、ユーザーインタラクション全体を向上させる、応答性に優れた、実物のようなデジタルアシスタントが誕生します。
セレンスは、グローバルな自動車メーカーと協業し生成AIを活用した車載コンパニオンの実現に取り組むとともに、ユーザーとそのインタラクションの嗜好を理解し続ける上で役立つ研究にも尽力しています。
セレンスは、2020年9月に立ち上げられた研究プロジェクトであるEMMIプロジェクトに参加しました。セレンスとそのパートナーは3年間にわたり、視覚的なアバターによって自動運転の信頼性を高める研究に取り組みつつ、共感性の高いヒューマンマシンインタラクションの新たな可能性を模索してきました。
今後は、ユーザーの嗜好を把握し、視覚的なアバターをスマートソリューションと融合させる新たな方法を研究していきます。コンテキストに対応したアシスタントがユーザーのニーズと要望を予想できるようになれば、27年前にマイクロソフトが好感の持てる役立つコパイロット「Clippy」で思い描いていたことがようやく現実のものとなるかもしれません。主に子どもたちに喜ばれていた、遊び心のある追加機能と見なされていたものが、今では未来の体験を創出する上で必要な要素となりつつあり、視覚的なアバターがあらゆる新車の標準装備になろうとしています。

  

  

【セレンスについて】

セレンス(Cerence Inc.)は、自動車や交通機関においてAIを活用した直感的でシームレスな体験を提供するグローバルリーダーです。数十年にわたる音声認識の専門知識とイノベーション、および生成AI、大規模言語モデル(LLM)を活用し、ドライバーと同乗者の双方にとって、より安全で、よりコネクトされ、より楽しい移動手段を実現する統合的なエクスペリエンスをお届けします。当社の技術が搭載された自動車は全世界で5億台を超え、大手自動車メーカー、交通機関OEM、テクノロジー企業と提携しながら次世代のユーザーエクスペリエンスを推進しています。マサチューセッツ州バーリントンに本社を置く当社は、世界の国と地域で事業を展開し、AIイノベーションの可能性を押し広げることに専念しています。

  

詳細については、当社の日本語ウェブサイト https://www.cerence.com/ja/home をご覧ください。

  

セレンスの詳細については、当社の日本語ウェブサイトhttps://www.cerence.com/jaをご覧ください。
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