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2025.04.17
ボルボ・カーズは、より安全なクルマ作りを目指してAIとバーチャル世界を活用する
2025年3月19日
ボルボ・カーズは、より安全なクルマ作りを目指してAIとバーチャル世界を活用する
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ボルボ・カーズは、AIが生成した現実さながらのバーチャル世界を活用して、運転支援システム(ADAS)などの安全関連のソフトウェア開発を強化しています。すべては、より安全なクルマの開発を目指すものです。
私たちは今や、新しい車に搭載された高度なセンサーが収集した緊急ブレーキ、急ハンドル、ドライバーによる介入などの事故データを統合し分析することができます。これにより、事故を新たな方法で調査、再現、探究し、どのようにすれば事故を回避できるのかを深く理解することが可能になりました。
これは、ガウス・スプラッティング(Gaussian splatting)と呼ばれる高度な演算技術により可能になりました。この技術は、現実世界のビジュアルから膨大な量のリアルで高精細な3Dシーンや対象物を生成することができます。例えば、バーチャル環境では、道路利用者の追加や削除、交通の流れや道路上の障害物の状況を変えたりすることで、さまざまな結果を生み出すことができます。
このような技術により、これまでにないスピードとスケールで、安全に関するソフトウェアをあらゆる種類の交通状況に適用できるようになりました。現在では、複雑で稀ではあるものの、潜在的に危険な「エッジケース」でも適切に機能するソフトウェアの開発が可能になり、ソフトウェアがエッジケースに適応する時間を数ヶ月から数日に短縮しています。
ボルボ・カーズのソフトウェア・エンジニアリングのグローバル責任者であるアルウィン・バッケネスは、「私たちはすでに、実際には起こらなかった事象に関する数百万件ものデータポイントを保有しており、それをソフトウェア開発に活用しています。ガウス・スプラッティングのおかげで、極めて稀なケースのひとつを選択し、それを何千もの新しいシナリオのバリエーションに展開し、車両の学習と検証に活用しています。これにより、これまでにないスケールでの展開が実現し、エッジケースが現実の世界で起こる前に検出できる可能性さえあります」と述べています。
パズルの1ピース
ボルボ・カーズでは、現実世界のテストと並行してバーチャル環境を使用して、ソフトウェアのトレーニング、開発、検証をおこなっています。これは、安全性が高く、拡張性に優れ、コスト効率も良いためです。バーチャル環境は、ボルボ・カーズが設立したAIとソフトウェア企業であるZenseact社と共同で自社開発したものです。
このプロジェクトは、スウェーデンの主要大学の博士課程プログラムの一環であり、ニューラルレンダリング技術が将来の安全技術に取り入れられるかどうかを探るものです。この研究は、Wallenberg AI, Autonomous Systems and Software Program (WASP)の支援を受けています。
データ活用による安全性向上の歴史
ボルボには、データと先進技術を活用して安全性を高めてきた長い歴史があります。ボルボのセーフティ・リサーチ・チームが収集したデータは、世界最高水準の安全装備の開発とテストにおいて重要な役割を果たしてきました。
1970年代、ボルボはセーフティ・リサーチ・チームの取り組みによって、安全性向上のためのデータ活用を開始しました。初期の頃、チームは巻き尺を持って事故現場に駆けつけ、横滑り痕やその他の衝突の痕跡を調査していました。事故から収集されたデータと知識は、むち打ち障害保護システム(Whiplash Injury Protection System)や側面衝撃吸収システム(Side Impact Protection System)など、命を救う数々の革新的技術の開発につながりました。現在では、新しい先進技術により、データの活用がさらに洗練され、危険な状況を未然に防ぐことができるようになりました。
NVIDIAのテクノロジーとの連携
ボルボは、先日のNVIDIA との協業拡大によりガウス・スプラッティングのような技術を探究できるようになりました。NVIDIAの高速コンピューティングを基盤とした新世代のEVは、さまざまなセンサーからデータを収集し、車内や車両周辺の状況をこれまで以上に正確に把握します。 NVIDIA DGX systemsを搭載したAIスーパーコンピューティング・プラットフォームは、このデータを文脈化し、新たな洞察を引き出し、将来の安全な車両モデルに学習させます。これにより、人工知能の開発が改善し、加速します。このスーパーコンピューティング・プラットフォームは、ボルボとZenseact社が北欧最大級のデータセンター設立のために最近おこなった投資の一部です。
さらに詳しく知りたい方へ
ガウス・スプラッティングと生成AIの研究は、NVIDIA GTCカンファレンスにおけるボルボ・カーズのプレゼンテーションの一部を構成しています。このプレゼンテーションは、ライブ配信またはオンデマンドでこちらのリンクから視聴できます。
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2024年のボルボ・カーズ 2024年通年で、ボルボ・カー・グループは、270億SEKの記録的な営業利益を計上しました。2024年の売上高は過去最高の4,002億SEK、世界販売台数は過去最高の763,389台に達しました。
ボルボ・カー・グループについて ボルボ・カーズは1927年に設立された高級自動車ブランドの一つであり、100カ国以上のお客様に販売されています。ボルボ・カーズはナスダック・ストックホルム証券取引所に上場しており、「VOLCAR B」のティッカーで取引されています。
For life。ボルボ・カーズは、お客様にパーソナルで持続可能かつ安全な方法で、「Freedom to Move(移動する自由)」を提供することを目指しています。これは、完全なEVメーカーになるという目標と、2040年までにクライメート・ニュートラルな企業になるという目標のもと、二酸化炭素排出量を継続的に削減するというコミットメントに反映されています。
2024年12月現在、ボルボ・カーズの正社員は約42,600人です。ボルボ・カーズの本社、製品開発、マーケティング、管理部門は主にスウェーデンのイェーテボリにあります。生産工場は、イェーテボリ、ゲント(ベルギー)、サウスカロライナ(米国)、成都、大慶、台州(中国)に所在しています。また、イェーテボリ、上海(中国)には研究開発およびデザインセンターがあります
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